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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「過熱の反動に身構え」

株式評論家 冨田隆弥

◆サイコロ10勝2敗、騰落レシオ134%(25日線)、RCI89%(25日線)……などテクニカルの多くに過熱信号が出ている。だが、そんな中を日経平均株価は11月12日現在で7日続伸、75日移動平均線や200日線、一目均衡表「雲」などの節を突破し、1万9725円まで伸ばしている。9月安値1万6901円から2800円強、日足は右カタ上がりの階段波動を描いている。

◆11月4日に「郵政3社」が上場した。国策でもある郵政上場を成功させるために、10月から証券会社主導で地ならしが行われてきた可能性は高い。ならば、その上場を果たして証券会社の自己売買部門は「お役御免」となるところだが、そのあとも日経平均は強い地合いを続けている。

◆直近は朝方、安く始まっても後場から切り返すという展開が目立っている。同じような流れは今年春先に何度も見せられたこと。3月や5月がそうであったが、チャートに亀裂を入れるような調整があっても、そのあと力強いV字回復を何度も演じてきた。その回復過程でよく見られたのが「後場に切り返す」パターンであったが、恐らく後場になると年金のインデックス買い(JPX400)や日銀のETF買い、売り方のショートカバーなどが入って指数を下げさせないのだろう。

◆5月21日以降のサイコロは10勝2敗、11勝1敗と強含み、6月1日にはとうとう12勝0敗を記録した。テクニカルを無視するのは年金・政策相場の特徴でもあり、今月も同じように日経平均はさらに上伸する可能性は否めない。だが、テクニカルの過熱を無視した上昇はどこかで息切れするし、頭打ちのあとは7月、8月がそうであったように反動も小さくない。それが相場というものだ。

◆日経平均のチャートを見ると、8月2万0946円高値から9月1万6901円まで4045円幅下げ、そこから直近2824円幅、下げ幅に対して69.8%戻している。2007年10月、サブプライム初動の戻り率73%に近付いてきた。堅調地合いが続いており、証券会社など強気派がまた息を吹き返してきた。「2万円」の掛け声も多くなり、買い戻しもかなり進んだ。強気派が増えてきたことは逆に「間もなく頭打ち」となることの証しでもある。その意味で、日足の「陰転信号」や10月から引ける「下値抵抗線」は注視すべきだし、それを割ったなら過熱を解消するために反動安も小さくないだろう。そうした地合いが訪れることを、いまから想定して身構えておきたい。

(11月12日 記、毎週土曜日9時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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