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9470 学研ホールディングス

東証P
929円
前日比
+20
+2.20%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.5 0.77 2.69 168
時価総額 415億円
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決算発表予定日

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城南進研 Research Memo(1):主力の個別指導塾で小学生が増加、退塾率も改善し明るい兆しが見え始める


■要約

城南進学研究社<4720>は東京・神奈川を地盤とする総合教育ソリューション企業。大学受験の「城南予備校」から出発し、社会環境の変化に対応して小中学生や乳幼児へと教育サービス領域を拡大してきた。子会社では、保育園や学童保育の運営、社会人向け英語教育サービスなども展開している。一生を通じた一人ひとりの主体的な学びを支援し、たくましい知性としなやかな感性を育む能力開発のリーディングカンパニーを目指している。

1. 2023年3月期第2四半期累計業績は個別指導部門の低迷により減収減益に
2023年3月期第2四半期累計(2022年4月-9月)の連結業績は、売上高で前年同期比5.5%減の3,064百万円、営業利益で同94.8%減の5百万円と会社計画(売上高3,231百万円、営業利益77百万円)を下回った。売上高はデジタル教材・ソリューション部門や保育園、スポーツクラブ子会社で増収となったものの、主力の個別指導部門が受験学年を中心とした生徒数の減少や生徒当たり売上単価の低下により、同22.4%減と大きく落ち込んだことが減収要因となった。売上減により減益となったが、人件費や地代家賃、その他経費の削減等に取り組んだことで営業利益は黒字を確保した。

2. 2023年3月期は収益構造改革の継続により黒字確保を目指す
2023年3月期の業績は売上高で前期比1.2%増の6,328百万円、営業利益で同222.8%増の252百万円と期初計画を据え置いたものの、第2四半期までの進捗状況からすると下振れする可能性がある。ただ、引き続き経費削減に取り組むことで黒字は確保する見込みだ。売上高は、デジタル教材・ソリューション部門や算数専門の「りんご塾※」、保育園などの増収が見込める一方で、個別指導部門が減収となる見通し。ただ、個別指導部門では2024年3月期以降の成長を見据えて、非受験学年の生徒獲得に注力しており、直近では入塾生徒数も小学生を中心に増加傾向となっている。また、顧客満足度の向上に取り組んできたことで、退塾率も前年同期比で数ポイント改善するなど明るい兆しが見え始めている。また、デジタル教材については、オンライン学習システム「デキタス」が経済産業省主催の「未来の教室」実証事業に3年連続で採択されたほか(計画には含まず)、2023年から家電量販店でパッケージ商品として販売を開始する予定となっており、個別指導部門の下振れ分をある程度カバーするものと期待される。

※「りんご塾」は算数オリンピック対策に特化した専門塾。算数オリンピックとは、小学生以下の子どもを対象とするコンテストで、1992年より毎年開催されており、「日本数学オリンピック」参加選手の登竜門ともなっている、算数を共通語に思考力と独創性を競う大会。


3. 2024年3月期以降の成長に向け経営基盤を再構築
2021年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、「学びの個別最適化」の追求、「教育ソリューション事業」の戦略的展開、付加価値の高い「幼少教育事業」の確立、「収益構造改革」の断行、「クレド経営」に基づく人財育成の5つを基本戦略として掲げ、再成長に向けた経営基盤の再構築(黒字化体質への転換)を図る期間と位置付けてきた。進捗状況は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が一部の事業で続いているほか個別指導部門の売上低調が続いたものの、「収益構造改革」による筋肉体質への転換は順調に進んでいるものと評価される。今後はいかに売上成長を実現し、利益率を向上していくかが課題となる。同社では今まで蓄積してきたノウハウを全ブランドに浸透させ、ICTも活用しながら業務効率の向上と売上拡大を図っていくほか、また、教育ソリューション事業を拡大していくことで収益性の向上を目指していく。教育ソリューション事業では、「デキタス」や「くぼた式育児法※」のグループ外への拡販を推進していく。「くぼた式育児法」については、園児獲得のためのキラーコンテンツとして需要が見込まれる。個別指導部門では、「学びの個別最適化」による学力向上(=顧客満足度の向上)に加えて、「りんご塾」を「城南コベッツ」に併設していくことで小学生の生徒獲得につなげ再成長を目指す。そのほか、2022年8月に学研ホールディングス<9470>と業務提携を発表し(12月に資本業務提携に発展)、今後両社の持つコンテンツやノウハウを共有しながら、乳幼児から社会人まで幅広い教育サービスでシナジーを創出すべく協議を進めていく考えだ。2024年3月期以降はこうした取り組みの効果が顕在化し、収益も成長軌道に復帰するものと期待される。

※記憶力・思考力・判断力といった「考える力」に影響する重要な脳の領域である「前頭連合野」を0歳から徹底して鍛えることで、自発的に考え、行動し、問題解決能力を持った人へと成長させるための土台を築く育脳プログラム。


■Key Points
・2023年3月期第2四半期累計業績は減収減益となるも、収益構造改革の効果で営業利益は黒字を確保
・2023年3月期も固定費削減効果により増益基調が続く見通し
・収益構造改革にほぼ目途が付き、戦略的提携も推進しながら2024年3月期以降の再成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YI》

 提供:フィスコ

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