貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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8275 フォーバル

東証S
1,319円
前日比
+21
+1.62%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.2 2.29 2.12 0.96
時価総額 366億円
比較される銘柄
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兼松
決算発表予定日

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フォーバル Research Memo(2):情報通信分野を得意とする中小・小規模企業向けコンサルタント集団


■会社概要

1. 会社概要
フォーバル<8275>は、「中小・小規模企業の利益に貢献する次世代経営コンサルタント集団」を旗印に事業展開を行っており、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングを得意とし、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングなどを行う。従来は情報通信機器の卸売販売を主に行っていたが、2000年代半ばに大きな売上・利益減に直面し、アイコンサービスを主軸としたコンサルティング業態に転換した。このビジネスモデルの転換が成功し、2020年3月期まで営業利益は12期連続の増益を達成。情報化や経営改善、海外進出や事業承継など中小・小規模企業が抱える様々な課題を解決するユニークな企業である。全国各地の中小・小規模企業においてもDX及びGXが喫緊の課題となっており、同社の役割がより重くなっている。

2. 沿革
電気通信機器、コンピュータ、端末機器の販売、設置工事などを事業目的とした新日本工販(株)として、1980年に設立された。1988年に、創業者であった現代表取締役会長大久保秀夫(おおくぼひでお)氏が第1回アントレプレナー大賞を受賞したほか、当時の日本最短記録で店頭登録銘柄として株式公開した。1991年には、「For Social Value」から着想を得て現在の社名の(株)フォーバルに商号を変更した。2008年に総合ITコンサルティングサービス「アイコン」の提供を開始した。2014年1月に東京証券取引所(以下、東証)2部へ市場変更、同年10月に1部に指定された。

創業以来、同社は情報通信の分野でユーザーの視点から「新しいあたりまえ」を創出することに注力してきた。創業当時の電話機の自由化から始まり、市外料金の値下げ、国際料金の値下げ、市内料金の値下げに続き、回線基本料の自由化、法人携帯電話の普及と通話料金のさらなる削減を目標に挑戦してきた。現在は、「中小・小規模企業の利益に貢献する」と明確な目的を設定し、コンサルティングファームへの進化を掲げ、アイコンサービスのほか、次世代経営コンサルティング事業で中小企業に経営技術を伝授している。同社はM&Aを積極活用しており、総合環境コンサルティングビジネスグループの(株)アップルツリー、その他事業グループの(株)アイテックなど、多くの企業がM&Aにより連結子会社となり、業績を伸ばしている。最近では、2020年7月のカエルネットワークス(株)完全子会社化、2021年7月の(株)エルコム子会社化などが注目される。2021年3月には、DX推進の準備が整っている(DX-Ready)事業者を経済産業省が認定する「DX 認定制度 認定事業者」に、2021年4月には、中小企業に対して専門性の高い支援を行っている企業として「経営革新等支援機関」に、それぞれ認定された。

2022年には中長期の成長戦略テーマとして「中小企業のGDXの伴走型アドバイザーとして確固たる地位の確立」を掲げて取り組みを開始した。2022年4月の東証再編でプライム市場に移行したが、2023年10月に諸要件を検討した結果、スタンダード市場に移行している。

3. 事業内容
同社は、主軸のアイコンサービスやセキュリティ関連、複写機などのハードウェアの販売などを行う「フォーバルビジネスグループ」、光回線サービスやISPなどの通信サービスを取り扱う「フォーバルテレコムビジネスグループ」、太陽光システムやLED・蓄電池など環境関連商品を取り扱う「総合環境コンサルティングビジネスグループ」、人材・教育サービス及びシステム開発などの事業を行う「その他事業グループ」の4つの事業セグメントから構成される。

2024年3月期第2四半期は、フォーバルビジネスグループが全社売上高の構成比で50.7%、全社セグメント利益の中の構成比で53.1%。フォーバルテレコムビジネスグループが売上高の36.5%、セグメント利益の31.1%であり、上位2セグメントが主力である。総合環境コンサルティングビジネスグループはアップルツリーが主体であり黒字化を達成した。その他事業グループには、人材・教育分野のサービスを行うアイテック、システム開発を行う(株)フォーバルカエルワークが含まれ成長力があり、収益性も高い(セグメント利益の11.9%)。

4. 人材の育成と処遇
同社では顧客企業との接点を重視しており、接点を担う人材の教育に力を入れている。毎年入社する約70名の新入社員には、1年間という長い研修期間が設けられており、入社1年後に配属が決まる。1年間のなかで、同社の中核サービスであるアイコンサービスのアドバイザー、遠隔サポートのコールセンター、営業部門などを順次経験し、必要な専門知識やスキルを学んでいく。また、同社の業務を遂行するうえで、ITの基礎知識は必要不可欠であるという考えから、10以上の推奨資格を明示し、能力開発に活用している。なかでも5つの資格(1)ドットコムマスター、(2)ビジネス統計スペシャリスト、(3)個人情報保護士、(4)DXアドバイザー、(5)eco検定を重要視しており、顧客接点を持つ部署(コンサルティング、コールセンター、営業)のほぼ全員が取得を終えている。

同社はITなどにより顧客企業の生産性を向上させ、中小・小規模企業の課題である長い労働時間を解決する支援を行ってきた。自らも残業時間の削減や有給休暇の取得などを継続的に推進し、従業員の健康と生産性向上を図っている。特に、柔軟な働き方、メンタルヘルスなどのストレス関連疾患の発生予防、生活習慣病などの発生予防を重点課題と捉え、積極的に取り組んできた。2023年3月には、特に優良な健康経営を実践している企業や団体を認定する「健康経営優良法人」に6年連続で認定されている。また、「幸せの分配」と呼ばれる基本方針「会社の努力によって得た利益の増加分は、株主と会社と社員で3等分する」が存在し、社員のモチベーションを高めている。2023年12月には、人的資本に関する情報開示のガイドライン「ISO 30414」の認証を取得した(国内7社目、詳細後述)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《AS》

 提供:フィスコ

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