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【市況】<株式トピックス>=「市場の早とちり」では片付けられない乱高下

 18日の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合の内容を巡って乱高下し、日経平均株価は取引時間中の高値と安値の幅が900円に迫る大波乱展開となった。

 日経平均株価は一時、前日比515円高の1万9869円と2万円に迫る勢いをみせたが、終値は結局同366円安の1万8986円と急反落した。東証1部の売買代金は3兆5971億円と膨らんだ。

 この株価大波乱の要因となったのは、日銀の金融政策決定会合で公表された「量的・質的金融緩和政策の補完措置」だ。「来年4月から上場投資信託(ETF)の買い入れ枠を年3000億円分新たに設ける」との見出しが報じられて買い優勢となり、慌てた売り方が損失を限定しようと買い戻しに走り、ものの5分間で500円程度の棒上げを演じた。

 ところが、実際には日銀が既に買い入れた株式の市中売却を始めるための受け皿として実施するもので、ETFの年間3兆円という購入枠は変わらず、量的緩和自体のトータルの量に変化はないということが判明。いったん急騰した株価が、今度は10分間程度かけて400円分も急落。その後もち合う時間帯があったものの、あまりの乱高下に心理的にも嫌気がさした投資家が多かったのか、午後2時過ぎからは次第に下落幅を拡大する展開を強いられた。

 日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の記者会で、今回の措置を「量的・質的金融緩和を補完するものであって、いわゆる追加緩和といったものではない」としている。株価の乱高下を「市場参加者の早とちり」と片づけてしまうことは簡単だが、投資家の誰もがすぐに理解できるような内容(表現)にする工夫が必要ではないのか。日銀に対する信頼感が薄らぐことにもなりかねない。(冨田康夫)


出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)

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