貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8316 三井住友FG

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指数に勝った「強い勝ち組」、その人たちが儲けた銘柄&損した銘柄はなに?

24年の日本株戦略はこれだ(データ分析編~その4)

真弓重孝、高山英聖(株探編集部)

■回答データの分析シリーズ ~ 第1弾
その1-「23年に含み損が最大の銘柄のトップは『ニ』で始まる、では含み益は?」を読む
その2-「上級者・億り人が今年に期待する銘柄のトップはアレと、アレのアレ!?」を読む
その3-「新NISAの成長枠、上級者と億り人の約80%が利用、では運用銘柄はなに」を読む

年明け早々から重たい空気に包まれた日本を、励ますような振る舞いを見せているのが足元の日本株市場だ。

1月15日時点で、日経平均株価は年初から6勝1敗、昨年末比で+7.3%。そしてTOPIX(東証株価指数)は7連勝と同6.7%になっている。

日経平均は2023年に+28%、TOPIXは+25%の上昇となったモメンタム(騰勢)が、今年も保ち続けるとするならば、その波に乗る投資家はどのような人なのか。

それを探ったのが、「株探」編集部が昨年11月下旬から12月上旬に実施したアンケート調査だ。その回答分析の第1弾は、昨年末から年明けにかけて3回に分けて紹介した(上記参照)。

今回からその第2弾を、3回に分けて掲載していく。比較するのは、昨年のリターンが回答時点で+30%以上と上の2指数をアウトパフォームした強い勝ち組さんと、同じくマイナスリターンとなってしまった残念組さんの2つのグループだ。

強い勝ち組さんは全回答者の3273人のうち12.1%の395人、残念組さんは同29.5%の964人になる。今回は、

・2つのグループの属性、
・23年の運用成績、
・投資対象の銘柄サイズ
・平均的な保有期間
・含み益ないし含み損が最大の銘柄(回答時点)

――などを見ていく。

以後、回答結果は原則2つのグループと全回答者(全体)の3つを掲載していく。なお、銘柄関連は2つのグループの結果のみの掲載としている。

強い勝ち組で最も多いのは「中級者」

まず、日本株の個別株の運用額を見ると、強い勝ち組さんは、「1000万~2000万円未満」が最も多く、次に「500万円~1000万円未満」、そして3番目が「5000万円~1億円未満」となっている。運用額が比較的大きい人たちの割合が高く、億り人も9%超の割合になっている。

一方の残念組さんは投資金額が500万円未満の人で約3分の2を占めている。

■日本株(個別)の運用額
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位1000万円~2000万円未満17.2%100万円~300万円未満25.9%100万円~300万円未満18.8%
2位500万円~1000万円未満13.9%100万円未満22.3%500万円~1000万円未満17.2%
3位5000万円~1億円未満13.4%300万円~500万円未満16.1%1000万円~2000万円未満14.8%
4位3000万円~5000万円未満12.4%500万円~1000万円未満15.8%300万円~500万円未満14.1%
5位2000万円~3000万円未満11.6%1000万円~2000万円未満10.9%100万円未満13.4%
6位300万円~500万円未満10.6%2000万円~3000万円未満4.6%2000万円~3000万円未満6.8%
7位1億円~3億円未満6.3%3000万円~5000万円未満2.1%3000万円~5000万円未満6.6%
8位100万円未満6.1%5000万円~1億円未満1.3%5000万円~1億円未満5.0%
9位100万円~300万円未満6.1%不明0.8%1億円~3億円未満2.2%
10位10億円以上0.8%1億円~3億円未満0.1%不明0.6%
11位3億円~5億円未満0.5%5億円~10億円未満0.1%3億円~5億円未満0.2%
12位5億円~10億円未満0.5%3億円~5億円未満――10億円以上0.2%
13位不明0.5%10億円以上――5億円~10億円未満0.1%
注:回答は左から順に395、964、3273

投資の腕前の割合を見ると、残念組さんは想定通り「初級者」が最多だったのに対し、強い勝ち組さんは想定に反して「中級者」が最も多かった(下の表)。

■日本株(個別)投資のレベル
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位中級者34.4%初級者38.6%初級者36.6%
2位上級者28.1%中級者32.4%中級者32.1%
3位初級者23.5%初心者24.7%初心者17.2%
4位不明5.8%不明2.7%上級者8.8%
5位初心者5.6%上記以外1.0%不明3.8%
6位上記以外2.5%上級者0.6%上記以外1.4%
注:回答は左から順に395、964、3273

投資の腕前の定義は、下の表の通り。上級者は投資の知識を獲得済みで、投資スタイルを確立し、満足のいく成果を上げている。

中級者は、知識も投資スタイルも持っているが、満足のいく成果を上げておらず、初級者は知識を身につけたが、投資法は確立途上の状況になっている。

■投資の腕前の定義
レベル知識投資法成果
初心者×――
初級者――
中級者
上級者

強い勝ち組さんは、「バリュー」「大型」「超長期」の割合がトップ

中級者でも、強い勝ち組さんの仲間入りをしたポイントはどこにあるのか? 

その理由の一端を示すのが、以下のメーンとする投資戦略、主な投資対象のサイズ(時価総額)、そして保有期間3つだ。

強い勝ち組さんは、「バリュー」派の割合が半数近くになり(下の表)、狙うサイズは「大型株」が最多で、次に中型株となっている(下の下の表)。

■日本株のメーンとする投資戦略
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位バリュー44.1%グロース33.4%バリュー31.9%
2位グロース26.3%バリュー20.5%グロース26.6%
3位不定8.4%テクニカル・需給18.6%不定13.5%
4位テクニカル・需給7.6%不定13.7%テクニカル・需給13.2%
5位テーマ4.6%テーマ4.9%株主優待狙い6.3%
6位その他3.8%株主優待狙い4.0%テーマ3.9%
7位株主優待狙い3.0%イベント1.7%その他2.3%
8位イベント1.8%その他1.5%イベント1.2%
9位オプション・先物0.5%オプション・先物0.9%オプション・先物0.6%
10位不明――不明0.8%不明0.5%
注:回答は左から順に395、964、3273

■日本株の主な投資対象(サイズ)
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位大型株32.7%中型株33.3%大型株28.5%
2位中型株27.6%小型株32.2%不定28.0%
3位超大型株25.1%不定25.1%中型株27.1%
4位不定22.8%中大型株20.1%小型株22.7%
5位中大型株21.5%大型株18.9%中大型株21.8%
6位小型株21.5%超大型株7.5%超大型株15.9%
7位超小型株4.8%超小型株7.5%超小型株4.6%
8位不明――不明1.2%不明0.9%
注:回答は左から順に616、1405、4893。回答は2つまで。割合は回答人数ベース

そして保有期間は3年以上の「超長期」が最多、次に「長期」で、いずれも30%台後半の割合を占めている(下の表)。

■日本株の主な保有期間
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位超長期37.7%中長期28.3%長期29.3%
2位長期35.2%中短期23.8%中長期28.7%
3位中長期25.1%長期22.2%超長期23.6%
4位中期17.7%中期21.6%中期17.8%
5位中短期14.9%短期20.2%中短期16.7%
6位短期8.6%超長期12.3%短期12.7%
7位不定7.6%不定10.3%不定12.7%
8位超短期3.5%超短期8.5%超短期4.6%
9位不明――不明0.2%不明0.2%
注:回答は左から順に594、1421、4788。回答は2つまで。割合は回答人数ベース

これに対して、残念組さんは「グロース」派が最多で、サイズの上位は「中型株」「小型株」の順、そして保有期間は「中長期」「中短期」の順となっており、両者は対称的な状況となっている。

TOPIXのスタイル別指数を見ても、昨年は「大型バリュー」が優位な展開だった(下の図)。その風をうまく受けたスタイルを取ったのが強い勝ち組さん。その風が吹かないところで勝負したのが負け組さん。そのことが回答結果から浮き彫りになった。

■TOPIXのスタイル別指数の23年のパフォーマンス
【タイトル】
出所:QUICK・ファクトセット

なお、銘柄サイズと保有期間の定義は以下の通りとなっている。

■銘柄サイズと区分の定義
サイズ時価総額区分期間
超大型株1兆円以上超長期3年以上
大型株3000億円~1兆円未満長期1年以上~3年未満
中大型株1000億円~3000億円未満中長期3カ月以上~1年未満
中型株300億円~1000億円未満中期1カ月以上~3カ月未満
小型株100億円~300億円未満中短期1週間以上~1カ月未満
超小型株100億円未満短期1日以上~1週間未満
超短期1日未満

指数の2倍以上アウトパフォームする人は限られている

強い勝ち組さんと負け組さんの23年の勝敗とプラスおよびマイナスのリターンの分布は以下の通りとなっている。

日経平均やTOPIXをアウトパフォームした強い勝ち組さんのパフォーマンスで最多は、「30%~50%未満」で、70%近い割合となっている(下の下の表)。

同じ表の右端に示している全回答者(全体)の場合、「30%~50%未満」は4位で、その割合は11.9%にとどまっている。この状況から、指数をアウトパフォームするのは、容易でないことがうかがえる。そのことは、先に見たように、強い勝ち組さんのパフォーマンス分布が示している。

「30%~50%未満」が70%近い割合というのは、アウトパフォームの水準が「+20%ポイント」程度が全体の3分の2ほどを占めていることになる。つまり、指数の2倍以上のパフォーマンスを1年で上げられる人はごく限られることを回答結果は示している。

■2023年の日本株(個別)の運用成績
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位利益・含み益100.0%損失・含み損100.0%利益・含み益68.4%
2位損失・含み損29.5%
3位不明2.2%
注:回答は左から順に395、964、3273

■2023年のプラスのリターン率
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位30%~50%未満67.3%5%未満――10%~30%未満43.3%
2位50%~80%未満17.0%5%~10%未満――5%~10%未満24.0%
3位80%~100%未満8.1%10%~30%未満――5%未満12.5%
4位2倍~5倍未満6.3%30%~50%未満――30%~50%未満11.9%
5位5倍~10倍未満1.0%50%~80%未満――50%~80%未満3.0%
6位10倍~20倍未満0.3%80%~100%未満――不明2.5%
7位2倍~5倍未満――80%~100%未満1.4%
8位5倍~10倍未満――2倍~5倍未満1.1%
9位10倍~20倍未満――5倍~10倍未満0.2%
10位20倍以上――10倍~20倍未満0.0%
11位不明――20倍以上0.0%
注:回答は左から順に395、0、2238

■2023年のマイナスのリターン率
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位▲5%未満――▲10%~▲30%未満32.2%▲10%~▲30%未満32.2%
2位▲5%~▲10%未満――▲5%~▲10%未満27.9%▲5%~▲10%未満27.9%
3位▲10%~▲30%未満――▲5%未満17.6%▲5%未満17.6%
4位▲30%~▲50%未満――▲30%~▲50%未満11.5%▲30%~▲50%未満11.5%
5位▲50%~▲80%未満――▲50%~▲80%未満4.1%▲50%~▲80%未満4.1%
6位▲80%~▲100%――不明3.6%不明3.6%
7位元本を超える減少――元本を超える減少2.1%元本を超える減少2.1%
8位不明――▲80%~▲100%0.9%▲80%~▲100%0.9%
注:回答は左から順に0、964、964

以下は、各グループの年齢、性別、職業の属性を見たものだ。両者の傾向はほぼ同じだが、残念組さんは、女性の割合がやや多いことが数少ない相違点となっている。

■年齢構成
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位50代28.1%60代25.7%50代26.4%
2位60代22.8%50代24.2%60代26.2%
3位40代17.7%40代19.2%40代18.8%
4位70代以上15.7%70代以上17.9%70代以上16.7%
5位30代12.2%30代10.0%30代9.3%
6位20代3.0%20代2.8%20代2.5%
7位10代0.5%10代0.2%10代0.2%
注:回答は左から順に395、964、3273

■性別
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位男性91.6%男性86.0%男性87.0%
2位女性7.8%女性13.7%女性12.7%
3位その他0.5%その他0.3%その他0.3%
注:回答は左から順に395、964、3273

■メーンとする職業
順位強い勝ち組割合残念組割合全体割合
1位会社員等42.3%会社員等41.9%会社員等41.4%
2位定年退職後18.5%定年退職後21.6%定年退職後22.5%
3位自営業10.4%自営業12.1%自営業10.9%
4位会社役員等9.4%パート・派遣社員等7.4%パート・派遣社員等6.5%
5位専業投資家6.3%会社役員等5.8%会社役員等5.8%
6位パート・派遣社員等3.5%専業主婦・主夫4.0%専業主婦・主夫3.7%
7位専業主婦・主夫2.8%専門職2.6%専門職2.8%
8位専門職2.3%その他1.9%専業投資家2.4%
9位その他2.3%専業投資家1.8%その他2.0%
10位求職中1.3%学生0.5%求職中1.1%
11位学生1.0%求職中0.4%学生0.7%
注:回答は左から順に395、964、3273

含み益と含み損が最大の銘柄のランキングは

最後に、強い勝ち組さんと残念組さんの昨年の含み益および含み損が最大となった銘柄を見ていく(調査回答時点)。

まず残念組さんの含み益で最大となった銘柄を見ていくと、トップは日本たばこ産業<2914>とトヨタ自動車<7203>と大型バリュー株が並んだ。

特徴的なのは、居酒屋チェーンの海帆<3133>が5位に入っていることだ。

■残念組さんが挙げた含み益(左)と含み損が最大の銘柄ランキング(原則30位以内)
含み益含み損
順位銘柄名<コード>順位銘柄名<コード>
1位JT<2914>1位ソシオネクス<6526>
1位トヨタ<7203>2位Aバランス<3856>
3位レーザーテク<6920>2位ニデック<6594>
3位三菱UFJ<8306>4位エムスリー<2413>
5位海帆<3133>5位レーザーテク<6920>
6位NTT<9432>6位円谷フィHD<2767>
7位ソシオネクス<6526>7位QDレーザ<6613>
8位ルネサス<6723>7位WSCOPE<6619>
8位三菱HCキャ<8593>9位Eインフィニ<7692>
10位信越化<4063>9位マイクロアド<9553>
10位カバー<5253>11位ギグワークス<2375>
10位任天堂<7974>11位SBG<9984>
10位東エレク<8035>13位フロンテオ<2158>
10位イオン<8267>13位アンジェス<4563>
10位みずほFG<8411>13位サイバー<4751>
10位オリックス<8591>13位モンラボ<5255>
17位住石HD<1514>13位トヨタ<7203>
17位INPEX<1605>13位マイクロ波<9227>
17位野村マイクロ<6254>19位アステラス<4503>
17位丸紅<8002>19位楽天グループ<4755>
17位郵船<9101>19位神戸鋼<5406>
17位商船三井<9104>19位ABEJA<5574>
23位ENEOS<5020>19位ダイキン<6367>
23位三菱重<7011>19位東エレク<8035>
23位三菱商<8058>19位三菱UFJ<8306>
23位三井住友FG<8316>
27位トリドール<3397>
27位霞ヶ関C<3498>
27位メルカリ<4385>
27位日本製鉄<5401>
27位KDDI<9433>
注:回答は左から826、894

同社は16年3月期から23年3月期まで8期連続の減益ないし営業赤字で、24年3月期も赤字見通しだ。

■『株探プレミアム』で確認できる海帆の通期業績の成長性推移
【タイトル】

23年3月期から増収基調となり、これを評価するように株価も22年末から上昇基調に転じ、足元の週足チャートは短期・中期・長期の移動平均線が共に上向くパーフェクトオーダーとなっている(下のチャート)。

分析シリーズの第1弾で示した全回答者の結果(参照記事)でも、業績不安が払拭されていない海帆株の含み益が最大という人の割合は18番目に多い。

とはいえ、残念組さんの場合は、5番目に多いというのは、その銘柄選びに改善点がある一端を示しているといえる。

■海帆の週足チャート(2019年12月~)
【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同


含み損については、ソシオネクスト<6526>、Abalance<3856>のグロース株が上位にきている。

なお、強い勝ち組さんの含み損益の銘柄については、次ページの株探プレミアム会員専用ページで閲覧可能となっている。

次回は今年(2024)の日本株市場の見通しと攻め方、キャピタルゲインやインカムゲインの期待値が高い銘柄ランキングを紹介する。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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