市場ニュース

戻る
 

【経済】NYの視点:各国の中央銀行は英国EU離脱に様子見姿勢


欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国の国民投票結果でサプライズとなった離脱勝利を受けて、今週ポルトガルで開催されている欧州中央銀行(ECB)のフォーラムで講演を予定していたイエレンFRB議長やカーニー英中央銀行総裁は出席を見送った。

米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン元議長はTVインタビューで、BREXIT(英国のEU離脱)がリーマンショックに相当するイベントとなると警告。これに対して、欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁は、「英国のEU離脱は新たなリーマンショックには相当しない」と元議長の警告に反論。また、万が一、英国のEU離脱が金融市場や経済に影響を与えた場合には、金融手段が残っていると主張した。今のところ、ユーロ圏には流動性に問題は見られず、英国のEU離脱がシステミックリスクにつながるとは考えていないとした。更なる行動に関しては、現地点で「様子見が必要」と慎重な姿勢を見せた。ドラギ総裁は、英国のEU離脱を受けて欧州の経済が今後3年間で0.5%押し下げられるとの見解を示した。アナリストはこの見通しは楽観的過ぎると指摘している。

英国の保守党は現時点で9月初めに次期党首を選出する見込み。英国がEU離脱の条件となっているリスボン条約50条を発動するのは少なくとも新首相が就任してからとなる。また、新首相がいつリスボン条約50条を発動し正式な離脱申請を行うのか、また行うかどうかも現段階では定かではない。従って経済への影響も知るすべなく、長期にわたり不透明感がくすぶることになる。

イエレンFRB議長は英国国民投票前にすでにその姿勢をかなりハト派寄りに移行していた。国民投票の結果を受けて、米国経済や金利見通しに一段と慎重になるのは明らかだろう。英国の欧州連合(EU)離脱ショックを受けた世界同時株安などで、米国の消費者信頼感が損なわれた可能性もある。一方で、イエレン議長を始めFOMCメンバーは英国国民投票前に、万が一離脱となっても米国経済への影響は限定的と見ていることを明らかにしており、利上げの軌道を覆す可能性は少ないと考えられる。金融政策において経済指標次第との方針は変わらずか。正確さに定評があるアトランタ連銀は国内総生産(GDP)見通しで、4-6月期の成長率を24日時点の2.6%から2.7%へ上方修正した。4-6月の個人消費予想を事前の4.1%から4.3%へ上方修正したことが背景となる。

英国中銀はカーニー総裁が30日、演説を行うことを明らかにした。格付け会社フィッチは英国中銀が年末までに0.25%の利下げを実施すると予想していることを明らかにした。国民投票前、英中銀の次の行動は「利上げ」と見られていた。カーニー総裁が利下げに言及するかどうかに注目が集まる。

《NO》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均