【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 米国経済指標から目が離せない!
株式評論家 植木靖男
「米国経済指標から目が離せない!」
●105円処はドル安の強力な抵抗線
GW(ゴールデンウイーク)も後半段階に入った。連休前半は今の株価の悪役でもある円高が一気に進んだ。
そもそも正月休みとか5月連休といった長い休みのとき、海外勢のゴリ押しもあって、株価も為替も大きく動くことがしばしばである。
今週もドル円は105円台に突入した。まるで糸の切れた凧のようである。つれて株価も1万5000円台に海外で急落した。
振り返れば、年初来の急落は原油安が原因。その後2月にかけては円高が株価の足を引っ張った。
そして今日まで円高が株価水準を決めている。
環境面からも日銀の金融政策現状維持や米国為替報告書でわが国が監視リストに指定されたこともドル円相場を揺さぶっている。
もっとも105円処は強力なドル安の抵抗線である。
相場はいうまでもなく市場人気で決まる。別に105円に論理的根拠があるわけではないが、多くが105円と言い、それが市場のコンセンサスとなれば、ひとつの大きなフシとなる。
円はその後反落、短期で2円近くも動いた。とすれば、当面、これだけノリシロがあれば直ちに104円、103円と円が急騰する公算は小さいだろう。
こうした経緯のなかで、今後株価はどう展開するであろうか。
●日米政策を支えに上昇転換か
目先的、つまり5月6日の前場の段階では引き続き売り基調にある。5月第2週は様子見がよく、強引な買いは傷を深くするだけと慎重姿勢を堅持したい。
もっとも、長い目でみるならば米国景気の動向がカギを握る。より楽観的な見通しとしては、米国景気が堅調に推移すれば、6月の米FOMCで利上げをFRBは決断することになろう。
その時点で円高水準が進んでいれば、円安に転じるとみられるし、国内的景気刺激策として、日銀による追加金融緩和策は必至とみられる。財政支出も先進国を安倍首相が説得している以上、なまじっかな額では収まらないであろう。もちろん消費増税先送りも考えられる。
かくして、円安にくわえ、一連の景気浮揚策で、株価は上昇基調に転換するとみられる。昨年の高値からほぼ1年、日柄的にも十分だ。
それだけに、今後は米国の景気指標には、これまで以上に注目することが肝要であろう。
円高云々よりも、米国景気が崩れればそれこそ世界不況は深刻化し、世界の株式市場は塗炭の苦しみを味わうことになる。当面、忍の一字であろう。
自社株買い銘柄に注目したい。
2016年5月6日 記
株探ニュース