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9795 ステップ

東証P
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前日比
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PTS
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13:12 04/26
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ステップ Research Memo(5):17/9期も過去最高業績を更新する見込み


■今後の見通し

(1) 2017年9月期の業績見通し

ステップ<9795>の2017年9月期の業績は売上高が前期比3.6%増の10,539百万円、営業利益が同3.5%増の2,537百万円、経常利益が同3.0%増の2,559百万円、当期純利益が同5.5%増の1,761百万円と過去最高業績を連続更新する見通しだ。

新規開校予定スクールは2017年春に小中学部で3校を予定している。うち、2校は横浜市北部の激戦エリアに、残り1校は神奈川県西部に位置する足柄上郡となる。同地域は、県内では横浜・川崎市を除けば最も人口増加が進んでいる地域であり、生徒数の増加が見込まれることから進出を決定した。なお、現在交渉中の物件がまとまれば、追加で1校開校を計画している。一方、高校部については、2018年春に1校開校する予定となっている。また、今期の設備投資額は786百万円を計画している。新規スクール開校費用で106百万円、賃貸物件から自社物件への移転(小中学部3校)に伴う建物建築費用で520百万円となる。

期中平均の生徒数については前期比で4.2%増(うち小中学部3.7%増、高校部6.7%増)を見込んでいる。2016年10月末の生徒数は前年同期比で2.8%増とやや伸び悩んでいるが、学習塾業界全体の生徒数の伸び率も2016年春以降、鈍化傾向となっており、景気の先行き不透明感が強まったことが影響している可能性がある。また、同社のボリュームゾーンである中学2年、3年生の伸びが微増にとどまっているが、これは神奈川県の公立高校入試制度改革が導入から4年目に入り、受験対策として入塾をする動きが一巡した可能性がある。ただ、直近では冬期講習の申込みが学年によっては前年比で1.3倍となるなど好調に推移しており、今後の生徒数増加に向けて明るさも見えている。同社では、2017年春の生徒募集獲得に向けた取り組みを強化することで挽回は可能と見ている。

今期の新たな取り組みとして、小学生部において週に2回ある国語の時間のうち、1つを「幅広教養」の科目に衣替えする。「幅広教養」とは国語をベースに算数や理科、社会など科目横断的に雑学・教養なども取り入れた授業で、授業の形式もクイズ形式を取り入れるなど、生徒に対して学習への意欲を高める工夫を凝らしたものとなっている。一部先行してスタートしているスクールでは反響も上々のようで、知識の吸収度合いも早いと言う。同社では同様のプログラムを学童保育や中学部でも取り入れることができるかどうか検討している。

なお、学童保育「STEPキッズ」については2017年春から小学3年生まで対象を拡大していく予定となっている。同社では専任スタッフ5名に加えて、近隣のSTEP校の教師がサポートして運営している。低学年ということもあり、精神的な成長を育むプログラム、あるいは学習意欲が向上するようなプログラムなどを2?3年かけて開発していく予定だ。特に、小学校低学年では子供によって成長スピードにバラつきがあり、求めるレベルも異なるため、どのようにプログラムを最適化していくかが課題となる。

同社では、収益モデルを確立してからスクール数も複数展開していく計画となっている。このため、当面は同社業績に与える影響は軽微だが、将来的には収益拡大に寄与するものと期待される。なお、幼児を対象とした「ステップ保育園」については、社員向けの福利厚生を目的に開始し、12月には厚生労働省から「企業主導型保育事業」の認定を受けた。

(2)大学入試制度改革への対応について

2020年度の大学入試制度改革ではセンター試験が廃止され、コンピュータ端末を利用した受験方法が新たに検討されるなど、大きく変わることが予想されている。とりわけ、英語については従来の「読解力と作文力」中心の試験から、「英会話」の能力も重視されるようになる。実際には、英検やTOEIC、TOEFLなど外部機関で得た資格や点数などを用いることになりそうだ。このため、学習塾においても実用レベルでの英語力アップに向けたカリキュラムの充実が求められることになる。

既に2014年度から一部の大学ではTEAP試験※の導入が開始されており、同社でも2014年から高校生を対象にTEAP対策講座を開講している。また、英会話力を強化するため、17年度の高1生からは授業に英語のスピーチ指導を積極的に取り入れる。2020年度の大学入試制度改革によって、英語に対する学習ニーズは一段と拡大するものとみられ、同社もそのニーズを確実に取り込んで成長につなげていく。

※英検などの英語能力判定試験で基準スコアを満たしていれば、受験の際に英語科目が免除される入試制度

(3)中長期的に安定成長を堅持

全国的に少子化が進むなか、神奈川県内においても学齢人口は今後も緩やかに減少傾向が続くと見られるが、同社は今後も神奈川県内で校舎数を拡大していくことで、安定成長を継続していく方針となっている。開校ペースは小中学部で年間3~4スクール、高校部では3~4年に1校ペースとなり、業績としては年平均で4~5%程度の安定成長と営業利益率20%台を継続していくことを目標としている。

小中学部においては現在、119スクール体制となっているが、神奈川県全域をカバーするには160スクール程度が必要と見ており、少なくとも今後10年程度かけて全域をカバーしていくことになる。また、高校部では現在の14校体制を将来的には20校まで拡大する予定となっている。少子化による影響を受けるものの、既存校においてはシェア拡大によって生徒数を維持し、進出エリアを拡大することによって生徒数の伸長を図っていく戦略だ。

特に、同社の現在の地盤は神奈川県西部や湘南エリアであり、人口の多い横浜市や川崎市についてはまだ、進出余地が多く残されているといった点も見逃せない。これらエリアは学習塾の激戦区であるものの、同社が長年培ってきた学習指導方針を継続していくことで、シェアを着実に拡大していくものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

 提供:フィスコ

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