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【特集】植木靖男氏【英EU離脱の衝撃!株価回復の行方は?】(1) <相場観特集>

植木靖男氏(株式評論家)

 ブレグジット(英国のEU離脱)ショックによる前週末24日急落の反動もあり、週明け27日の東京株式市場は大幅反発に転じた。日経平均株価終値は、前週末比357円19銭高の1万5309円21銭となった。政府と日銀が緊急会合を開き、金融市場安定への流動性確保を確認したことで、機動的な政策対応への期待感が買いにつながったという。ひとまず連鎖安に歯止めが掛かったものの、英国のEU離脱のマイナス影響の実体は依然として不透明なままだ。今後の相場見通しについて、第一線の市場関係者に聞いた。

●「下値は限定的、内需株で反騰狙い」

植木靖男氏(株式評論家)

 英国の国民投票はまさかの結果だったが、その後の再投票を求める請願が殺到している事実をみても混乱の大きさを物語っている。EU離脱に票を投じた人の中にも実際に離脱が決定して内心動揺している人は少なくないのではないかと思う。当面は事態収拾に時間がかかり、世界の株式市場もリスクオフのムードを完全に吹っ切るのは難しいとみるべきだろう。

 ただし、日本は直接的に被るデメリットはそれほど大きくないということも認識しておく必要があろう。日経平均でいえば存分に押し目を形成しており、ここからの下値リスクはそれほど大きいとは思えない。為替の動向を絡め、もう一段の下げに見舞われる可能性はあるが、1万4000円台を割り込むような局面は考えにくい。したがってここは打診買いのタイミングで、全体相場が下に振れたら買いに厚みを加えていく方針で対処する。一方、目先は売られ過ぎのリバウンドが見込めるとはいえ、上値も重そうだ。トレンド自体が上昇転換するのは現時点では想定しづらく、7~8月に態勢を立て直したとしても滞留出来高の多い1万7000円近辺が上値の限界ラインとみている。

 リーマン・ショック時のような金融市場そのものに病巣があるような問題とは違うが、英国のEU離脱はドミノ倒しのような政治的な混乱につながる火種として根が深い問題だ。EU離脱の手続きは2年くらいかかるという。やり直しの嘆願署名も短期間に驚異的な数に達しており、国のトップが代わって議会が変われば、もう一度国民投票ということも考えられなくもない。しかし、その可能性を現時点で言及することはできない。

 為替相場は当面不安定な動きが続く。円高が加速することはないにせよ円安トレンドが復活する根拠は非常に希薄だ。したがって、個別の物色対象は内需株主導ということになりそうだ。政策催促相場のなかで、最も期待値の高いセクターといえば補正予算編成で恩恵を享受する業種ということになるだろう。大成建設 <1801> 、大林組 <1802> などゼネコンをはじめとする建設セクターに反騰妙味が大きいと考えている。
(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。


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