貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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9502 中部電力

東証P
2,010.0円
前日比
+6.5
+0.32%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.9 0.59 2.99 11.12
時価総額 15,236億円
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明日の株式相場に向けて=電力株にみる原発再稼働の思惑と需給関係

 きょう(2日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比44円安の2万7413円と反落。前日の欧州と米国株市場はほぼ全面安商状だったほか、きょうのアジア株市場も総じて売られる展開となっていたので、日本株だけ買われる道理もなく、ここでのひと押しは仕方のないところ。日経平均にして44円安というのは底堅さを発揮したといって差し支えない。あえて理由を挙げれば円安効果ということになるが、実際に円安メリット株はほとんど指数に貢献していない。下値を支えたのは金融株や百貨店など内需系の一角だった。

 欧米では、常にインフレ高進と金融引き締め強化に対する警戒感が高まったり、後退したりを繰り返している。発表される経済指標の内容で振らされている、というよりは同じ内容であっても、その時の地合いによって反応が変わるというのが現実だ。むしろその後の相場の動きにあわせて、経済指標の影響を後講釈的に補足しているといった方が実態に近いような時が多い。ちなみに前日は5月の米ISM製造業景況感指数が市場予測に反して上昇、米国経済は強いという認識をマーケットに与えた。しかし、今回はこれがFRBによる金融引き締め強化の動きを促進するとの見方に傾き、株式市場にはマイナスに作用した。テクニカルに目を向けるとNYダウ、S&P500指数、ナスダック100の騰落レシオ(25日移動平均)がいずれも100%を若干上回った状態にあり、それほど過熱感はないものの既に戻り一巡感が生じていることは否めない。

 そうしたなか、きょうの東京市場では電力株に久々にスポットライトが当たった。物色人気に火をつけたのは、やはり原発再稼働に関わる思惑であった。島根県松江市にある中国電力・島根原発2号機について、島根県の丸山知事がきょう午前に開かれた県議会で再稼働容認の意向を表明したことがメディアを通して伝わった。これに株式市場も即座に反応した。中国電力<9504>が大きく買われたのをはじめ、柏崎刈羽原発の再稼働の可能性に関心が集まっている東京電力ホールディングス<9501>、大飯原発3、4号機や高浜原発3、4号機などを再稼働させている関西電力<9503>などにも投資資金が勢いよく流入、このほか中部電力<9502>、北陸電力<9505>、北海道電力<9509>など、電力各社一斉高に買われる場面があった。

 言うまでもなく思惑の中心は東電HDだ。世界最大級の柏崎刈羽原発が稼働すれば、夏場の首都圏での電力不足の問題は雲散霧消するに等しい。また、岸田政権が掲げる新しい資本主義においても、脱炭素への取り組みに際し太陽光などの再生可能エネルギーだけでなく、クリーンエネルギーの切り札である原子力の活用に前向きな姿勢を明示している。

 5月29日に行われた新潟県知事選では、原発再稼働反対を訴えた野党系候補を退け、現職の花角氏が圧勝で再選を果たした。野党側のバックアップの足並みが揃っていなかったこともこの結果につながったが、これにはやはり政治的な思惑が背景にある。世論調査でも原発の再稼働賛成派は増勢にあり、それを横目に立憲民主党や国民民主党など野党も一部で原発容認姿勢が浸透している。市場関係者によれば「今の政治の流れは、遅かれ早かれ柏崎刈羽原発の再稼働の道筋に合流していく」(中堅証券アナリスト)という声が聞かれる。

 しかし、東電HDの株価はそうした事情を織り込みつつも今一つ冴えないのも事実だ。きょうも一時29円高の519円まで買われたが、その後は尻すぼみの状態となった。巨大なる仕手株相場に向けた可能性が消えたとはいえないが、きょうの動きを見る限りは上値の重さが拭えない。同社株の信用取組をみると、直近5月27日申し込み現在で買い残が大幅に増加し、一方で売り残は急減、信用倍率は3倍近くまで開いている。本来、この動きが逆でなければ需給相場の妙味は醸成されない。柏崎刈羽原発の再稼働に向けた新たな材料が出現するか、膨らんだ信用残の整理が進み需給がタイト化するかしないと、現状は相場になりにくい印象を受ける。同関連では、防衛関連の中核でもある三菱重工業<7011>が圧倒的に強い。また、助川電気工業<7711>が再動意。東京エネシス<1945>も継続マークしたい。

 あすのスケジュールでは、6月の日銀当座預金増減要因見込みなど。また、3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。海外では、4月のユーロ圏小売売上高、5月の米雇用統計、5月の米ISM非製造業景況感指数など。なお、中国(上海・深セン)、香港、台湾、タイ、英国市場が休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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