市場ニュース

戻る
 

【特集】植木靖男氏【3月の関門クリアし新局面入りの期待高まる!】(1) <相場観特集>

植木靖男氏(株式評論家)

 21日の東京株式市場は、大幅高で3日続伸。日経平均株価は後場に入って一段高に買われ一時、前日比475円高の1万7381円まで買い進まれ、終値は同457円高の1万7363円となった。これで、3月14日の取引時間中につけた戻り高値1万7291円を上回り、新たな上昇局面に突入する可能性が出てきた。今後の相場展開について、第一線の市場関係者に聞いた。

●「テクニカル好転、サミット控え財投期待も」

植木靖男氏(株式評論家)

 今週に入っての動きは目まぐるしく、市場参加者の強弱感の対立を物語る。ただ、テクニカル的には3月14日の戻り高値1万7291円をクリアしたことに加え、日足一目均衡表が明確に雲を上に抜けてきたことで視界が広がってきた感がある。

 株式需給面の切り口で考えると面白いことが分かる。3月第2週に外国人投資家が1兆2000億円弱の日本株売り越しで話題となったが、これを受けたのが自己部門と個人投資家だった。ちなみにその翌週に日経平均は1万7291円の戻り高値を形成することになるが、その後は調整モードとなって1万7000円を軸にもみ合い、4月新年度相場から急降下に転じたことは周知のとおり。3月第2週の自己の買いはクロス商い含みだが、個人は純粋に外国人の売りをつかまされた格好となっている。当然、シコリ玉を抱えた個人も多かったはずだが、3月14日の高値を抜いてきたということは、この因縁玉の回転が利く状況になったということだ。

 具体的には日経平均に連動し個人投資家マネーを大量に飲みこんでいるNF日経レバ <1570> [東証E]が象徴的であり、これを売って他の銘柄に資金を振り向けるという動きが想定される。これは、銘柄物色の流動性を高め今の中小型株テーマ物色の流れを後押しするポジティブ要因となりそうだ。

 今後のスケジュールを考えると、企業の決算発表本格化できょう(21日)の安川電機 <6506> の逆行安にみられるようなガイダンス・リスクが警戒されるが、円高デメリットを受けない銘柄についてはそれほど懸念する必要もないだろう。

 一方で、来週28日の日銀金融政策決定会合での追加緩和期待に加え、5月の伊勢志摩サミットを控え、それまでに安倍政権は補正予算編成など財政出動の話を具体的に固めてくることが予想される。内需株中心に株式市場には追い風となろう。

 日経平均株価伊勢志摩サミットが開催される5月26日までに1万8500~1万9000円のゾーンを目指す展開を想定している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。


株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均