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【特集】冨田康夫【日本株1】秋の相場観特集_01 /外部要因の変化受け年内2万円回復も

冨田康夫
日刊株式経済新聞 編集長 冨田康夫

 まず、指摘したいのは、8月中旬からの世界同時株安にあって、約1カ月半の短期間に日経平均株価が19%も下落して1万7000円台を割り込んだという状態は、明らかに“下げ過ぎ”だったということだ。日経平均採用銘柄の予想PERは一時13倍台まで低下し、アベノミクスの上昇相場がスタートした2012年11月14日のPERとほぼ同水準となっていた。現状は、日経平均株価が25日移動平均線を上回り、反転上昇の兆しが鮮明になっている。

 日本株下落の2大要因となった中国経済の失速懸念と、米金利上昇開始を巡る不安感にも徐々に変化が出はじめている。来年からの第13次5カ年計画を前にして、10月中に中国共産党の重要会議(五中全会)が開催される。ここで財政出動を含めた景気対策が打ち出されれば、世界的な景気減速傾向に一定の歯止めがかかる可能性がある。一方、10月2日発表された米9月雇用統計の内容が、市場予想を大きく下回ったことなどから、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ開始が来年に先送りになるとの受け止めが広がりはじめている。

 国内では安倍晋三首相が7日の内閣改造を経て「経済最優先の政権運営」をスタートさせる。アベノミクス第2ステージの目標として「1億総活躍社会」を示し、少子高齢化に歯止めをかけ、GDP(国内総生産)600兆円の達成を掲げた。これに向け、新しい3本の矢をとして、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」を挙げている。

 焦点は、政府が内需刺激策として、3~5兆円規模の補正予算を伴う経済対策を打ち出す可能性があることだ。また、10月30日に公表される展望レポートで日銀の物価見通しが大きく下方修正されることになれば、同日の決定会合で量的金融緩和が断行される可能性もある。これらの想定を考慮すれば、年末までの日経平均株価2万円回復も十分可能となる。

 注目したい投資対象としては、引き続き勢いの衰えないインバウンド関連などの小売セクター、自社株買いや増配など株主還元に積極姿勢を打ち出している銘柄、株価指標面から割安感が際立っている商社に注目してみたい。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【秋の相場観】特集より

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