信用
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)のみができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

9644 タナベCG

東証P
998円
前日比
-5
-0.50%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.9 1.55 4.41 39.09
時価総額 175億円
比較される銘柄
RPA, 
LTS, 
オーケストラ
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

タナベ Research Memo(10):5つの成長モデルの推進と人員採用を強化することで成長を加速させる


■今後の見通し

3. 成長戦略
タナベコンサルティンググループ<9644>は「One & Only 世界で唯一無二の経営コンサルティンググループ TCGの創造」を実現するため、5つの成長モデルの実装とM&A戦略を推進し、また、持続的な成長を実現するためのコーポレート戦略に取り組んでいる。

(1) TCG5つの成長モデルの実践
a) プロフェッショナルDXサービスモデル
同社のコアバリューである「経営戦略の策定機能」を深化させるとともに、現場の実行支援においてデジタル技術を駆使した「プロフェッショナルDXサービス」のメニューをグループ会社と協業しながら拡充していくことで売上成長を図っていく。2023年3月期に実装したサービスとしては、建設業界向けDXCloud(ERPシステム)のほか、エンゲージメントサーベイ、性格能力判定サービスなどがある。

「プロフェッショナルDXサービス」については今後もHR及びPR領域、グローバルマーケティング領域などを優先領域として、2社程度をグループ化していくことで基盤をより一層強固なものとし、唯一無二の経営コンサルティング・バリューチェーンを構築していく考えであり、2023年2月に外資系を含む大企業に対する戦略PR、海外PR及びデジタルマーケティングの戦略立案・運用支援を強みとするカーツメディアワークスをグループ化することを発表している。なお、2026年3月期の売上目標150億円のうち、M&Aによる効果で約20億円を見込んでいるが、実際にはグループシナジーの発現により、売上増効果はさらに大きくなるものと弊社では見ている。

b) C&C開発モデル
同社はC&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略を推進している。経営コンサルティング領域の開発の流れについて簡単に説明すると、社会環境等の変化によって新たに生まれてきた経営ニーズや経営課題などについてテーマ化し、それをチームコンサルティングメニューとして商品化、研究会・セミナーを通じてチームコンサルティング組織を組成(コンサルティングセグメンテーション)し、次のステップとしてコンサルティング事業化し、M&A実施も含めてコンサルティング領域を拡げている。今後もM&Aを駆使していくことでコンサルティング領域の拡大を図っていく方針だ。2023年3月期に実装したサービスとしては、「サクセッションプラン策定・運用支援」「IT化構想支援」「DXリーダースクール」などがある。

c) マーケティングモデル
ターゲットとする大企業から上場企業を含む中堅企業の約8万社に対して、地域密着のリージョナル戦略と独自のマーケティングモデル(経営コンサルティング領域別の専門サイト、各種セミナー、研究会等を導線とした見込み顧客の獲得)によって顧客獲得を図り、経営コンサルティング契約の継続率70%以上と、売上計画の35%を新規顧客の獲得で達成していく。経営コンサルティング領域別の専門サイトは「長期ビジョン・中期経営計画策定」「DX」「HR」「コーポレートファイナンス・M&A」「事業承継・M&A」「SDGs」に関する戦略別の多彩な専門サイトを運営し、これらサイトを通じて見込み顧客を多く獲得でき、チームコンサルティング契約件数増加につながっており、今後もコンテンツ拡充に取り組んでいく方針だ。

そのほかにも、CRMコンサルティング部門における既存顧客へのフォローアップ強化によって新たなコンサルティング需要の掘り起こしも進めており、2023年3月期第2四半期累計におけるチームコンサルティング契約の1社あたり平均売上高の増加(前年同期比9.2%増)にもつながっている。同社では顧客当たり平均売上高で年率10%アップを目標にしている。

d) チームアップ&パートナー100モデル
「C&C開発モデル」との連動により、既存組織及びチームから新しいリーダーを生み出し、これらリーダー人材をパートナー人材に育成するためのマネジメントシステム(企業内大学による育成プログラム等)を構築し、パートナー人材を50名から100名に増やしていく。ここで言うパートナー人材とは、コンサルティングチーム(5~10名)をまとめる人材を指す。このため、パートナー人材を100名育成すると言うことは、コンサルティングチームが100チームできることを意味する。特に、今後は地域経済の活性化に貢献すべく、地域エリアでのチーム拡大に取り組んでいく方針だ。また、2022年4月より新しいチームと新しいリーダーシップの創造を加速させることを推進できる組織体制に移行しており、今後のパートナー人材の育成が進むものと期待される。

e) アカデミーモデル
プロフェッショナル人材※の早期育成(目標2年)を目的に、オンライン&リアルを融合した教育研修システム「TCGアカデミー」の拡充を進めている。アカデミー導入後は、チーフコンサルタントへの育成スピードが従前の5年程度から2~3年に短縮するなど既に成果も出始めている。「リーダーシップアカデミー」「HRコンサルタントアカデミー」「ファイナンシャルコンサルタントアカデミー」「CRMコンサルタントアカデミー」といったように領域、階層ごとのアカデミーも創設しており、人材育成について一層の効率化が進む見通しだ。

※プロフェッショナル人材とは、チーフコンサルタントとして5社以上を担当し、特定分野のプロジェクトリーダーとなる人材。


(2) 人的資本マネジメント
同社は2026年3月期に連結従業員数800名を目標に掲げており、今後、採用体制を強化して新卒・キャリアの採用数を増やしていく計画となっている。キャリア採用では業界に精通した実務経験者を採用し、地域事業所での体制強化を図るべくIターン、Uターン採用にも注力していく方針だ。従前と比較して経営コンサルティング領域が拡がっていることもあり、キャリアの採用数を増やしていくことは可能と見られる。また、グループ採用については導入していないものの、同社を通じてグループ各社に人材を紹介するルートは構築している。

コンサルティング事業では人材が売上のベースとなるため、人員増が計画通り進むかどうかが中期業績目標達成のカギを握ると言っても過言ではない。同社では採用強化に加えて、TCGアカデミークラウドによる効率的な人材育成、並びに多様な人材が活躍できる人事制度の導入や「Smart DX」投資による働く環境の整備により、優秀な人材の定着率向上に取り組むことで、800名の達成を目指していくことにしている。なお、人員の定着率は89.0%(3年平均)と業界では高水準を実現している。

(3) SDGsの取り組みについて
SDGsに関しては多くの企業から引き合いが増加していることを受け、「SDGs実装コンサルティング」「SDGs研究会」「SDGs教育」等の商品を開発し、顧客企業のSDGsへの取り組みを支援している。同社自身においても、事業所における電力節減やペーパーレス化など環境面での取り組みに加えて、健康経営の推進、コーポレート・ガバナンス体制の強化を図っている。現在、マテリアリティの特定並びにKPIの設定作業を進めている段階にあり、今後も重要な経営課題の1つとして取り組んでいく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YI》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均