【市況】【植木靖男の相場展望】
株式評論家 植木靖男
「米国株調整に追随するか」
●気迷い感が横溢、きっかけ待ち
市場は気迷い気分が横溢しているようだ。建玉を抱える投資家は、なんとなく持続しているのが不安で売りたくなるのだが、下がらない故に売りを手控えている。消極的な持続である。
それだけに、いったん下落が始まると雪崩を打って売り急ぐ公算が高い。もちろん、買い手は半分腰が引けた買いだ。決して高値を積極的に買うことはない。
そもそも、今の相場は強いのか弱いのか。少なくとも日経平均という指数をみる限り、11月12日現在7連騰であり、この間の上昇幅は1000円余に達する。だが、日に日に騰げ幅は縮小し、手詰まってきている感を覚えるのは筆者ばかりではないだろう。
昔から、新値八手、九手は転換と言われるが、いよいよという感じがする。とはいえ、下がらないのは強い相場の証し、誰でもわかる道理である。今はすでに調整に入っている、と言えば馬鹿な、と一蹴されそうだ。
通常、調整といえば日柄調整と値幅整理がある。だが、時として騰げながら調整することもないとは言い切れない。具体的には、朝方売られるが、後場に入ると押し目買いが入って、結局引けは小高くなる。ここ数日の値動きが典型例だ。
このようにみると、今後の展開は、なにかきっかけがあれば、騰げも下落もあり得ることになる。
●値動き優先、仕手材料株に出番
では、どちらであろうか。筆者はカギを握るのは米国株価とみている。いうまでもなく、NYダウは、8月24日の一番底に対し、9月29日に二番底と典型的な短期調整を経て出直ってきている。だが、11月に入って騰げ足が止まり、高値波乱をみせている。この米国株価はじつに素直な姿といえる。
利上げに向かう米国と円安を好材料とする日本では、株価は逆行するはずだが、ドル円相場は騰げ止まっているのが現実である。
だとすると、米国株がさらに波乱をみせるとすれば、日本株もそれに追随するはず。
米国株は、残念ながら11月12日の下落をもって経験的には調整入りしたと判断される。
さて、こうした流れの中で物色対象を絞るのは難しい。まずは業績より値動きが優先されることになろう。つまり、仕手材料株の出番である。医薬品株に注目したい。
2015年11月13日 記
株探ニュース