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4588 オンコリス

東証G
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PTS
701円
23:53 04/26
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.99
時価総額 146億円
決算発表予定日

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オンコリス Research Memo(1):テロメライシンは中外製薬に導出、他のパイプラインの開発も着々と進行中


■要約

オンコリスバイオファーマ<4588>は、腫瘍溶解ウイルスによる新規がん治療薬(テロメライシン)や新規がん検査薬(テロメスキャン)の開発を目的に2004年に設立されたバイオベンチャー。開発品の上市実績はまだないが、2019年4月に中外製薬<4519>とテロメライシンに関する独占的ライセンス契約及び資本提携契約を締結している。

1. テロメライシンの開発動向
テロメライシンに関して、中外製薬と日本・台湾における独占的ライセンス契約、及び日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における独占的オプション契約を締結した。本契約の契約一時金は5.5億円だが、中外製薬が独占的オプション権を行使した場合にはライセンス契約総額で500億円以上となるほか、テロメライシンの上市後は、売上高に応じた販売ロイヤリティが得られることになる。同社が国内で進めていた食道がんを対象とした放射線併用療法(外科手術等の治療法を受けられない患者を対象)の第1相臨床試験については、9月24日付で全ての患者への投与完了と全ての症例で安全性に問題が無かったことが発表された。第2相臨床試験は中外製薬の主導で2020年前半にも開始されるものと予想される。先駆け審査指定制度※1の対象品目に指定されたことから、順調に進めば2023年中にも上市できる可能性がある。また、米国で免疫チェックポイント阻害剤との併用療法(ステージ4の胃がん・胃食道部接合がん患者を対象)による医師主導治験がスタートしているほか、中国では提携先のハンルイ※2が2019年内の臨床試験申請を目指すなど、海外でも開発が着々と進んでいる。

※1 先駆け審査指定制度とは、対象疾患の重篤性など一定要件を満たす画期的な新薬などについて、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)が薬事承認に関する相談・審査を優先的に取り扱い、承認審査期間を短縮することで早期実用化を目指すもの。通常は、承認申請から12ヶ月程度を目標に審査を行うが、同制度を活用することで審査期間を6ヶ月程度に短縮することが可能となる。テロメライシンは2019年4月に指定された。
※2 江蘇恒瑞医薬股フン有限公司(ハンルイ)は中国の大手製薬メーカーで、がん治療薬で中国トップ。2018年度の売上高は174億元(約2,700億円)、従業員数は約1.5万人を有している。


2. その他パイプラインの開発動向
その他のパイプラインでは、「OBP-801」(HDAC阻害剤)の眼科領域での開発を進めている。現在、米国で加齢黄斑変性症の動物モデルを使った前臨床試験を行っており、京都府立医科大学で実施済みのデータ結果(血管新生抑制、網膜の線維化抑制)の再現性が確認されれば、2020年以降に導出活動を本格的に進めていく方針となっている。また、B型肝炎治療薬候補となる「OBP-AI-004」やがん抑制遺伝子であるp53を組み込んだ次世代テロメライシン「OBP-702」も前臨床試験を進めている段階で、今後の開発動向が注目される。「OBP-702」の対象疾患は、膵臓がんや骨肉腫、直腸がんなどテロメライシンと異なる局所固形がんを想定している。また、がん細胞の殺傷能力を一段と高めたスーパーテロメライシンについても、全身転移がんのほか肺がんや乳がんなどを対象疾患として、今後1年内に開発候補品を絞り込み、前臨床試験を開始する予定にしている。

3. 業績動向
2019年12月期第2四半期累計業績(2019年1月-6月)は、売上高で前年同期比586.6%増の621百万円、営業損失で275百万円(前年同期は643百万円の損失)となった。中外製薬からのライセンス契約一時金収入5.5億円が増収要因となっている。2019年12月期については未確定な要素が多いため業績見通しは発表していない。研究開発費等(研究開発費+売上原価)については、中外製薬へのライセンス契約による治験費用圧縮に加えて、米国での医師主導治験の開始時期がやや遅れたこともあり、期初計画の13.9億円から7.4億円に減少する見込みとなっている(上期実績は3.4億円)。なお、2019年6月末の現預金は3,370百万円となっており、今後2?3年の事業活動資金は充足しているものと思われる。

■Key Points
・テロメライシンは中外製薬とライセンス契約を締結し、オプション権を含め全世界で導出を達成
・次世代テロメライシン「OBP-702」についてはテロメライシンと異なるがん種で開発を進める方針
・OBP-801は眼科領域で動物実験のデータ再現性を確認した後に導出活動を本格化する予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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