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2016年07月01日14時31分

【経済】イギリスの株価は実は堅調、Brexitでの被害者は日本とドイツ【世界の金融市場シナリオ分析】

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■Brexitにおける株価が示す真実とは

イギリスの国民投票の結果がEU離脱派多数(Brexit)と発表された6月24日の日本市場は、為替相場でドル円が106円台から99円台まで一気に円高進行となり、日経平均が1,000円を超える下落幅を記録した。

日本のマーケットを主にウォッチしている我々からすれば非常に大きなインパクトであったし、事前のコンセンサスもイギリスがEUから離脱すれば同国の経済縮小を招くという論調が多かったことも事実だ。ただし、その事実、数値、常識だけを見ていては見誤る側面があるかもしれない。

実際、イギリスの株価指数FTSE100は6月30日に6504.33ptまで上昇、EU離脱決定前の水準6338.10ptを上回っている。過去2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と比較しても、いずれも現在値が上回る水準となっており、相対的にも株価回復が際立つ格好だ。

ポンド安に伴って輸出関連株が買われたという面も理解しているが、FTSE100の動きからは、イギリスの国民投票によるEU離脱派多数という結果は、同国の立場からすれば合理的な判断であった可能性もあるし、現段階における株価の推移はそれを表しているとも言える。政治的な枠組みは変わるかもしれないが、イギリスが経済的なメリットを引き続き享受できると認識されているのだろう。


■日本でもマザーズ指数は回復

一方、同期間における日経平均は4.1%の下落と依然として戻りが鈍い状況にある。円高進行を上回る下落率であり、株価下落は円高による海外投資家による利食いが要因と言い切れない。

内需企業が中心で為替の影響を受けにくい東証マザーズ指数は、6月30日の段階でイギリス国民投票での離脱派優位が明らかになる直前の水準まで戻している。この点、日本株の下落はBrexitが直接的な要因ではなく、Brexitに伴う円高の進行が主因とも考えられる。いずれにせよ、主要銘柄で構成される日経平均からは、日本に経済的なデメリットが発生するということが示唆されているように思える。

また、ドイツの株価指数DAXも同期間で依然5.6%の下落となっており、日本同様に経済
的なデメリットが発生する国と捉えられている可能性がある。


■円高圧力は今後も継続の公算

為替の円高は、Brexitが米国の利上げペースを遅らせるとの見方が台頭していることが大きいが、今後も、金融市場の混乱に対する主要国のドル資金緊急供給に伴って、「ポンド買い(ユーロ買い)・ドル売り」が実施されることになるため、円高圧力は継続する公算がある。この際には、円売り介入なども実施しにくくなる見込みで、当面は、円高が日本株市場の圧力になる可能性がありそうだ。

マーケットの推移
日経225 NYダウ FT100 ドイツDAX
1週間(6/24-6/30) -4.08% -0.45% 2.62% -5.62%
2週間(6/17-6/30) 0.92% 1.11% 9.31% 1.36%
3週間(6/10-6/30) -6.55% -0.31% 4.37% -4.05%
1ヶ月(6/1-6/30) -9.63% 0.80% 4.39% -5.68%
2ヶ月(5/1-6/30) -6.54% 0.88% 4.20% -3.57%
3ヶ月(4/1-6/30) -7.06% 1.38% 5.33% -2.86%

         ドル円 ポンド円 ユーロ円
1週間(6/24-6/30) -2.79% -12.98% -5.17%
2週間(6/17-6/30) -1.02% -7.23% -2.08%
3週間(6/10-6/30) -3.64% -11.28% -5.44%
1ヶ月(6/1-6/30) -6.80% -14.33% -7.01%
2ヶ月(5/1-6/30) -3.10% -11.72% -6.01%
3ヶ月(4/1-6/30) -8.32% -15.03% -10.54%

執筆
フィスコ取締役 中村孝也
フィスコチーフアナリスト 佐藤勝己

《FA》

 提供:フィスコ

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