【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:決算ピーク、円高、オプションSQ
ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限16500-下限15500円
来週は決算発表がピークを迎えるほか、週末にはオプションSQが控えていることもあり、方向感が掴みづらいであろう。まずは6日の米雇用統計の結果を受けてのスタートとなるが、非農業部門の就業者数が前月比べ16万人の増加にとどまり、市場が予想していた20万人程度を大幅に下回った。これにより、連邦準備制度理事会(FRB)が次回6月の政策会合(FOMC)で追加の利上げを行う機運がさらに遠のいたとの見方から1ドル106円台半ばまで円高が進んでいた。主要7か国の首脳会議「伊勢志摩サミット」を前に、政府の財政出動策への期待が下支えと要因になりそうだが、6月にはイギリスでEUからの離脱の賛否を問う国民投票が行われる。ドル安・円高の流れに向かいやすい需給状況の中、不安定な相場展開が想定されよう。
また、今週は決算発表がピークを迎え、2200社程度の決算発表が予定されている。足元の急ピッチの円高等の影響によって慎重な見方が増えており、業績悪化は相当織り込まれている可能性はあるだろう。しかし、発表企業の多さから機関投資家は結果を見極めるまでは積極的に動けず、模様眺めムードが強まりやすいと考えられる。さらに、週末にはオプションSQが控えていることもあり、決算を見極めたいとする模様眺めムードの中、SQに絡んだ先物主導の商いに振らされる可能性がありそうだ。
ただし、中小型株の強い値動きをみても個人主体の物色意欲は旺盛だろう。大型連休明けで市場参加者も増えると考えられ、決算を手掛かりとした個別材料株のほか、テーマ株などの循環が続きそうである。テーマ株ではバイオ関連が断続的に物色されているほか、このところの自動車事故を受けて、自動運転関連への関心も高まりやすい。先週には米アルファベットの自動運転車部門と自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が、技術提携を正式に発表。米自動車大手ゼネラル・モーターズは、タクシー利用を想定した自動運転車の公道での走行実験を1年以内に開始すると伝えられている。その他、伊勢志摩サミットを控え、ドローンへの関心も次第に高まってくるとみられる。
■為替市場見通し
来週のドル・円は米経済指標や日米の株価動向が材料視される展開となりそうだ。4月米雇用統計は市場の期待をやや下回る内容だったことから、6月利上げ期待は後退した。市場関係者の間からは、早期利上げ観測が後退したことによってドルは弱い経済指標に反応しやすくなっているとの声が聞かれている。米経済指標の悪化を嫌気して日米の株価が下落した場合も円買い材料となる。
日本政府は投機的な為替の動きに対して必要に応じて対応する姿勢を示しているが、為替介入(円売り介入)がただちに実施される可能性は低いとみられている。米経済指標の悪化を受けて早期利上げの可能性がさらに低下した場合、市場の介入期待は大きく後退し、円買いが再び強まる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
5月 9日(月):消費者態度指数、独製造業受注、米労働市場情勢指数など
5月10日(火):車名別新車販売、中消費者物価指数、独鉱工業生産指数など
5月11日(水):景気動向指数、英鉱工業生産指数、米財政収支など
5月12日(木):国際収支、景気ウォッチャー調査、米消費者信頼感指数など
5月13日(金):第3次産業活動指数、独1-3月GDP速報値、米小売売上高など
5月14日(土):中鉱工業生産指数、中小売売上高など
《TM》
提供:フィスコ