【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─月並みだが、「森を見ず、木を見よ」の投資戦術が有効!
株式評論家 杉村富生
「月並みだが、『森を見ず、木を見よ』の投資戦術が有効!」
●日経平均株価、NYダウは目先の高値を形成?
7~8月相場は基本的に、高値もみ合いの展開だろう。 日経平均株価は2万3178円、 NYダウは2万7572ドル(ともに、6月8日の終値ベース)で目先の高値を形成した可能性がある。したがって、当面は個別物色(森を見ず、木を見よ!)の投資戦術が一段と有効となる。すなわち、銘柄勝負である。
外部環境ではトランプ大統領の再選戦略に狂いが生じ、安倍政権の求心力(支持率)が低下している。トランプ大統領の支持率は、民主党のバイデン候補と15ポイント以上の差がある。やはり、失業率の高止まりが痛い。このままでは現職が敗れたカーター、フォード、ブッシュ(父)氏に続き、4人目(戦後)の不名誉な大統領になろう。
劣勢を挽回するために、より過激な行動に走る可能性がある。就労ビザの一部発給停止、ドル安誘導(?)、中国に対する強硬姿勢などがそうだ。IMF(国際通貨基金)によると、コロナショックによって、世界の2020年のGDP成長率はマイナス4.9%、1300兆円の“富”が失われる、という。
政治のゴタゴタはそれに拍車をかける。もちろん、人気取りのための施策(1兆ドルの社会資本投資、日本は第1次~第2次の補正予算に200兆円を投入)は期待できる。日本の場合、真水部分の投資額は「景気対策の1%効果」と称されるGDPの1%(5兆円)の11倍(61兆円)に達する。
これが株価を下支えるだろう。為替には円高圧力がかかっている。朝鮮半島、香港情勢、中国の海洋進出、インドとの軍事衝突)などの地政学上のリスクがある。この結果、主軸株は手掛けづらい。それに、外国人、先物の影響を受けすぎる。
●主軸株を避け、小物の材料株にマトを!
一方、物色テーマはどうか。ポストコロナの世界ではデジタル化(ITの活用)があらゆる分野において、一気に進むだろう。産業構造、生活スタイルは激変する。21世紀に入って、国際的なトレンドだったグローバリゼーション、ボーダーレス、自由貿易の流れは修正を余儀なくされる。国境の復活は深刻な人手不足を誘発する。
製造業ではロボットの導入、省力化が加速し、サービス業(小売り)ではキャッシュレス、無人店舗の必要性が高まる。AI(人工知能)はごく日常的に使われるようになる。DX(デジタルトランスフォーメーション)、5G(次世代通信網)は社会インフラの一部となろう。
特に、医療、行政の分野でのIT化は急務だ。厚生労働省は「2年以内に医療改革を行う」と明言、総務省は「スーパーシティ構想の実現」を急いでいる。
キーウェアソリューションズ <3799> [東証2]はNEC <6701> が5位の大株主にいる。NEC系のシステムインテグレーターだ。医療ICTに強い。電子カルテ、臨床検査・病理検査システムのほか、院内感染監視システム「Medlas-SHIPL」を有する。好業績だし、PERは16倍と出遅れている。
このほか、テレビ会議システムのブイキューブ <3681> 、5G関連の多摩川ホールディングス <6838> [JQ]、インサイドセールスを手掛けるブリッジインターナショナル <7039> [東証M]、電子認証のGMOクラウド <3788> 、物流のIT化を担うユーピーアール <7065> [東証2]などに注目できる。
2020年6月26日 記
株探ニュース