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【経済】スマートメーター、7000万台導入の巨大プロジェクト本格化 <産業最前線>

従来の機械式電力量計からスマートメーター=写真=に変更される

―「見える化」で電力小売り自由化を支える―

 4月1日から電力の小売り完全自由化がスタートする。各家庭では電力の契約先を自由に選択できるようになる。これを巡って大手ガス会社、石油元売り、通信会社など約210社が顧客獲得にしのぎを削っている。この完全自由化スタートの大前提は、電力量データの正確な把握で、それを可能にしているのが既に10年計画で日本全国の電力10社で導入がスタートしている通信機能を備えたデジタル式の電力計「スマートメーター」だ。

 スマートメーターの主な特長は、30分ごとの電力データを記録することで、電気の使用状況が詳細に把握でき、通信機能により各電力会社の検針作業を自動化できる。さらに、HEMS(家庭単位のエネルギー需給管理システム)へのデータ送信も可能となる。電力量計に通信機能を搭載することで、電力の使用状況をほぼリアルタイムに近い形で計測し、その情報を使って配電システムの最適化・高機能化、顧客サービスの充実、現場作業の効率化を図ることを目的としている。

●省エネで電力使用量管理の必要性高まる

 もともと、1990年代に電力各社は、電力需給の逼迫解消策として昼の電力負荷を夜間にシフト(ピークカット)することによる平準化を目的とし、全国の電気温水器など夜間の蓄熱型機器を保有する需要家を対象に家庭用の時間帯別料金制度の採用を進めていた。これに伴って、昼間と夜間の2種類の電力量を1台で計量可能な電子式計器が普及しはじめた。その後、時間帯別料金制度を使用するオール電化住宅の登場により電子式計器の普及は拡大した。さらに、2011年の東日本大震災発生による原子力発電の一時停止に伴い、一段と省エネルギー志向が強まるなかで電力使用量管理の必要性が高まってきた。

 その電力使用量の管理で威力を発揮するのがスマートメーターだ。関西電 <9503> を手始めに、電力各社は平均10年程度の期間に全国合計7000万台について、従来の機械式電力量計をスマートメーターに交換する極めて大規模なプロジェクトだ。

 東電 <9501> では、14年度からスタートし、10年を3年間前倒しして20年度までの短期間で設置を終了する方針だ。東電では、合計2744万台の設置を予定しているが、今年2月末までの導入台数は450万台と進捗率は16.4%となっている。なかで、小売り完全自由化による異業種からの参入に伴い、契約先を変更した場合「電力使用量の見える化」が急務となるため、導入が加速する可能性もある。

●大崎電は15~17年度に大幅増産

 スマートメーターで全国トップシェア(35~45%)を占め、電力10社全てに納入している大崎電 <6644> では「需要のピークが予想される今後3年間の増産に備えて埼玉事業所などで生産体制を拡充している。当社の場合、15年度=300万台、16年度=400数十万台、17年度=500万台近くの納入を計画している」(経営戦略本部)としている。

(提供:minkabuニュース編集部)

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