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【特集】マイカーにさよなら、「カーシェア」「ライドシェア」普及中 <株探トップ特集>

静岡・三島駅南口駐車場の「タイムズカープラス」

―トヨタ、ウーバー提携など活発化する取り組み―

 新車販売の国内での伸び悩みが続くなかで、自動車を共同で利用する「カーシェア」や「ライドシェア」への取り組みが活発化している。5月25日にはトヨタ自動車 <7203> が米国ベンチャーのウーバーテクノロジーズとライドシェアで協業を検討することを発表している。大手自動車メーカーも動き始めたことからビジネス展開に期待が掛かる。

●急成長する「カーシェア」、駐車場会社やリース会社など注力

 この数年、「カーシェア」や「ライドシェア」への関心が急速に高まっている。自家用車以外で乗用車を利用する場合、これまでレンタカーが主流だったが、カーシェアリングはあらかじめ利用者として登録した会員に対してのみ貸し出される制度。レンタカーよりも短時間(短期間)の利用時間単位が設定されており、レンタカーに比べて気軽に利用できることから「マイカーを持たないが自家用車の利便性を感じている」層の掘り起こしに成功。駐車場会社やリース会社などがサービスをスタートさせ、この数年で急速に成長している。

 カーシェアリングはあらかじめ会員登録したユーザーに対して車を貸し出す制度であることから、企業側も固定顧客を獲得し、安定的な売上増につなげやすいことが魅力となっており、大和ハウス工業 <1925> 傘下の大和リースが展開する「D-シェア(D-Share)」やパーク24 <4666> が展開する「タイムズカープラス」、オリックス <8591> 傘下のオリックス自動車が展開する「オリックスカーシェア」がサービス網を拡充。パーク24では1枚のカードでいつでもどこでも使える利便性の高さが高い評価を得ており、60%のシェアを占めるにまで成長、4月末のカーシェアリングサービスの車両台数は1万4917台と「前年の4月末に比べて25%超伸びている」(広報担当)と拠点拡充とともに順調に推移している。

●トヨタはウーバーと提携し「ライドシェア」注力

 一方、「カーシェア」に続いて「ライドシェア」が日本でも本格的に普及する期待が高まっている。自動車を相乗りする意味の「ライドシェア」は空いている座席を活用し、他者とガソリン代などを負担し合うことで交通費が節約できることから欧米では安価な交通手段として広く浸透。インターネットの発達に伴って事業化が進み、相乗り相手の仲介を行うサイトやスマートフォンアプリ、自家用車を利用した有料サービスなどが普及している。

 日本の法律では自家用車が有料で顧客を乗せることは禁止されているため、同乗者が謝礼として燃料代や高速代相当の費用を支払う非営利のサービスに限定されているが、安倍晋三首相は昨年10月の国家戦略特区諮問会議で「過疎地などでの観光客の交通手段として、自家用自動車の活用を拡大する」と述べ、特区での導入検討を指示。外国人観光客を地方にも呼び込む手段として、「ライドシェア」の導入に意欲を見せており、今後、規制緩和とともに日本でも本格的に普及することになりそうだ。

 このようななか、大手自動車メーカーではトヨタ自動車が5月25日に米配車サービス最大手のウーバーテクノロジーズと資本業務提携すると発表した。金融子会社であるトヨタファイナンシャルサービス(名古屋市)と、トヨタなどが出資する「未来創生ファンド」を通じてウーバーへ出資。ウーバーテクノロジーズは自動車配車ウェブサイトと配車アプリを世界58カ国・地域の300都市で展開。今回の提携でトヨタは車両をリースし、顧客がウーバーのドライバーとして得た収入からリース料を支払うサービスを構築する予定。国内で「ライドシェア」の規制緩和が進めば、ビジネス展開も一気に進みそうだ。またタクシー配車システムを手掛けるモバイルクリエイト <3669> などは先行き「ライドシェア」に絡むシステム面でも技術活用が期待されよう。


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