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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4687 TDCソフト

東証P
1,179円
前日比
+4
+0.34%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.5 3.08 2.04 4.10
時価総額 592億円
比較される銘柄
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NESIC, 
野村総研
決算発表予定日

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TDCソフト Research Memo(6):2024年3月期第2四半期は増収増益で期初計画を上回る進捗(2)


■TDCソフト<4687>の業績動向

(3) 公共法人ITソリューション分野
流通業、製造業、サービス業や公共向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションを提供しており、2024年3月期第2四半期においては官公庁や運輸業向けの開発案件等がけん引した。また、既存顧客へのクロスセルにより、トータルセキュリティソリューションサービスの売上も拡大している。売上高は前年同期比7.9%増の4,953百万円だった。

(4) プラットフォームソリューション分野
2024年3月期第2四半期は、銀行業向けクラウド関連のインフラ構築案件が順調に推移し、売上高は前年同期比13.0%増の2,151百万円だった。

4. 主要施策の状況
同社グループは「次世代型システムインテグレーター」を目指し、市場の潜在ニーズを捉え、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型SI事業へと進化することをビジョンに掲げ、2022年3月期から中期経営計画「Shift to the Smart SI」を推進してきた。2023年3月期からは中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」(FY2022~FY2024)をスタートし、現在、その中期経営計画に基づいた経営を推進中だ。

主要戦略である「高付加価値SIサービスの追求」と「SIモデル変革の推進」に、Plusとして「事業領域の拡大」を掲げる。「高付加価値SIサービスの追求」においては、事業の拡大、高収益化を推進するうえで鍵となる、アジャイル開発事業とセキュリティ関連事業を重点戦略分野としている。顧客の潜在ニーズを捉え、アジャイル、セキュリティ等の最新の要素技術等を活用することで高付加価値サービスの提供と時間や手間などを含めたユーザコストの低減を両立したインテグレーションサービス次世代型SI事業が順調に拡大しており、これに加えてコスト削減の取り組みが寄与して収益性も向上した。一方で、2024年3月期第2四半期における次世代型SI事業の売上高構成比は22.8%と、全体の売上高増加に伴い構成比は前年同期から0.6ポイント低下している。同社の計画では、次世代型SI事業の売上高を全体の2割程度にキープしながら、同事業を軸にして売上を効率よく確保できる周辺事業を受注し、事業領域を拡大することを目指している。アジャイル開発事業においては、2024年3月期第2四半期の売上高が前年同期比49.6%増と大幅に増加し、セキュリティ関連事業においても、既存顧客へクロスセルによるビジネス展開を図り、システムのライフサイクルを意識したトータルセキュリティソリューションサービスの売上を着実に伸ばしている。

「SIモデル変革の推進」においては、高生産性と高品質を両立するSIプロセスの整備を、イノベーション的アプローチで実現することを目指している。顧客へのサービス品質水準を向上させるために、ハイスキル人材を多くのプロジェクトでシェアリングする等の活動を実施した。また、プロジェクトのトラブルを撲滅するために開発を進めてきた社内の新システム「PROJECT IQ(プロジェクトアイキュー)」を2023年10月にリリースした。担当者の経験などに依存していた人的観点でのプロジェクトレビューや受注判定を、技術的観点で定量的にパフォーマンスを可視化するプロジェクトパフォーマンス評価機能、要員スキルアセスメント登録・検索機能を実装しており、標準化された品質の担保や全社横断的な情報検索が可能となる。同システムは逐次アップデートする予定であり、今後はマネジメントや業務の観点、メンバーの稼働状況、コスト、品質、スケジュールなどの評価要素を取り込む方針だ。

「事業領域の拡大」は、投資フェーズと位置付けられている。既存のSI事業領域を軸に新たなビジネスモデルに必要なケイパビリティ(組織として持つ、他社より優位な強み)を獲得し、新たな領域へ事業を拡大するため、セールス&マーケティング本部にプロダクトセールス部、マーケティング・プロモーション部を新設。さらにビジネスイノベーション本部にもサービス企画部、R&D推進部、コンサルティング部を立ち上げた。これらにより、「SI事業」において、次世代型SI事業の拡大、維持・保守領域などマネージドサービスやアウトソーシングサービスによるビジネスボリュームの拡大を図る。「コンサルティング事業」においては、ナレッジの蓄積やメソッド化による新規事業開拓や、既存のDX/ITコンサルやSAFeコンサルのさらなる拡大を目指す。このほか、技術教育サービスにも注力しており、2023年5月には同社が提供するSAFe(R)認定トレーニングの国内累計受講者が1,000名を突破し、国内開催実績数、受講者数ともに国内最多となった。「サービス販売事業」では、蓄積ナレッジを活用した新たな自社製品の販売事業の拡大に加え、マーケティング機能を強化してユーザーニーズやシーズ(生産者視点での商品やサービス開発)を捉えた製品やサービスの販売を行う。

上述の施策を実現するためには、技術とともに人材リソースの確保が必須であり、将来に向けた積極的な投資を推進している。新規事業や高付加価値サービスのさらなる拡大を狙い、要素技術への投資を継続して拡大しており、アジャイル・セキュリティ・UXD・クラウドネイティブ・データアナリティクスプラットフォームに、2023年3月期より新たにフロントエンドフレームワークやオートメーション・マネージドサービスへの投資も行っている。人材への投資については、前期比40名増となる160名の新卒採用を確保するなど積極的な人材確保施策を推進している。同社は新卒採用者の早期育成に強みを持っているが、今後は人的リソースの確保を目的としてパートナーとの連携強化やM&Aも活用する方針である。今後の業績において、人件費の増加はやや重しとなる可能性があるものの、企業のモダナイゼーションが活発化すると見られるなか、IT投資の増加を見据えた将来への成長投資として、弊社では前向きに評価したい。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《HH》

 提供:フィスコ

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