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【特集】高速道路が変わる ―「ETC 2.0」と各社取り組み <株探トップ特集>

パイオニアの日足チャート 「株探」多機能チャートより

―多目的利用と割引で普及に弾み―

 高度道路交通システムのひとつであるETC(Electronic Toll Collection System)について、次世代型である「ETC 2.0」がさらなる普及に向け動きだしそうだ。「ETC 2.0」とは、いままでのETCの高速道路利用料金収受だけではなく、渋滞回避や安全運転支援といった、ドライバーに有益な情報を提供するサービス。4月からは経路情報を活用した「ETC 2.0」の新サービスも順次提供される予定で、対応車載器の普及が進みそうだ。

●ETCの多目的利用を推進

 「ETC 2.0」は、道路沿いに設置されたITSスポット(通信アンテナ)と対応車載器(DSRC通信対応)との間の高速・大容量通信(通信料は無料)により、広範囲の渋滞・規制情報の提供や安全運転支援などさまざまなサービスが受けられる運転支援サービスで、高速道路での自動利用料金収受機能だけを搭載している従来型のETCから機能が大きく進化している。今後、街中での駐車場料金支払いや車両の入庫の管理などにETCの多目的利用が推進される予定だが、今年4月からは混雑状況に応じて料金を変更する経路情報を活用した新サービスが順次導入される予定で、普及への起爆剤として期待されている。

 この新サービスでは経路情報を収集・蓄積可能な「ETC 2.0」とITSスポットにより、渋滞、事故等の状況に応じて賢く経路選択を行うドライバーに対する優遇措置が可能となり、その一環として今年4月には圏央道にETC 2.0搭載車限定の初の割引が導入される。この割引制度では、首都圏において圏央道を利用して都内に入らないようなルートを取ったときなどに約2割引きとなるサービス。これにより都内への自動車通行量を緩和させる狙いがあるが、今後は他の地域でも同様の割引制度が導入される可能性も高い。

 このようななかでメーカー各社も対応車載器を積極的に開発、投入している。

●パナソニック、パイオニアなど対応車載器の投入相次ぐ

◆三菱電 <6503>
アンテナ分離型のETC 2.0車載器を発売。ETCカード認証時にカード有効期限を音声で通知するほか、ETCカード誤挿入時の確認メッセージの復唱やレーン通過時の利用案内など、聞き取りやすい音声で、メッセージを効果的に伝える機能も搭載。

◆パナソニック <6752>
ETC 2.0車載器としては業界初の「ITSスポット/光VICS統合アンテナ」搭載の「CY-DSR140D」を発売。時短機能の搭載で高速道路と一般道、両方の渋滞回避ルート探索が可能となっている。

◆パイオニア <6773>
ETC 2.0サービスを利用できるGPS付発話型スタンドアローンタイプのETC 2.0ユニット「ND-ETCS10」を3月下旬に発売予定。走行経路などの把握に必要なGPSをアンテナに内蔵し、カーナビゲーションに接続することなくETC 2.0サービスを利用。受信したETC 2.0サービスの情報は、本体内蔵スピーカーから音声で案内する。「新製品を発売することによって当社のみならず業界的にも普及の後押しをしていきたい」(広報部)と意欲を見せる。

◆古野電 <6814>
ETC 2.0車載器で重要となるGPS受信機まで自社開発する国内有数のメーカー。マルチGNSS受信チップ「eRideOPUS 6」を車載器内部に組み込むことで、カーナビなどの車載設備と連動させることなく、車載器単体で高速道路の料金収受や渋滞回避情報、安全運転支援情報などのETC 2.0サービスに対応したGPS付き発話型ETC 2.0車載器を開発している。

◆デンソー <6902>
GPS付発話型ETC 2.0車載器を1月末に発売。業界最小クラスの小型ETCアンテナにGPSが内蔵されており、ETC 2.0に対応するカーナビやスマートフォンがなくても、車載器単体で「経路情報を活用したサービス」の利用が可能。従来のETC車載器と同等サイズのコンパクト設計で、かつ、12V・24V兼用のため乗用車から大型車両まで幅広く対応している。


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