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【経済】一尾仁司の「虎視眈々」:潮流変化を後押しする3つの現実


〇リバウンド相場を後押しする3つの現実的変化

1)猛烈な「トランプ降ろし」始まる

3日、米CNNは意外な世論調査(2/24~27実施)を発表した。大統領選本選では、トランプ氏は勝てない(44:クリントン氏52、43:サンダース氏55)。ルビオ氏やクルーズ氏だと、クリントン氏に勝てる(ルビオ氏50:47、クルーズ氏49:48)が、サンダース氏に勝てない(ルビオ氏45:53、クルーズ氏40:57)。1000人足らずの小規模調査で誤差±3%ポイントとしているが、大統領選勝利を目指す共和党勢力を刺激する話だ。

スーパーチューズデーの勝利に酔った感のあるトランプ氏だが、獲得代議員数は接戦だ。トランプ氏332人、クルーズ氏230人、ルビオ氏113人で、2・3位連合ができれば343人で逆転する。主流派のルビオ氏が保守強硬派のクルーズ氏と組むことは困難とされ、メディアで取り沙汰されることは少なかったが、選挙戦を止めないのは、トランプ氏が過半数を取ることを阻止する狙いがあり、このまま行けば、党大会直前での一本化の可能性が指摘され出した。主導権を握るため、ルビオ氏は15日の地元フロリダ(代議員99人、勝者総取り)、オハイオ(66人)に賭ける。現地では「ストップ・トランプ」が激化していると伝えられる。

トランプ氏は医療保険制度の改革案を公表するなど、対クリントン戦略に注力し始めているが、3日は前候補のミット・ロムニー氏から「暴君」との攻撃を受けた。まだ、予断を許さない状況だ。


2)米シェール業界の異変

「シェールの父」と呼ばれ、シェール大手のチェサピーク・エナジーを創業したオーブリー・マクレンドン氏が2日、オクラホマの高速道で側壁に激突、死亡した。前日、米司法省が掘削リグの不正入札・共謀罪で起訴を発表し、自殺説も流れる。共同創業者だったトム・ウォード氏(前サンドリッジ・エナジーCEO)が共謀の相手。鉱物権維持のためのペーパー・カンパニーを使っての不正操作が摘発対象。有力者を失ったシェール業界の「伸び悩み」を想定する向きが出ており、減産思惑につながっている。

3日のWTI原油相場は前日比9セント安の34.57ドル/バレル。米統計で原油在庫急増と6週連続の生産減の綱引きになっている。20日にOPEC加盟国と非加盟国合同の産油国会談が開催される方向となった。プーチン露大統領が増産凍結合意を表明するとともに、ナイジェリア、ベネズエラなどが「50ドル」を目指すと鼻息荒い。なお、サウジ中心の湾岸6ヵ国が、レバノンのシーア派組織ヒズボラをテロ組織に指定すると表明。イラン寄りのレバノンに財政支援中止に続き、強い圧力を掛けている。当然、イランが猛反発しており、再び緊張ムードが高まる恐れがある。


3)需給調整に一巡感

昨日発表された財務省対内対外証券投資で、非居住者(海外投資家)の株式・投資ファンドの処分超過は1兆159億円、東証投資主体別売買動向での海外投資家の売り越しは4081億円。倍以上の開きが出て、何らかの大規模な調整が行われたと見られる。ユーロ急落の局面で、欧州勢の手仕舞いが推察される。

遡る2月第2週は、対外証券投資での中長期債の売り越し1兆3152億円が突出した。その前後の週は1兆円以上の買い越しで、極めて異例の動きだった。この時はドルが急落した局面で、対ドルでの円キャリートレードの手仕舞い思惑があった。

注目は1週間内の短期的出来事と思われる点。海外勢の売り越しは年初から2000~5000億円規模で続いているので、買い越しに転換したとまでは見れないが、短期集中的な売り圧迫は一巡している公算が大きい。

統計が遅いので後講釈の域を出ないが、戻り相場の地合いを支援することになろう。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(3/4号)

《FA》

 提供:フィスコ

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