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2016年07月14日15時11分

萩原工業 Research Memo(3):合成樹脂加工製品事業と機械製品事業の2本を柱とする(1)


■会社概要

(2)事業内容

萩原工業<7856>の合成樹脂加工製品事業の市場は、「生活・レジャー」「農水産」「梱包・物流」「産業資材」「建築・土木」をカバーしている。生活向け製品は、レジャーシート、人工芝、木目調マットなどがある。また、ノンスリップフィルム+ポリエチレン発泡体+ノンスリップフィルムの三層構造で、滑り止め効果があり、防音、断熱に優れたシート「ひびかん象」を販売している。ホットカーペットの下に敷くと、熱効率が格段にアップする。

売上依存度はBtoCよりもBtoBの方が大きい。新規参入者がないニッチ市場で、トップシェアを維持することで高収益を上げている。トップシェアを持つのは、人工芝用パイルヤーン、多機能化したブルーシート、土のう、カーペット芯地などである。後述するセメントコンクリート用ポリプロピレン補強繊維では、世界的にもトップにある。競争の激しい大きな市場ではなく、残存者利得が得られる、同社が強みを発揮できるニッチ市場をターゲットとするブルーオーシャン戦略を取っている。

農水産向け製品は、UVシート、機能品、鶏舎用カーテンクロスなどがある。機能品は、遮光性・採光性、防水性・浸水性、防風性・通気性、遮熱性などいくつもの機能を用途に合わせてデザインする。機能品の「スノーテックシリーズ」の反射用シートは、作物の光合成、色付け促進、遮熱などの用途に使用される。ミクロボイド(微細孔)の乱反射特性を生かしたムラの少ない、直反射に比べ柔らかい光で、強光による日焼けが起こりにくくする。サクランボやリンゴなどの果樹園等で使用されている。

梱包・物流市場向けは、粘着テープクロス、コンテナーバッグ、トラックシートなどになる。トップシェアを持つ粘着テープクロスでは、テープの手切れが良い上、タテにもヨコにも用途に合った大きさにカットできる。

産業資材は、UVクリアシートやフラットヤーン、モノフィラメント原糸などになる。

建築・土木向けは、防炎シート、ソフトメッシュシート、大型土のう、デザインシートなどがある。PE(ポリエチレン)防炎シート・クロスは、塩ビ品に比べて軽量で、強度及び光透過性に優れる。工事現場で使用されるため、軽量なことが作業効率を向上させ、工期の短縮化に貢献する。作業員の労力を低減し、運搬コストも削減する。防炎物質であるとともに、焼却時には塩素化ダイオキシン類の発生がない。解体工事などに使われる防音シートには、塩ビ品に比べて物性強度が強く、寒冷地などの現場でも劣化や硬化が起こりにくいオレフィン系素材を使用している。塩ビシートに比べ軽量であることから、作業軽減効果がある。土のうは、国産最高峰の約3年の耐性を実現した製品をラインアップしている。また、紫外線劣化防止剤を添加した中期的な(約2年)耐候性機能を有した土のうには、白地に黒い横線を入れることで、誰でも均等量の土を充填できる工夫が施されている。

同社は常に、従来の製品ラインアップに機能性を高めた新製品を投入している。通気性、透水性を兼ね備えた土木クロス「グランドバリアクロス」は、雑草の育成・成長を抑制し、草刈作業を軽減する。新製法により強度と耐候性を高めた新製品のカタログには、地上に設置される太陽光発電システムへの施工例が掲載されている。

同社のビジネスのスタンスは、製品の機能を売るのではなく、本来の役割を提供することにある。例えばレジャーシートであれば、その機能が汚れ防止や保温、防水になるが、本来の役割は楽しい場や安全の提供になる。運送会社にとってより重要なのは、粘着テープのコストよりも作業者の人件費であり、梱包作業時間の短縮である。顧客が本来的な役割として求めるものに適合させた製品は、汎用品に比べて2~3割高い値付けが可能となる。この製品機能の先にある顧客が求める本来の価値を志向することで、価格競争に終始しない、高収益のビジネスモデルを構築している。

a)スピード経営
「常なる革新 常なる創造」をモットーとし、先取の精神にあふれる経営をしている。ビジネスのIT化にも熱心に取り組んでおり、2003年にドイツSAP社の統合基幹業務システム(Enterprise Resource Planning:ERP)「R/3」を導入した。ERPは、すべての業務を統合管理するシステムであるため、経営管理に必要な情報を的確に入手し、迅速な意思決定を助ける。同社は月次決算をしているが、月半ばで同月の業績シミュレーションをつくり、月後半の業務遂行に反映させている。

2008年9月のリーマンショック後に、同社も業績が悪化した。2009年10月期は、前期比22.5%の減収、41.0%の営業減益となった。もともと売上高よりも利益を重視する経営であるため、落ち込んだ利益の回復に努め、2010年10月期は1.3%の増収に対し、営業利益は52.6%増と急回復を果たした。このとき、ERPが大いに役立ったことは言うまでもない。

収益性の高い戦略製品群を伸ばす努力をしているため、合成樹脂加工製品事業は売上高営業利益率を一時大きく落としたものの、ここ数年は堅調な足取りを見せ、2015年10月期は10.2%まで上昇した。

エンジニアリング部門は、2013年春からものづくり基幹業務システムの刷新に取り組み、2014年6月に本格稼働した。採用したのは富士通<6702>の部品構成管理システム「PLEMIA」を基盤とした部品管理表「統合BOM」と「顧客カルテシステム」になる。狙いは、ものづくりの標準化と顧客情報の「見える化」である。導入後の効果として、ものづくりでは業務の標準化と効率化、見積・設計精度の向上、目標原価の明確化が進んだ。顧客管理システムの方は、見積から保守サービスまでの履歴を見える化することにより、納品後の部品交換など、最適なタイミングで保守の提案ができる仕組みができた。

b)海外展開
創業後4年目で、フラットヤーン製造装置を輸出した。1976年にインドネシア国営肥料会社に製袋一貫大型プラントを供給した。1995年に、現地子会社「P.T.HAGIHARA WIHARTA INDONESIA(現 P.T.HAGIHARA WESTJAVA INDUSTRIES)」を設立しており、合成樹脂加工製品事業に従事している。中国には、2002年に青島に合成樹脂加工製品事業を行う「青島萩原工業有限公司」を設立した。さらに、2005年に上海に機械の設計・部品調達・組立を行う子会社「萩華機械技術(上海)有限公司」を設けた。現在は、いずれも同社の実質100%子会社になっている。

顧客所在地別売上高では、2008年10月期の海外売上高が4,198百万円、全体の17.7%を占めた。2008年9月のリーマンショックに端を発した世界金融危機と世界経済の停滞などにより、海外売上高は子会社が拠点を持つアジアは堅調に推移したが、その他の地域は大幅に減少した。2015年10月期の海外売上高は5,835百万円、構成比は25.9%に上がった。

海外向けは、競争力の強い製品をピンポイントで販売する戦略を取っている。代表的な製品として、タンクライナーがある。同製品は、貯水タンクの内側に貼るインナーシートになる。オーストラリアやアメリカでは、雨水、農業用水、工業用水の貯水のため、干ばつ地帯を中心に大型タンクを使用している。長年使用すると、錆が発生し劣化が進む。同社のタンクライナーを鉄製タンクの内側に貼ることで、タンク本体の劣化を防ぐことができる。競合の塩化ビニール製に比べて、同社製品はポリオレフィン系素材を使用しているため、軽くて強いという特長がある。オーストラリアに加え、今後は塩化ビニール製品が多く使われている北米市場での展開を拡大する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《TN》

 提供:フィスコ

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