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2015年10月20日19時30分

【市況】矢口 新のマーケット羅針盤 「TPA理論を巡るQ&A」


●Q:TPA理論について、質問します。

「TPA理論で導かれる最も効率的な運用、すなわち、時間効率的に最大の値幅を確保する運用は、時間制限のある(投機的)売買が完結しつつあるのを見極めることで得られる。このことは、相場の行き過ぎからの反転を見極めること、『谷越えを待って買い』、『山越えを待って売る』ことを意味する。」

 このメッセージの意味するところは、オーバーシュートの戻りを狙いなさいということでしょうか。つまり、オーバーシュートの発生を捉えることは難しく、発生したオーバーシュートを見極めて、戻りを取れる手法を考えなさい、ということでしょうか。

 発生を捉えようとすると、時期によっては失敗するエントリーばかりが増えてしまうこともあると思います。また、オーバーシュートの発生の直後は流動性が低い場合もあります。また、途中からではいつ反転するかも見えませんし、どこまで伸びるかわかりません。

 TPA理論は、このような理解で正しいでしょうか。

●A:概ね、その通りです。確認のために追記します。

 ファンダメンタル分析は、投資物件の分析ですが、主に(量的な制限はあるが)時間的な制限が緩い投資資金に関与します。そこで、「私には1年後の株価は分かるが、明日の株価は分からない」と、豪語するようなファンドマネージャーが出てきます。

 しかし、トレンドを取るそのような運用では、上げ幅を全部取ったところで、年間10~20%のリターンが限界です。下げれば、その分やられるような運用です。

 一方、毎日1%の上下動(ボラティリティ)があれば、それだけでも年間250%の収益機会があります。どちらを狙うのが、時間効率的に最大の値幅を確保する運用かは明らかです。そういったボラティリティは、ファンダメンタル分析では扱いません。そこで、ファンドマネージャーたちは、ボラティリティをリスクとして、避けようとします。

 ところが、市場には、投資資金の他に、より大きな金額を扱う投機資金がいます。「買ったものは必ず売り戻す。売ったものは必ず買い戻す。」という投機資金の性格を理解すれば、市場価格は大なり小なりのオーバーシュートを常に繰り返していることが分かります。買い過ぎては売り戻し、売り過ぎては買い戻すのです。

 相場の行き過ぎからの反転を見極めるとは、買い過ぎたポジションを売り戻すところから始まります。やがて、追随売りなどが出て、市場はニュートラルとなり、その後、売り過ぎに偏ります。そして、売り過ぎたポジションを買い戻すのです。相場はその繰り返しです。

 つまり、オーバーシュートの戻りとは、やがて反対方向のオーバーシュートに至る発生の芽だと言えます。上手く捉えれば、時間効率的に最大の値幅が確保できるのです。

 相場はそういった波動を繰り返しますので、谷越え確認、山越え確認の転換点の見極めの精度が高まるにつれ、確保できる値幅が広がります。これは道理です。

 その道理が分かれば、転換点の見極めに全精力を傾けるのが、収益を拡大する最も近道だということが分かります。無理は通りません。

 私自身は、「相場観という、いわば煩悩」に支配されて、分かっていながら途中で入るという無理を繰り返しています。


矢口 新(やぐち あらた)
アストリー&ピアス、野村證券、グリニッジ・キャピタル・マーケッツ、ソロモン・ブラザーズ、スイス・ユニオン銀行などで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤める。2002年5月株式会社ディーラーズ・ウェブ創業。2013年4月まで同社代表取締役社長。JTI(Japan Trading Intelligence)初代(2003-7年)代表。

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