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【特集】マイナス金利導入で乱高下、相場の今後を読む <株探トップ特集>

日経平均株価の日足チャート 「株探」多機能チャートより

―日本史上初の緩和策導入、そのプラス効果は―

 29日の東京株式市場は、日銀がマイナス金利導入を決めたことを受け、日経平均株価が上下871円幅で変動する大波乱の展開となった。外国為替市場では、株価の動きに先駆け、一時1ドル=121円台前半まで円安・ドル高が加速。これに連動するかたちで株価も急上昇をみせた。ただ、マイナス金利導入に伴う短期間での効果への疑問や、銀行など金融機関への副作用が意識されると、一時マイナス圏に沈む場面もあった。その後、後場後半には再び円安・ドル高が進行したことを手掛かりに買い進まれ、日経平均終値は、前日比476円85銭高の1万7518円30銭となった。東証1部の売買代金は、4兆4317億円と2015年8月25日以来、約5ヵ月ぶりの水準に膨らんだ。

●株価乱高下、円安、長期金利低下と波紋広がる

 日経平均は、マイナス金利導入決定の発表直後に一時、前日比597円高と600円近く上昇したものの、その後は下落に転じ、一時前日比274円安まで売り込まれる場面もあった。外国為替市場では、円売り・ドル買いが急速に進行し、円相場は一時、対ドルで前日比2円50銭余り下落し、1ドル=121円30銭台をつけた。債券市場では、長期金利が過去最低を更新した。

●一部当座預金の金利をマイナス0.1%に

 日銀は29日の金融政策決定会合で、金融機関が日銀に預ける当座預金に付ける利子をマイナスにするマイナス金利政策の導入を決め、2月16日から実施する。日本の金融政策でマイナス金利政策の導入は初めて。新たな金融緩和策により、金融機関から市場への資金流入を狙ったものだ。

 金融機関は、融資量に応じて日銀に当座預金を預ける義務がある。日銀は、これまで決められた額(基礎残高)を超えた預金に対して年0.1%の利子を付けていたが、預金残高の一部(政策金利残高)の金利をマイナス0.1%に下げる。

●円安・ドル高進行が輸出企業の業績を下支え

 日銀のマイナス金利導入と今後の株式相場の見通しについて、中堅証券の投資情報部では「マイナス金利という日本初の緩和策導入に踏み切った黒田日銀総裁の姿勢を評価したい。異次元緩和とされてきた、これまでの“量的・質的緩和”にマイナス金利を加えたことはサプライズがあった。マイナス金利の導入は、円相場に即効性があるようで、先行き懸念の出ていた主力輸出企業の業績下支えの効果が期待できそうだ。金融機関へのマイナス面を指摘する向きもあるが、総合的に判断してプラス面が多いのではないか」としている。

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