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【特集】桂畑誠治氏【日経平均波乱含み、期末に向けた相場展望を読む】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―一時400円超の下げ、決算発表通過で次のポイントは―

 週明け13日の東京株式市場は軟調な動きで、日経平均株価は一時400円超の下落をみせるなど波乱含みの展開となった。ここまで米国株市場を横目に順調に上値を指向してきたが、目先は利益確定を急ぐ動きが表面化している。上場企業の決算発表も今週前半で大方終了するが、果たして2月後半以降の相場展望にこれまでと変化はみられるのか。第一線で活躍する市場関係者2人に今後の東京市場の見通しと物色の方向性について聞いた。

●「目先は米CPI注目も、次回FOMCまで方向感見えず」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 目先マーケットの関心が高いのは日本時間明晩に発表が予定される1月の米消費者物価指数(CPI)で、この結果がマーケットに少なからぬ影響を及ぼすことになる。事前予想は総合で前年同月比6.2%上昇と昨年12月の同6.5%上昇からはだいぶ鈍化する見通しにある。また、コア指数のコンセンサスについても1月は5.5%上昇と12月の5.7%上昇からは伸び率が鈍るとみられており、この見方通りであれば、米国株市場は好感する公算が大きい。ただ、予想より上振れた場合は、FRBの金融引き締め長期化に対する警戒感が再燃し、NYダウなど主要株価指数は改めて下値を探る展開となることも予想される。

 国内に目を向けると、企業の決算発表が一巡したが総じて想定内の範囲だったといえる。個別企業ごとに決算内容で明暗を分けたとはいえ、全体的にネガティブな印象は受けない。ここからは再び経済指標などマクロ要因で全体相場が左右されやすくなる。直近では日銀の次期総裁が戦後初となる経済学者出身の植田和男氏に事実上決まったが、これはサプライズではあったものの、データ重視の姿勢で金融引き締めを急ぐ必要はないとの認識を示していることもあって、当面の株式市場に与えるマイナス影響は希薄である。

 明日の米CPIは目先の大きな関門ではあるが、ここを通過しても3月21~22日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)まではいくつかの重要経済指標が控えており、その都度全体相場のボラティリティは高まるものの、方向感は見えにくい状況が続きそうだ。そうしたなか、3月期末までの日米株式市場のレンジとしては、NYダウは3万2500~3万5000ドルを見込み、日経平均については2万6500~2万8200円前後を想定している。物色対象としては市況底入れが期待される半導体関連セクターのほか、金融正常化の流れを見据えた銀行セクター、あるいは中国経済再開の動きを背景に鉄鋼海運株などに着目しておきたい。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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