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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4687 TDCソフト

東証P
1,179円
前日比
+4
+0.34%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.5 3.08 2.04 4.10
時価総額 592億円
比較される銘柄
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野村総研
決算発表予定日

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TDCソフト Research Memo(6):2023年3月期は増収増益で過去最高を達成(2)


■TDCソフト<4687>の業績動向

(3) 公共法人ITソリューション分野
流通業、製造業、サービス業や公共向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションの提供を行っており、2023年3月期においては運輸業、自動車・鉄鋼等の製造業向けの開発案件等がけん引した。また、既存顧客に対するセキュリティサービスのクロスセルによる提供実績も拡大している。売上高は前期比8.1%増の9,511百万円だった。運輸業、自動車、鉄道、サービス業が、キャッシュレス決済などの浸透から金融ビジネスに参入していることもあり、競争力強化に向けたモダナイゼーションの動きによって今後も需要が拡大する分野と弊社では見ている。

(4) プラットフォームソリューション分野
2023年3月期は、クラウド関連のインフラ構築案件が順調に推移し、売上高は前期比6.2%増の4,098百万円だった。

4. 主要施策の状況
同社グループは「次世代型システムインテグレーター」を目指し、市場の潜在ニーズを捉え、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型のシステムインテグレーション(SI)事業へと進化することをビジョンに掲げ、2019年4月から2022年3月における中期経営計画「Shift to the Smart SI」を推進してきた。2022年4月から2025年3月における中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」を策定。現在、その中期経営計画に基づいた経営を推進中だ。

主要戦略である「高付加価値SIサービスの追求」と「SIモデル変革の推進」に、Plusとして「事業領域の拡大」を掲げる。「高付加価値SIサービスの追求」においては、重点分野の事業の拡大、高収益化を推進するうえで、アジャイル開発事業とセキュリティ関連事業を重点戦略分野としている。顧客の潜在ニーズに適合するアジャイル、セキュリティ等の最新の要素技術等を活用した高付加価値サービスの提供と、時間や手間などを含めたユーザコストの低減を両立したインテグレーションサービスである次世代型SI事業が順調に拡大している。その結果、2023年3月期の売上高構成比は24.5%と前期の17.4%から順調に伸びているほか、事業の拡大やコスト削減の取り組みにより収益性が向上した。アジャイル開発事業の売上高が着実に増加していることに加え、セキュリティ関連事業においてもシステムのライフサイクルを意識したトータルセキュリティソリューションサービスを提供するなかで、既存顧客へクロスセルによるビジネスを展開し、売上高を順調に伸ばしている。

「SIモデル変革の推進」においては、高生産性と高品質を両立するSIプロセスの整備をイノベーション的アプローチで実現することを目指している。顧客へのサービス品質水準を向上させるために、ハイスキル人材を多くのプロジェクトでシェアリングをする等の活動を実施。また、プロジェクトのトラブルを撲滅するために、独自のプロジェクトパフォーマンス評価制度を導入し、計画利益率に満たないプロジェクトを着実に減少させることに成功している。

「事業領域の拡大」は、投資フェーズと位置付けられている。既存のSI事業領域を軸に新たなビジネスモデルに必要なケイパビリティ(組織として持つ、他社より優位な強み)を獲得し、新たな領域へ事業を拡大するため、セールス&マーケティング本部にプロダクトセールス部、マーケティング・プロモーション部を新設。さらにビジネスイノベーション本部にもサービス企画部、R&D推進部、コンサルティング部を立ち上げた。これらにより、「SI事業」において、次世代型SI事業の拡大、維持・保守領域などマネージドサービスやアウトソーシングサービスによるビジネスボリュームの拡大を図る。「コンサル事業」においては、ナレッジの蓄積やメソッド化を図ることで次の事業拡大を目指すほか、既存のDX/ITコンサルやSAFeコンサルのさらなる拡大と技術教育サービスの拡充・拡大を進める。「サービス・製品販売事業」では、蓄積ナレッジを活用した新たな自社製品の販売事業の拡大に加え、マーケティング機能を強化してユーザーニーズを捉えた製品やサービスを提供することはもとより、さらにシーズ(生産者視点での商品やサービス開発)志向からの製品やサービスの販売も行う。

また、上述の施策を実現するためには、技術とともに人材リソースの確保が必須であり、将来に向けた積極的な投資を推進している。新規事業や高付加価値分野のさらなる拡大を狙い、技術投資において要素技術への投資を継続して拡大しており、アジャイル・セキュリティ・UXD・クラウドネイティブ・データアナリティクスプラットフォームに、新たにフロントエンドフレームワーク・オートメーションマネージドサービスへの投資を加えた。人材への投資については、前期から2倍の新卒採用を確保するなど積極的な人材確保施策を推進しており、2023年3月期の人材投資費用は前期から約310百万円増加した。また、教育投資や人材確保を目的としたブランディング投資を推進するなど、多角的な投資施策を展開している。同社は新卒採用者の早期からの育成に強みを持っているが、今後は人的リソースの確保を目的としてパートナーとの連携強化やM&Aも活用する方針である。今後の業績において、人件費の増加はやや重しとなる可能性があるものの、企業のモダナイゼーションの動きが活発化してくると見られるなか、IT投資の増加を見据えた将来への成長投資として、弊社では前向きに評価したい。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《SI》

 提供:フィスコ

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