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【経済】一尾仁司の「虎視眈々」 ◆「海外勢の売り圧力は峠を越えつつあるか」◆

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

●値動き荒いが、短期勢中心の攻防の可能性●

昨日発表の東証主体別売買動向6月第5週で、海外投資家は105億円の小幅だが、3週ぶりの買い越しに転じた。先物を1981億円売り越しているので、合計では1876億円の売り越し。6月第3週の6014億円、第2週の2364億円の各売り越しから見ると、意外感がある(第4週は176億円の買い越し)。「英国離脱」で空中戦は激しく、円高圧力も重石だが、日経平均14500~16000円のボックスゾーンをキープできているのは、海外勢の売り圧力がそれほど膨らまなかったためと考えられる。なお、ゾーンの中間は15250円、直近の値動きの下値のようになっており、市場は依然として、16000円台回復のタイミングを測っているように見える。

年初からの現物売り累計は4兆7410億円となった。買い攻勢が掛かり易い上期の売り越しは2年ぶり(2年前の売り越し額は9265億円)。アベノミクス以降、本格的な売り圧力に晒された局面だった。昨年から、オイルマネーの売り、中国の換金売り、欧州金融不安などによる外資系のポジション圧縮など、構造的売り要因が入れ替わり立ち代わり発生してきたことが背景だ。円安志向のアベノミクスで、株買いは円ヘッジ売りを伴っていたので、株売りは円買い要因となる。一般的には、円高で日本株は売られるとの解説だが、印象では株売りに伴う円買いで、その円高が市場マインドを冷え込ます悪循環のように見える。ただし、為替には日米金利差など他の要素も多いので、株売りが峠を越えたとしても、円高圧力が軽減するとは言えない。

米JPモルガンの週間調査で、米長期債を「ニュートラル(中立)」とする投資家の割合が64%に跳ね上がった(前週55%)。「ロング」の割合は34%→25%に低下、「ショート」は11%横ばい。「英国離脱」後、世界の国債市場に資金が集中し、利回りは軒並み過去最低水準、マイナス金利対象が拡大している。ある程度動いたから様子見が増えたのか、意外なほど機関投資家は動けていないのか、のどちらかだ。調査結果と相場に連動性があるかどうか分からないが、短期ラリーが一巡すると、相場は膠着状態に陥る可能性が考えられる。言わば、動きたくとも動けないようなイメージだ。下方サプライズとなった6月米雇用統計直後にも「中立」が急増し、その膠着相場の下、短期筋による「リスク回避ラリー」が跋扈した印象がある。

利回り低下に一巡感が出るとすると、今は景況感の改善やインフレ圧力の高まり(ポンド大幅安の英国を除く)と言うよりは、国債増発圧力高まりとなる可能性が考えられる。米国で、クリントン、トランプ両大統領候補とも「老朽インフラの整備」を掲げ、日本でも参院選後の大型補正、インフラ整備が焦点になっている(プライマリーバランス外で、日銀買い上げ対象となる財投債の発行が焦点の一つ)。欧州も早晩、ドイツは反対姿勢だが、財政出動が必要となろう。

米雇用統計、日米企業業績が発表される前の「模様眺め」の可能性もあるが、今のところ、「英国離脱」は需給関係を構造的に破壊するようなものには至っていないと考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/7/8号)

《MT》

 提供:フィスコ

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