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【特集】土信田雅之【中国株】秋の相場観特集_04 /年末までの上海総合指数は、2900~3600ポイントを想定

土信田雅之氏
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田雅之氏

 中国株市場の値動きはしばらくもみ合いが続き、膠着感が強まる可能性が高い。年末までの上海総合指数のレンジは、2900~3600ポイントを想定している。中国に対する不安を背景に、夏場に世界的な株価急落の場面があったことは記憶に新しいが、中国景気が最近になって急激に悪化したわけでない。

 むしろ変わったのは、「中国を見る外部からの視点」の方だ。これまでの中国に対するイメージは、「何だかんだで経済成長を続けていくだろう」、「それに伴って人民元も上昇していくだろう」、「もしもの時は当局が何とかしてくれるだろう」というものだ。すでに兆候が出ていた景気減速については、これまでの高成長から消費主体の安定成長へと移行する「新常態(ニューノーマル)」の過程にあり、一時的な減速は仕方がないと受け止められてきた面がある。それが、8月に人民元が突然切り下げられ、その後の株価急落に対する当局の対応が後手に回ったことで、仕方ないとされていた景気減速についても不安ムードに変化したという構図だ。

 今後は、来年から始まる新5カ年計画に向けて、10月の5中全会や12月の中央経済工作会議などで景気対策が打ち出されると予想され、ある程度の景気下支え効果はあるだろう。ただし、対外純資産よりも多い外貨準備高など、実際の資金フローの面も徐々に意識され始めている。カネ回りが悪くなった途端、一気に中国景気が冷え込む事態になると、再び中国発の世界株安というシナリオが浮上するため、リスク要因として頭に入れておきたい。

<プロフィール>

青山学院大学国際政治経済学部卒業。国内証券会社にて営業やマーケティング、商品開発に携わった後、現職。国際テクニカルアナリスト連盟国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。日本国内の市場はもとより、留学経験のある中国市場の分析にも従事。


編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【秋の相場観】特集より

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