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6697 テックポイント・インク

東証G
1,255円
前日比
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PTS対象外銘柄
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
時価総額 93.9億円
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テックポイント Research Memo(3):車載カメラ分野は新機種向け・新規顧客向けの受注獲得で出荷増


■業績動向

1. 2023年12月期第2四半期業績の概要(米国基準)
2023年12月期第2四半期業績(米国基準)は、売上高29,440千米ドル(4,268百万円:前年同期比11.0%減)、営業利益7,436千米ドル(1,078百万円:同21.9%減)、税引前四半期純利益8,390千米ドル(1,216百万円:同11.2%減)、テックポイント・インク<6697>株主に帰属する四半期純利益7,426千米ドル(1,076百万円:同12.4%減)となった。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の四半期純利益)は8,072千米ドル(1,170百万円:同13.8%減)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。

監視カメラ・車載カメラ両分野でメーカー過剰在庫が半導体部品の追加調達を抑制する向かい風の事業環境において、車載カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、新規顧客の開拓や既存顧客の新機種向けなどの受注により出荷数は増加した。しかし、カーナビなど販売単価が低い製品群が増加したことによる製品構成の変化により、平均販売価格が低下し、前年同期比1.8%減収となった。一方、監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、販売先需要減の影響を受けた出荷数の減少及び製品構成の変化による平均販売価格の低下により同23.6%減収となった。

売上原価は前年同期比942千米ドル(同6.5%)減少した。また、平均販売価格の低下と製品構成の変化に伴い、売上総利益率は前年同期の56.1%から53.9%に低下した。研究開発費は前年同期比675千米ドル(同16.0%)減少した。これは主に、テープアウト(新製品試作)費用が0.4百万米ドル、人件費が0.2百万米ドル、ソフトウェア費用が0.1百万米ドルそれぞれ減少したことによる。販売費及び一般管理費は前年同期比でほぼ横ばいとなった。

2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は10,713千米ドルとなり、前年同期比23.6%減(前年同期は14,015千米ドル)だった。監視カメラメーカーが多く所在する中国本土において、メーカーの過剰在庫による在庫調整が続いている。同社では、下期以降は徐々に回復傾向になると期初に予想していたが、足元の中国経済の減速なども重なり、2024年12月期第1~2四半期まで調整が長引く可能性もあると、同社では予想している。

3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は18,727千米ドルとなり、前年同期比1.8%減(前年同期は19,065千米ドル)だった。メーカーの在庫調整により市場全体は低調に推移しているが、同社においては、新規顧客の開拓や既存顧客の新機種向けなどの受注により出荷は増加した。しかし、製品構成の変化によって平均販売価格が低下し減収となった。同社の半導体は、BYD Auto純正のドライブレコーダー、カーナビ、サラウンド・ビューモニターに採用されており、BYDの新機種向けの受注が中国市場での出荷の伸びに大きく貢献した。また、BYDとの取り引きが中国での新規顧客獲得の呼び水となった。今後、電子ミラーやモバイルDVR製品などの車載カメラシステム市場の新しい分野においても、大きな成長が見込まれると弊社では考えている。

4. 地域別売上比率
地域別売上比率については、同社の出荷先である監視カメラメーカー、ドライブレコーダー等の車載カメラメーカーがアジア地域に集中していることがわかる。そのなかでも、日本の比率が6%から2%に低下した。ここ数年で急速に普及したドライブレコーダーの需要が落ち着き、ドライブレコーダー向け半導体の出荷が減少した。それに伴って、台湾が13%から14%に、中国が71%から74%に上昇した。特に中国内の半導体需要家では、自動車純正品・アフターマーケット品とも車載カメラシステム向け半導体の販売数量が伸びており、中国製EV車の生産台数・国内/輸出販売台数の伸びに伴い、中国の貢献度が今後ますます高くなると同社では予想している。なお、ドライブレコーダーの普及が一巡した格好とみられるが、「あおり運転」問題でここ数年急激に需要が高まった反動であり、今後は通常の安定的な需要増が継続すると弊社では考えている。

四半期ごとの業績推移では、2023年12月期第2四半期(単体)の売上高は15,298千米ドル(第1四半期:14,142千米ドル)、営業利益が4,133千米ドル(同:3,303千米ドル)だった。監視カメラシステム向け、車載カメラシステム向け半導体いずれも販売先の在庫調整に伴う需要減少を受け低調な環境ではあったが、売上高・営業利益は第1四半期に対して増収増益となった。

同社においては予想どおりであり、計画に対しては若干上振れている。営業利益についてはテープアウト費用が第1四半期に前倒しした分の影響であり、売上総利益率も計画どおりだったため、精度の高い予想であったことが窺える。

また、半導体業界全体としては市況回復の兆しが見えず、在庫調整が第4四半期、若しくは2024年12月期上期まで続くといった見方が一般的に言われているが、同社においては新規案件が量産に移行しているほか、経営戦略として進めてきた新規案件も出始めてきており、下期においては上期を上回る業績となる可能性があると、弊社では考えている。監視カメラシステム向け半導体は厳しい状況が続く一方で、車載カメラ向け半導体の好調が業績をけん引する格好になる。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《SI》

 提供:フィスコ

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