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7046 TDSE

東証G
1,773円
前日比
+7
+0.40%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.9 1.85 0.56
時価総額 39.0億円
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TDSE Research Memo(7):プロダクト事業は好調もコンサルティング事業の人材確保・育成と営業力強化が課題


■TDSE<7046>の業績動向

2. 事業別の動向
(1) コンサルティング事業
第3四半期決算において厳しい業況となったコンサルティング事業では、「MISSION2025」の達成に向け、人員拡充や既存事業の深耕、新規開拓によって売上拡大を図る方針だ。人員拡充に関しては、2023年3月期末から3年で技術人員を100名から141名、プロジェクトを担うリーダーを31名から41名へと拡充する計画だったが、技術人員の確保については幅広く採用活動を展開したため、2024年3月期第2四半期時点で既に123名となり、想定以上に速いピッチで採用を進めた。リーダーについては、技術人員をリーダーへと育成するには時間がかかること、AI業界の労働流動性が高いことから、2024年3月期第2四半期時点で1名も増えていない。この点は課題であり、個別のキャリアマトリックスなど自己成長を支援しマインド向上につながる教育フレームによって、本決算時には社員数に適正となるリーダーの増加を期待したい。

既存顧客とは業界動向や技術革新を背景に継続的な戦略投資を進める企業との関係を強化するとともに、新規顧客はTDSEネットワーク※を活用して開拓を強化する方針であった。既存顧客の深耕については、積極的に技術革新を取り込んでいる既存の大手顧客との関係は強化され、売上貢献に至っているが、これら企業に次ぐ顧客案件の拡大は今後の課題となっている。なお、一部顧客の事業環境変化による売上減少の影響が見られたことも大きい。新規顧客に関しては、デジタルマーケティングや元取引先社員の転職などで広がるTDSEネットワークを活用して開拓を強化する予定だったが、経営課題解決に資するコンサルティング案件を獲得するには時間や労力を要することから案件化は間に合っておらず、引き続き攻略を要する。なお、新規で始まったLLM支援サービスが一部企業で進んでいることから、これらの案件により企業開拓が進んでいくのか今後に期待したい。
競合企業の展開が着実に進んでいるなか、同社売上高を拡大するための展開力・営業力の強化が課題といえる。

※TDSEネットワーク:コンサルティング事業では顧客先のプロジェクトにサービスを提供することが多く、開発完了後に新たな職場に移ったプロジェクトリーダーなど、顧客担当者が再び同社と契約することが多いことから、この関係や連鎖を、同社では「TDSEネットワーク」と称している。


(2) プロダクト事業
a) ソーシャルメディアマーケティング事業
ソーシャルメディアマーケティング事業は順調で、外部環境と商品力を背景に、2024年3月期第2四半期で新規開拓数が14件と年間15件の目標に迫り、第3四半期も順調に推移したようだ。Xのデータ利用の有償化により、無償を前提にしていた安価な商品から、主に比較サイトでの情報掲載や同社主体の情報発信を通じて、同社「Quid Monitor」へ切り替える動きが急速に広がったといえる。

なお、ラインナップ及び機能強化の一環として、QUIDシリーズとしてブランド刷新を行った「Quid Compete」を新たに提供し、「Quid Monitor」の機能として、OpenAI社GPTを用いた『AISearch』を提供開始しており、QUIDブランドは生成AI機能を搭載した製品としての優位性ある特長を持ち合わせることとなった。

加えて、ラインナップ強化の一環として、新たな製品の導入準備に向け、今年度想定していなかったものの2023年10月に(株)JX通信社からテキストマイニングツールを約66百万円(うち61百万円を資産計上)で取得した。新製品は同社独自の製品となり、AIがテキストを自動分析して膨大なデータから今まで人手で探していた内容を瞬時に探し出し、インサイトを見極める機能を特徴とする。外部データのアップロードや様々なデータの定性分析ができるようになる。現在、同社及びベトナムにある研究開発拠点との連携により機能拡張を行っており、2024年4月にサービス開始が予定され、来年度より収益貢献も期待される。ビッグデータ分析のニーズが高まるなか、同社製品ポートフォリオの拡充に寄与すると期待されており、ソーシャルメディアマーケティング事業の新規開拓数は、今後も年間目標の15件以上を継続できそうである。

b) カンバセーショナルAIソリューション事業
カンバセーショナルAIソリューション事業は、大手金融機関の受注獲得で売上高は確保し、売上拡大に至ったものの、新規開拓数が年間目標10件以上に対して2024年3月期第2四半期の段階で3件と少なく、第3四半期も同様の傾向であったようだ。件数確保のためには廉価な汎用ツールを提供する必要があるため、事業展開に向けた工夫が求められる。なお、大手金融機関案件と同様に開発を伴う場合、価格は高額となるため、受注獲得のためには展開力・営業力の強化が必要となる。現在、来期導入に向けた他の大手企業とのトライアルを複数実施しているという。
なお、製品強化の取り組みとして、「Cognigy」では、GPT連携やOpenAI以外のLLMの実装など機能充実を図り、自社生成AI「TDSE QAジェネレーター」のクラウド版を提供開始している。また急成長で拡大する生成AI市場での同社立ち位置を確保するためにも、LLM関連のプロダクト販売も強化させることが必要となる。

以上から、特に第3四半期に想定通りに売上拡大が至らなかった要因は展開力・営業力にあると思われる。同社もこうした課題について認識しており、KPIを設定して展開力・営業力の強化を図るという。もちろんKPI設定も効果はあるのだが、展開力・営業力の強化には営業人材の確保・育成が即効性も効果も大きいため、営業人材を確保・育成する策を講じる必要があると考える。費用先行の現状は雌伏期であり、定評ある商品力や技術力に展開力・営業力が加われば成長軌道に回帰し、中期経営計画の達成も射程圏に入ってくると予想する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

 提供:フィスコ

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