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4170 カイゼン

東証G
250円
前日比
-2
-0.79%
PTS
252円
23:39 05/02
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
1.34 33.17
時価総額 42.2億円
決算発表予定日

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KaizenPF Research Memo(3):顧客体験DXを実現する「KAIZEN PLATFORM」サービス


■事業概要

1. 動画ソリューション、UXソリューション、DXソリューションを提供
顧客体験DXで企業課題のカイゼンを支援する「KAIZEN PLATFORM」サービスとして、動画ソリューション、UXソリューション、DXソリューションを提供している。多くの企業がDXによって自社の業績を伸ばそうとしているが、DXの推進にあたっては人材不足や旧式のシステムの存在がネックとなる3つの壁(ノウハウの壁、リソースの壁、インフラの壁)が存在し、思うようにデジタル化に対応できていないのが現状である。これに対してKaizen Platform<4170>は、顧客自身(システム管理部門ではなく、営業や顧客管理などの現場のビジネス部門)がDXによるKPI改善を体験することが必要という考え方に基づき、専門スキルを持った人材が顧客の改善を実行する各種サービスを提供している。なお同社は、後段の成長戦略の欄で述べるように、DXに関する巨大なアウトソーシング市場の中でも営業・マーケティング・カスタマーサービス分野のDX市場をコアターゲットとしている。

動画ソリューションは、5G(第5世代移動通信システム)時代に対応した動画コンテンツ制作プラットフォームを提供し、動画広告や動画コンテンツの制作も行うサービスである。紙媒体やデジタル媒体の別を問わず、既存の素材を基に制作することで、早くかつ高品質でリーズナブルなサービスを提供している。動画制作にとどまらず広告配信や営業での利用など動画の活用までワンストップで支援できることが特徴であり、さらなる競合優位性向上に向けてUX/DXソリューションとの連携を強化している。

UXソリューションは、顧客のサービスをわかりやすく使いやすくすることで、広告効果、商談化率、リピート率といった顧客におけるKPIを改善するサービスである。顧客のWebサイトのUI(User Interface=サイトのデザインなどユーザーから見える情報の総称)改善に関するコンサルティングだけでなく、分析やパーソナライズが容易に実装可能になるツールの提供も行い、UIを向上させるための戦略立案から施策実施まで必要な機能をワンストップで総合的に提供している。DXソリューションは、これらをさらに発展させて、顧客のDXを戦略策定からCRMまでトータルサポートするサービスである。なお、Web企画・制作に強みを持つディーゼロを子会社化(2021年8月)したことで、サイト制作・リニューアルからUX改善ソリューションまで一気通貫のサービスを提供できる体制を構築した。今後は、UXソリューションの契約継続率向上やディーゼロへの大手顧客紹介など、グループシナジーにより全体のARPU向上につなげる方針だ。

2. グロースハッカーネットワークを活用したビジネスモデル
同社の「KAIZEN PLATFORM」サービスのビジネスモデルは、プラットフォーム上でグロースハッカーと呼ぶデジタル専門人材のネットワークを活用していることが特徴だ。顧客の課題やニーズを踏まえて、同社従業員のPMの下、最適なグロースハッカーのチームを組成して顧客の課題解決に取り組む。グロースハッカーネットワークには、クリエイターやエンジニアなど様々な領域の専門スキルを持つ人材が在籍しており、それぞれの専門領域や得意分野に基づいてWebサイト分析、Webサイトデザイン案作成、ディレクションなどの役割を割り当て、フルリモートでプロジェクトを進める。単に納品して終わりではなく、過去に実施してきた1,200社超、5万件超の豊富な改善事例とデータ蓄積も最大限活用して、プラットフォームを通じてフィードバックしながら改善を進めている。

なお取引構造は、顧客からはサービス料を受け取り、グロースハッカー(法人、個人)に対しては成果連動型の報酬を支払う。同社はPMとサポートに徹しており、プラットフォーム上のグロースハッカーとチームを組むことで人件費の変動費化を図っている。


ソフトウェアも人材もデータもすべて揃っていることが強み
3. 「KAIZEN PLATFORM」サービスの強み
同社の「KAIZEN PLATFORM」サービスの強みは、プラットフォーム上にソフトウェアも人材もデータもすべて揃っているため、実行スピードとノウハウに優れている点である。

ソフトウェアは、顧客で使用されている既存のシステム(レガシーシステム)にとらわれることなく、顧客体験DXを実現できるSaaS型ツール(KAIZEN VIDEO、KAIZEN AD、KAIZEN UX、KAIZEN SALESなど)によって開発&制作環境を提供している。人材リソースとしては、プラットフォームには1万人超の個人グロースハッカー及び50社超の法人グロースハッカー(制作会社、人材派遣会社、コンサルティング会社などと提携)が登録しており、コンサルティングから実行までのプロフェッショナルサービスをフルリモートで提供可能な体制を構築している。また、日英だけでなくアジアから中南米まで多言語に対応している。データとしては、過去に実施した1,200社超、5万件超の豊富な改善事例とデータを蓄積しており、これらのデータやノウハウを活用したサービスを提供できる。

なお同社は、Meta、Google、YouTube、Amazon、Yahooといった主要プラットフォーマーから公認パートナーの認定を取得しており、API(Application Programming Interface=プログラム同士をつなぐインターフェイス)によるデータ連携も実現している。また営業活用支援ツール「KAIZEN SALES」は経済産業省「IT導入補助金2022」の対象サービスに認定されている。

顧客企業から見ると、レガシーシステムへの影響を気にせず、現場のビジネス部門主導でスピーディーに必要な施策を実行し、リードタイムやコストを抑えながらUXの改善やDXの実現が可能になるというメリットがある。

さらに同社の競争力の優位性として、非常駐で業務できるためグロースハッカー1人当たりの生産性が高いこと(同社試算で約4倍の生産性)、高い生産性と変動費比率によって顧客に対するサービス価格を低く設定できること(同社試算で約3分の1の価格)、成果連動でグロースハッカーが高い報酬(同社試算で約2倍の報酬)を得られるためデジタル専門人材の採用競争力が高いことなどがある。

4. ARPUの向上によって収益力が高まる
同社の「KAIZEN PLATFORM」サービスは、DXのワンストップBPO(Business Process Outsourcing=業務の外部委託)サービスを、クラウドを通じて提供することで、約50%のテイクレート(=(総取扱高-取扱高に連動する原価)÷総取扱高)を実現できる高収益・高付加価値な事業モデルである。したがって、今後の取引アカウント数の増加とARPUの向上によって、同社の収益力が飛躍的に高まる可能性があると弊社では評価している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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