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【特集】自転車保険「義務化」の波、事故増加で高まるニーズ <株探トップ特集>

あさひはau損保と自転車保険開発、大阪府とは協定(あさひの自転車保険)

―大阪・兵庫で加入義務付け、全国への波及は?―

 自転車に乗る全員に「自転車保険」の加入を義務化する動きが広がっている。昨年10月に兵庫県では全国で初めて自転車保険の加入を条例によって義務付けたが、これに続き大阪府でも今年4月に「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を施行、この条例に基づき、自転車保険の加入義務化が7月1日からスタートした。自転車による事故は都市部を中心に深刻化、今回の条例が契機となり自転車保険のニーズが全国的に高まりそうだ。

●自転車が加害者となる交通事故が増加

 自動車やバイクと異なり原動機が付かない自転車は、免許が不要で誰でも気軽に乗ることができるのが魅力。その半面、交通規則への意識が希薄になり、無謀運転による事故などが問題視されており、15年6月1日には一定の危険な違反行為をして2回以上摘発された自転車運転者(悪質自転車運転者)は、公安委員会の命令を受けてから3カ月以内の指定された期間内に講習を受けなければならない規則に改定された。近年では電動アシスト自転車の普及により、自転車自体のスピードが出やすくなっており、それによるケガの重症化も問題視されている。

 そのようななかで、兵庫県に続き大阪府でも自転車保険の加入が義務化された。大阪府内では、15年の自転車事故の死者数は50人に達し、14年に比べて16人の大幅増となっている。死者数の約5割が高齢者で、死因の約8割が頭部損傷によるもの。自転車が加害者となる交通事故によって、死亡や後遺障害が生じ、高額な賠償請求事例も発生している。

●あさひは大阪府と協定、ディーエヌエーも参入

 このような状況下、自転車保険の販売が積極化されている。大規模自転車専門店「サイクルベースあさひ」をチェーン展開するあさひ <3333> は、KDDI <9433> 傘下のau損保とオリジナル自転車保険「サイクルパートナー」を開発した。「あさひネットワーキング店」専用サイトからは6月16日以降申込みが可能になり、大阪府とはau損保とともに「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」に基づく協定を締結している。au損保では自社単独でも自転車向け保険「Bycle」を販売しており、「7月からの大阪府での加入義務化後はかなりの引き合いがきている」(au損保広報室)としている。他の自治体でも同様の加入義務化を検討している模様で今後は一段の伸びを見込んでいる。

 この他、ディー・エヌ・エー <2432> は傘下のDeNAトラベルを通じて「自転車の責任保険」、MS&ADインシュアランスグループホールディングス <8725> 傘下の三井住友海上は自転車向け保険「ネットde保険@さいくる」を販売。セブン&アイ・ホールディングス <3382> 傘下のセブン‐イレブンは三井住友海上と連携してネットやコンビニで申し込みができる自転車向け保険を販売している。

 一方、自転車の車両に対する保険も販売されている。アドバンスクリエイト <8798> [東証2]は日本少額短期保険のスポーツバイク用車両保険「BICYCLE保険」を「保険市場」限定の保険商品として7月から取り扱いを開始している。交差点で自動車と衝突しロードバイクが全損になった場合の「車両全損特約」や、通勤中に転倒しロードバイクがガードレールに接触して半損となった場合などでの「車両半損特約」、「盗難特約」の3つの特約がセットになった全く新しい自転車保険となっている。


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