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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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8771 イー・ギャランティ

東証P
1,714円
前日比
-16
-0.92%
PTS
1,714.1円
09:43 05/10
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
25.5 3.85 2.04 10.99
時価総額 817億円
比較される銘柄
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Jトラスト, 
九州リース
決算発表予定日

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Eギャランティ Research Memo(3):「保証残高×保証料率」で売上高を積み上げるストック型ビジネスモデル


■会社概要

2. 事業概要
(1) 事業内容
イー・ギャランティ<8771>は企業間取引の際に発生する売上債権等の信用リスクを保証するサービスを主に手掛けている。以下に事業の流れを説明する。

同社は企業間取引で発生した売上債権等に関する未回収リスクを「保証」という形で事業会社または金融機関などから受託契約し、債務不履行が発生した場合に契約時に定められた保証額を限度に契約企業に支払う格好となる。契約企業にとっては、売上債権等の未回収リスクを一定の保証料を支払うことで最小限に抑えることが可能となる。契約期間は大半が1年契約となっており、保証料は原則として保証開始日の前営業日に一括徴収し、これを月分割して売上計上している。このため、月ごとの売上変動は比較的小さく、ストック型のビジネスモデルとなる。

売上高は「保証残高×保証料率」で決まるため、保証残高をいかに積み上げるかが、売上成長の鍵を握ることになる。保証料率に関しては日々発表される経済指標や企業倒産件数の動向、過去の経験則に基づいた未回収リスクの発生確率など様々なデータを分析して、毎月見直しを行っている。企業の倒産件数が増加傾向にあるときは信用リスクも増大するため、保証料率は上昇する。また、実際の保証料率に関しては個々の契約内容や保証対象企業ごとにリスク審査を行ったうえで決定している。業界内で規則がないため自由に設定できるが、リスクヘッジに見合った保証料率を設定している。

また、引き受けた信用リスクに関しては、リスク度合いに応じて細分化し、金融機関やファンド等の金融リスク商品としてポートフォリオを再組成して移転(流動化)している。信用リスクの移転に伴って発生する支払保証料や支払手数料等が売上原価の大半を占めることになる。

このため、同社が顧客と契約する保証料率と同社がリスク移転先に支払う保証料率のギャップが売上原価率の変動要因となる。同社ではリスク移転手法の多様化、高度化を進めることで支払保証料率の低減を進めているほか、子会社でファンドを組成することでリスク受託力の強化を図り、支払保証料等の社外流出を抑え低コスト化を実現している。ここ1~2年の売上原価率の動きを見ると、2021年3月期はコロナ禍で信用リスクが高まるなか、保証料率の引き上げを実施したが、それ以上に支払保証料率が上昇したため、売上原価率は前期比4.9ポイント上昇した。逆に、2022年3月期は企業倒産件数の減少等により支払保証料率の低下幅が大きくなったことで、売上原価率は同4.0ポイント低下している。なお、ファンドは1本当たり200~1,000億円規模で信用リスクを引き受けており、金融機関等から資金を調達している。ここ数年は超低金利下で運用パフォーマンスの維持・向上が難しくなっていることもあり、同ファンドに対する需要は旺盛で、有利な条件で資金を調達できているようだ。

(2) 営業体制
同社は、営業拠点を東京本社のほか大阪支店、九州支店(博多)、名古屋支店、北海道支店(札幌)、東北支店(仙台)、北陸支店(金沢)と合計7ヶ所に開設している。このうち、東北支店は2022年5月、北陸支店は同年6月に開設した。従来は出張ベースで対応していたが、旺盛な需要に対応するため拠点を段階的に広げてきた。同社ではあと1拠点を開設する予定にしている。

顧客開拓に関しては、地方銀行を中心とした金融機関や商社、リース会社などと業務提携を結び、提携先から顧客紹介を受けることで効率的に獲得している。とりわけ、地方銀行については2022年4月末時点で50行と業務提携を結ぶなど、ほぼ全国にネットワークを確立しており、全体の紹介案件の約8割を占める重要な顧客開拓ルートとなっている。このため顧客を地域別に見ると、全体の約8割が首都圏以外の地方企業となっている。同社は都市部で中小企業の顧客開拓を進めるべく、2016年3月期以降は信用金庫との提携も推進しており、2022年7月末時点で11行と提携している。また、証券会社4社とも提携しており、主に都市部で顧客紹介を受けている。

顧客数は中小から大企業まで合計5,000社を超え、業種も卸売業、小売業、製造業など多岐にわたっている。このため、特定業種の景気変動に影響を受けにくい収益構造となっている。同社はこれら顧客からサービスの審査対象となる企業の情報を収集し、データベース化している。審査企業は毎月3万社を超え、企業間取引に関する情報だけでなく周辺情報なども含め1日260万項目以上のデータを収集し、データベース化している。データベースには経営者の属性から口コミサイトの評価状況に至るまで様々な情報が含まれており、これらデータを用いてリスク度合いを分析し、最終的には審査担当者の経験等も加味したうえで、個社ごとに最適な保証料率を設定している。ここまでの幅広いデータ収集と徹底した分析を行う企業は他にはなく、同社の強みにもなっている。

また、同社のサービスを利用する企業のリピート率は90%以上の水準で安定して推移している。一度、同社のサービスを利用した企業は、そのメリットを認識することでほぼ継続して利用していることになる。企業は取引先の信用状況をチェックするための審査業務を行っているが、取引額が小さい企業まですべて自社で審査を行うのは費用対効果という面で効率が悪く、こうした取引先については同社の信用保証サービスを利用することでリスクヘッジを行うケースが多い。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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