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【特集】郵政3社は好人気、高配当低PBRで魅力 <株探トップ特集>


-株価動向、相場への影響を探る-

 郵政グループ3社の東証上場が11月4日に迫った。19日には、ゆうちょ銀 <7182> 、かんぽ生命 <7181> の売り出し価格が、1株当たり1450円、2200円とそれぞれ仮条件の上限で決まった。NTT <9432> 以来の超大型民営化IPO(新規株式公開)案件とあって、国民の関心も日増しに高まっている。その人気ぶり、上場後の株価動向、全体相場への影響などを探った。

●新規顧客50%増の証券店舗も

 売り出し価格と上場時の発行済み株式数で試算した時価総額は、ゆうちょ銀が6兆5250億円、かんぽ生命が1兆3200億円。今回の売り出し総額はゆうちょ銀が5980億円、かんぽ生命が1452億円に達する。

 これだけの超大型のIPOにもかかわらず、売り出し株への購入意欲は極めて強いようで、「グループ3社をセットで購入したいという投資家が多く、株数の少ないかんぽ生命は品薄状態にある」(市場関係者)という声がある。

 また、全国津々浦々にきめ細かいネットワークを持ち抜群の知名度を誇る企業グループとあって、投資未経験者を含めて国民の注目度は極めて高いようだ。中堅証券の個人営業担当役員は「支店によってばらつきはあるものの、これまで株式取引口座の無かった新規顧客の増加率が通常時に比べて50%程度にハネ上がっているケースもある」としている。なかでも多いのは“家族新規”といわれる、口座所有者の配偶者や子供、孫などに広がるケースだという。

●長期保有で“配当狙い”

 購入意欲が高まっている背景には、売り出し価格の水準自体が割安に設定されたことがある。ゆうちょ銀の配当利回りは3.4%、PBRは0.47倍。かんぽ生命の配当利回りは2.5%、PBRは0.67倍と、メガバンクや既上場の大手保険会社に比べて魅力的な水準となっている。

 中堅証券の投資情報部では「成長性に期待した株価の値上がり益狙いよりも、長期間保有して配当を得ようとする志向の顧客が多いようだ。なかには“金利の低い定額貯金に預けているよりも、ゆうちょ銀の株を買って配当をもらった方が得”という発言も飛び出すほど」としている。

●機関投資家の買いでジリ高推移

 上場後の株価動向で、まず注意したいのは、全体の80%が国内(20%は海外)で、そのうち95%は個人投資家向けのため、投資経験の浅い個人の最低単位株主の比率が非常に高くなり、投資行動が極めて読みにくいということだ。

 上場時には、“積極的な売り手”と想定される存在がないため、買い先行で売り出し価格に比べてある程度上昇した時点で初値を形成することになりそうだ。初値形成後には、個人投資家によるさまざまな思惑売買を反映して、しばらくは波乱展開も予想される。

 しかし、その後は大型銘柄とあって国内を中心に機関投資家からはポートフォリオの構成上、一定程度は保有しなければならないという買い需要によって、ジリ高推移が想定される。

●全体相場への需給影響は軽微

 まず、懸念されていた郵政株を購入する資金を捻出するための保有株売却の動きは、配当のある一部電力株にそうした売りが指摘されたものの、全体相場に影響を与えるような大きなマイナスにはならなかったようだ。

 また、株式投資未経験者の参入比率が予想よりも多いのに加え、既存投資家の場合でも、保有株を売却せずに、別勘定の預貯金で購入するケースも多いようだ。

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