【特集】「自動運転」関連、本格発進へ! <株探トップ特集>
―20年に向け各社本腰、世界市場で先行狙う―
「自動運転車」の開発を巡る状況が活発化してきた。トヨタ <7203> や日産自 <7201> などの大手自動車メーカーが、相次いで自動運転の実用化時期を発表。各社の目標に差はあるものの、ほぼ東京五輪が開催される2020年前後をメドとする方針が打ち出された。世界市場での先行が目指されているが、自動運転関連の市場は巨大であり、大手自動車メーカーはもちろん自動車部品、電機部品など国内外企業が入り混じっての開発競争は、これから本格化する。
●トヨタなど実用化方針を決定
最大手のトヨタは今月6日、2020年ごろの実用化を目指した自動運転実験車を公開。高速道路での車線変更などが可能な市販車を20年ごろに発売することを明らかにした。
また、日産自は、16年に高速道路の一定の車線に限定した自動運転車を発売する予定。20年には市街地や交差点での自動運転も目指している。さらに、ホンダ <7267> も20年をメドに高速道路での自動運転機能を実用化する方針を決めたと伝えられた。
海外メーカーもゼネラル・モーターズやフォード、BMWなど大手メーカーは、自動運転への取り組みを進めている。いまや自動運転は、自動車業界の主導権を握るための、最もホットなフィールドに浮上した格好だ。
米ボストンコンサルティング・グループは「2035年には世界新車販売台数の25%、3000万台超が自動運転車になる」と予想する。
また、ゴールドマン・サックス証券は、先進運転支援システム(ADAS)・自動運転車の現在の部品関連の市場規模30億ドルが、2025年には960億ドルに達すると試算。今後10年は年平均42%成長を見込んでいる。
●部品、システム関連など多大な恩恵
自動運転を巡り新たな巨大市場が誕生し、同分野の基幹部分を握る企業は急速な成長が確実視されている。関係する分野も車載カメラや、レーダー、マッピング、ソフトウエアなど幅広い。
例えば、政府は自動走行に向けて、道路の構造や走路の環境などの情報を統合化した「ダイナミックマップ」の構築を進めているが、今月には同マップの試作・評価にかかわる調査検討を受託したとして、アイサンテク <4667> [JQ]が急伸した。同調査はパスコ <9232> やゼンリン <9474> なども受託している。ドーン <2303> [JQ]も地理情報システム関連で注目されている。
また、クラリオン <6796> は、18年に自動駐車システムの実用化を目指している。同社は日立 <6501> と共同で歩行者の行動変化を予測し衝突を防止する基本技術を開発している。
パイオニア <6773> は走行空間センサー「3D-LiDAR(ライダー)」の開発を進めているほか、ドイツ企業と「高度化地図」の活用に関して協業する方針だ。ベリサーブ <3724> は次世代ITS実走行検証サービス「VSAS(バーサス)」を提供している。センサー絡みで日セラ <6929> 、北電工 <6989> なども注目されている。
●ZMPの動向に注視
自動運転の技術を開発するベンチャー企業、「ZMP <7316> 」(東京・文京区)との提携の動きも活発化している。
ディーエヌエ <2432> はZMPと共同出資で自動運転タクシーの事業化を目指す「ロボットタクシー」を設立した。株式上場も噂されるZMPのパートナー企業にはJVCケンウ <6632> やソニー <6758> 、THK <6481> 、コマツ <6301> などが名前を連ねている。
電子部品関連では、ソニーは車載カメラ専用のCMOSセンサーを手掛け注目されているほか、日電産 <6594> はホンダ子会社の買収などでADAS関連の展開を加速している。
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