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8424 芙蓉総合リース

東証P
13,590円
前日比
+185
+1.38%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.5 0.96 2.87 9.19
時価総額 4,116億円
決算発表予定日

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芙蓉リース Research Memo(4):2020年3月期の業績は大幅な増収増益(過去最高業績を更新)(1)


■決算動向

3. 2020年3月期決算の概要
芙蓉総合リース<8424>の2020年3月期の業績は、売上高が前期比15.2%増の7,123億円、営業利益が同16.1%増の414億円、経常利益が同12.6%増の440億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.6%増の261億円と大幅な増収増益となり、過去最高業績を連続更新した(経常利益は3期連続、当期純利益は5期連続)。また、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画に対しても順調に進捗している。

インボイス及びNOCの連結効果※を含む、BPOサービスの伸びが増収に大きく寄与した。また、事業本来の業績を示す「差引利益」についても前期比13.9%増の858億円と順調に拡大。「不動産」や「航空機」など戦略分野における「営業資産」の積み上げに加え、BPOサービスを中心とする新領域が「差引利益」の伸びに大きく貢献している。「契約実行高」についても、「不動産リース」が順調に拡大したほか、アクリーティブによるファクタリング(売掛債権や診療報酬債権の買取り)が大きく伸長。2020年3月末の営業資産残高は前期末比5.4%増の2兆3,840億円と順調に積み上がっている。

※2018年10月から連結化したインボイスが通年寄与(6ヶ月分の上乗せ)したほか、2019年8月より連結化したNOCも6ヶ月分の上乗せとなっている。


経常利益についても、外貨借入の増加(航空機事業の拡大に伴うもの)による資金原価増やインボイス及びNOC連結化(人件費やのれん償却費を含む)などがコスト増加要因となったものの、「差引利益」の伸びで吸収して増益を確保した。

これらの結果、ROA(営業資産経常利益率)については1.90%(前期は1.76%)に大きく向上。戦略分野を中心とした良質な営業資産の積み上げに加え、インボイス及びNOC(BPOサービス)を含めた、ノンアセット収益の拡大がROAの向上につながったと言える。

財政状態については、「営業資産」の積み上げなどにより総資産が前期末比6.2%増の2兆7,525億円に拡大した一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同5.4%増の2,758億円に増加したことから、自己資本比率は10.0%(前期末は10.1%)と横ばいで推移した。また、有利子負債(リース債務を除く)も同6.4%増の2兆2,310億円に増加したが、直接調達比率は33.4%(前期は34.1%)、長期有利子負債比率は39.7%(同37.7%)、短期の支払い能力を示す流動比率も138.3%(同133.7%)と安定しており、財務の健全性は維持されている※。

※2019年11月8日に(株)格付投資情報センター(R&I)により、発行体格付が「A-」(シングルAマイナス)に維持されるとともに、格付の方向性は「ポジティブ」に見直された。同様に、2019年11月18日には(株)日本格付研究所(JCR)により、長期発行体格付「A+」(シングルAプラス)に引き上げられている。


各戦略分野等における業績や活動実績は以下のとおりである。

(1) 不動産
2020年3月末の「営業資産残高」は、前期末比5.4%増の4,447億円と順調に拡大した。大口ブリッジ案件の期中売却があったものの、「契約実行高」を1,422億円(過去2番目の水準)に伸ばしたことで打ち返すことができた。ここ数年、順調に積み上げてきたことから、中期経営計画の中間目途値(3,800億円)に対しても大きく上振れている。特に、アライアンス先の拡大によりブリッジ案件が好調に推移。長期建物リースにおける用途の分散(商業、ホテル・介護、居住、レジャー・サービス、物流、その他)も維持されている。また、ROAについてもブリッジ案件の売却益計上もあり2.2%(前期は2.0%)に向上した。

(2) 航空機
2020年3月末の「営業資産残高」は、前期末比10.1%増の1,649億円に大きく拡大した。保有機体数も41機(前期比6機増)に増加している。また、ROAも2.1%(前期は期末に新規実行が重なったことで1.4%に低下していた)に回復していることが確認できた。ただ、ここ数年、競争が激化するなかで、案件の選別を行ってきた結果、中期経営計画の中間目途値(営業資産残高2,100億円、保有機体数49機)に対しては大きく下振れる状況となっている。もっとも、別の見方をすれば、コロナ禍の影響により航空会社の業績に不透明感が広がるなかで、結果的に健全なポートフォリオ※を形成してきたところは評価できる点と言える。

※ポートフォリオの6割は日系エアライン(機体ベース)であるほか、景気変動の影響を受けやすいワイドボディ(大型機)の組み入れはない。


(3) 海外
2020年3月末の「営業資産残高」(海外事業における関連会社への出資額を含む)は、円高の影響もあり前期末比0.7%減の992億円と伸び悩んだ。中期経営計画の中間目途値(1,100億円)に対しても下振れる状況となっている。また、ROAについても0.9%(前期は0.8%)とわずかな改善にとどまった。海外はオーガニックとインオーガニック(M&Aや提携など)の2つの成長軸で進めている。これまでは北米エリアで現地企業2社※を持分法適用会社化するなど、インオーガニック戦略を軸として営業基盤の拡充を図ってきた。ただ、世界的な投資環境の過熱に加え、足元ではコロナ禍の影響により不透明な状況が広がっていることから慎重なスタンスを取っている。今後は同社が強みを持つ分野(不動産、エネルギー・環境等)を中心に、顧客と連携した海外案件の取り組みにより、オーガニックな成長を目指していく方針である。

※TDF Group Inc.(ピックアップトラックのレンタル・リース)及びPacific Rim Capital,Inc(マテハン機器のオペレーティング・リース)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《EY》

 提供:フィスコ

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