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2016年03月13日15時00分

【特集】農業だって自動化へ、「農機自動運転」で実る株 <株探トップ特集>

クボタの自動運転トラクター

―20年農作物輸出1兆円へ向け開発活発化―

 政府は4日、首相官邸で第4回「未来投資に向けた官民対話」を開催した。このなかで、安倍首相は「2018年までに圃場(ほじょう:作物を栽培する田畑)内での農機の自動走行システムを市販化し、20年までに遠隔監視で無人システムを実現できるよう制度整備などを行う」方針を明らかにした。「自動農機」で商機をつかむ企業はどこか―。株式市場では恩恵を受けそうな銘柄への関心が高まっている。

●節目迎える国内農業

 国内農業は大きな節目を迎えている。担い手不足や高齢化といった問題を抱えるなか、政府は企業が農業生産法人を通じて農地を所有する要件を緩め、農地の大規模化を目指している。また、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の合意で農産物の輸入拡大が予想されるなか、農作業の省力化や効率化によるコスト競争力の向上は喫緊の課題となっている。

 問題解決に向け大きなカギを握るのがITを使った技術革新だ。これまでも温度や湿度などを管理することで生産効率を高めてきたが、農業でITが活躍するのは管理だけではない。最近はトラクターなど農機の自動化が注目されている。自動農機を活用することで効率的かつ収益性を高めることが可能になるほか、従来はベテランにしかできなった作業が誰でも速く正確にできるようになるといったメリットもある。安倍政権は成長戦略で20年に農作物の輸出額を1兆円規模にする方針を打ち出すなど「攻めの農業」を掲げており、農機メーカーもこれと歩調を合わせるように商品開発を活発化させている。

●クボタ、井関農は自動運転化を加速

 クボタ <6326> は16年1月、京都市で開催した展示会で自動運転できるトラクターのデモンストレーションを行った。GPS(全地球測位システム)と機体姿勢などをセンシングするIMU(慣性計測ユニット)を用いて信号処理を行い、機体の位置・方位・傾きを高精度に算出。その情報に基づき機体の制御システムと連携を取りながら、エンジン回転や変速などを自動的にコントロールする。「抜本的な省人化・高効率化につながる自動運転農機へのニーズは高く、18年の発売をメドに研究開発を進めている」(広報室)といい、また市場投入時期は未定ながら田植機やコンバインの自動化も視野に入れている。

 井関農 <6310> は15年10月に、近未来の農業を提案する「夢ある農業総合研究所」をオープンさせるなどICT(情報通信技術)の活用を積極化させている。同社も自動運転トラクターの開発に注力しているほか、このノウハウを生かして技術的に実用化が難しいとされる田植機の自動操舵にも取り組んでいる。

 マミヤOP <7991> [東証2]は15年12月に、世界に先駆けて開発した自律走行システム「I-GINS」を搭載した芝刈りロボットの実運用テストをスタート。このシステムはGPSが届くところであれば、どんな場所でも無人走行を可能にし、中長期的にはトラクターをはじめとする各種農業機械や産業機械へ展開する意向だ。

●コア、トプコンはGNSS技術で先行

 コア <2359> は、GPSや準天頂衛星をはじめとしたGNSS(高精度衛星測位システム)の送受信機やモジュールを手掛ける。同社は15年10月、農林水産省の「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業」への取り組みとして、茨城県の実験圃場で同社技術を搭載した農機の自動走行実証実験を行った。

 トプコン <7732> は、GNSS技術を駆使した精密農業システムに注力。GNSSで走行路線上を自動運転する農機用オートステアリングシステムや、高い測位性能で安定したガイダンスを行う農機用ガイダンスシステム、生育状況を非接触で計測できるレーザー式生育センサーなどを手掛けている。

●東京計器、ユビキタなどにも注目

 このほか、GPSやセンサーを使った農機自動操舵支援機器を試作している東京計器 <7721> 、15年12月にGNSSを得意とするマゼランシステムズジャパン(兵庫県尼崎市)と資本業務提携したユビキタ <3858> [JQ]、車速連動装置などを手掛けるやまびこ <6250> 、ヤンマー(大阪市)と自律走行型ロボットトラクターの開発を進める日立 <6501> 、農機自動走行システムで13年度の内閣府特命大臣賞を受賞した日立造 <7004> なども押さえておきたい。


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