【特集】大谷正之氏【3月の関門クリアし新局面入りの期待高まる!】(2) <相場観特集>
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
21日の東京株式市場は、大幅高で3日続伸。日経平均株価は後場に入って一段高に買われ一時、前日比475円高の1万7381円まで買い進まれ、終値は同457円高の1万7363円となった。これで、3月14日の取引時間中につけた戻り高値1万7291円を上回り、新たな上昇局面に突入する可能性が出てきた。今後の相場展開について、第一線の市場関係者に聞いた。
●「日米金融決定会合、決算発表を織り込み戻り試す」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
確かにこれまでの上値のメドとされてきた3月14日の取引時間中の高値1万7291円を上回ってきたことで新たな展開への期待感が出てきた。ただ、来週は日米の金融政策決定会合が相次いで開催されるのに加え、3月期決算企業の決算や業績見通しの発表が本格化するなど、重要イベントが到来するため、これらへの評価を巡って当面は神経質な展開が予想される。
注目されるのは、米連邦公開市場委員会(FOMC)における金融政策への姿勢だ。従来「年2回の利上げ」が有力視されるなか、今回のFOMCでの“6月利上げ”に対するイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長のスタンスに注目が集まる。6月利上げの可能性が浮上すれば円安、見送りムードが強まれば円高の可能性が高まり、日本株に影響することになる。
決算発表、業績見通しで留意したいのは、市場予想と会社見通しの間に生じる“ガイダンスリスク”だ。円高進行に加えて中国経済の停滞に伴う業績懸念にも注意が必要だ。物色対象としては、出店ペースを加速させて好業績が想定されるビックカメラ <3048> やドンキホーテホールディングス <7532> の大型量販店。さらに、円高リスクの少ないソニー <6758> に注目している。
今後の中期的な戻りメドとしては、昨年12月の高値から今年2月の安値までの下落幅の半値戻しに相当する1万7480円水準、26週移動平均線の1万7706円、2月1日の高値1万7865円(終値ベース)といった3段階のフシ目がある。経済政策の発動期待などを背景に、今後これらのフシ目を払拭していくことになる。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
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