【特集】郵政3社、賢者の投資法 <株探トップ特集>
―割安さと配当利回りに魅力―
11月4日に新規上場する日本郵政 <6178> とその傘下のかんぽ生命保険 <7181> 、ゆうちょ銀行 <7182> の日本郵政グループ3社の仮条件が7日に発表され、IPOに向けて市場のムードも盛り上がりをみせている。NTT <9432> 以来の超大型の新規上場で、全国津々浦々にきめ細かいネットワークを持ち抜群の知名度を誇る企業グループとあって、株式投資未経験者を含め国民の注目度は極めて高い。そこで、今回は賢い投資戦略を探った。
●3銘柄をセットで申し込み
7日引け後に発表された仮条件は、日本郵政は1100~1400円、かんぽ生命が1900~2200円、ゆうちょ銀行が1250~1450円で、仮条件の上限で試算した市場からの資金調達額は、3社合計で1兆4362億円に達する見通し。また、時価総額は最大で14兆円強で、1987年2月に上場したNTTの約25兆円に次ぐ規模になる。なお、売り出し価格(公開価格)はゆうちょ銀行とかんぽ生命が10月19日、日本郵政は同26日にそれぞれ決定する。
この郵政3社を株式投資の対象として見た場合、企業規模の大きさや経営の安定性はもちろんだが、一番分かりやすいのはPBR(株価純資産倍率)面で0.3~0.6倍と東証1部平均値の1.3倍を大きく下回る割安さ。そして、もう一つの魅力は2~3%台(東証平均1.8%)という配当利回りの高さにある。
最低売買単位が100株単位のため、それぞれ上限価格が売り出し価格となり、100株ずつ3銘柄を公開価格で購入した場合、50万5000円の資金が必要となる。もちろん1銘柄での購入も可能だが、この3銘柄をセットで購入したいという投資家が多いようだ。公開価格で買いたい場合は、幹事証券などから申し込んで抽選ということになる。
●上場直後の購入は慎重に
市場関係者からは「8月中旬以降、日経平均株価が急落している軟調地合いにもかかわらず、郵政3社IPOへの個人投資家の関心は非常に高い。新規(現在株式市場に投資されていない)資金で購入したいとする要望も多いようだ」との見方が出ていた。したがって、一部にある「超大型のIPOで市場から資金が吸い上げられ、需給関係が悪化して全体相場も低迷する」との見方は杞憂に終わる可能性もある。
公開株式の購入を申し込んでも、当然抽選に漏れるケースもある。そうなると、上場後に市場を通して買うことになる。そこで問題となるのは、初値を狙って買うのか、しばらく様子を見てからの方が良いのかということだ。
中堅証券の投資情報部では「今回は普通のIPOと異なり、20%が海外、80%が国内で、そのうち95%は個人投資家向け。これだけの大型銘柄とあって国内機関投資家からはポートフォリオの構成上、一定程度は保有しなければならないという事情がある」としている。つまり、機関投資家からの買い需要は上場後に継続するということだ。
個人投資家が圧倒的に多いという特殊要因で、上場後の価格推移は極めて読み難いが、初値やその直後にもし大幅高した場合は注意が必要だ。
●景気押し上げの起爆剤とも
ある程度保有し続ける場合はどうか。今回の売却株数は発行済み株式数の約11%に過ぎず、今後継続的に何回かに分けて売却が実施される見通しだ。あくまでも配当取得を目的に長期保有を目指す場合は問題ないが、値幅を取ることを意識している場合は、今後何回かにわたって継続する売却で上場株式数が増加していくことには留意したい。
いずれにしても、郵政3社の株式上場をきっかけに、株式投資を始めた個人投資家が資産を増やすことにつながれば、それが消費を喚起させ、国内景気自体を押し上げる起爆剤にもなり、アベノミクスが掲げてきた“デフレ脱却”実現への大きな支援材料となる。
【徹底特集! 郵政3社IPO】より
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