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3967 エルテス

東証G
809円
前日比
+7
+0.87%
PTS
812.1円
20:02 05/09
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
32.5 1.91
時価総額 49.1億円
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エルテス Research Memo(2):デジタルリスクを検知・解決するサービスを提供(1)


■会社概要

1. 事業内容
エルテス<3967>は、「健全にテクノロジーが発展する豊かなデジタル社会を守り、デジタル社会にとってなくてはならない存在になること」をビジョンに掲げ、リスク検知に特化したビッグデータ解析技術をもとに、企業を中心としたあらゆる組織が晒されるリスクを解決するためのソリューションを提供している。創業来の主力である「デジタルリスク事業」は、SNSやブログ、インターネット掲示板などWeb上の様々なソーシャルメディアに起因するリスクに対するソリューションを提供するものである。インターネットの普及やデジタルデバイスの進化により、利便性の向上と引き換えに様々なリスク(従業員による不適切投稿等に伴う風評被害やネット炎上等)が顕在化するなか、ソーシャルメディアの監視から緊急対応、その後の対応まで、顧客のリスクマネジメントをワンストップで支援する独自のポジショニングにより成長を実現してきた。最近では、政府が進める経済安全保障対策や営業秘密等の機密情報の持ち出し対策などを背景として、社内ログデータを対象に情報漏えい及び隠れ超過残業などを検知する「内部脅威検知サービス」も順調に伸びている。さらには、「警備業界」のDXを支援するAIセキュリティのほか、デジタルガバメント(デジタル田園都市国家構想など)の実現に向けた新たな領域の展開にも取り組む。

主力の「デジタルリスク事業」の顧客基盤は、大手航空会社や食品、外食、ホテルのほか、メーカーや金融機関など幅広く、有力ブランドを持つ大手企業を中心に年間約450社の取引実績を誇る。無料セミナーや提携先企業からの紹介、積極的な広告宣伝活動等を通じた新規顧客の獲得と契約継続率の高さが同社業績の伸びをけん引してきた。ソーシャルリスクの影響を受けやすい外食業界や食品業界などの売上構成比率が高いが、「内部脅威検知サービス」の展開などにより、高度な技術情報を持つ製造業やセキュリティ対策に敏感な金融機関など多様な顧客層へと拡充しており、今後はパートナーセールスを活用した拡販にも取り組む方針である。

同社は、コロナ禍を契機とする新たな事業機会の出現やDXの動きが加速するなかで、2021年2月期に「デジタルリスク事業」に加え、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」を本格的に立ち上げた。3つの事業による構造改革を進め、デジタル技術を軸とするユニークな事業基盤を確立する方針である。

(1) デジタルリスク事業
a) ソーシャルリスク領域
これまでの成長をけん引してきた領域であり、大きく「リスクモニタリング」と「リスクコンサルティング」の2つのサービスに分けられる。「リスクモニタリング」は、ソーシャルリスクの発生を早期に検知及び把握するサービスで、24時間365日、X(旧Twitter)等のSNSやインターネット掲示板といったソーシャルメディア上の投稿を分析し、リスクの予兆があれば緊急通知の実施や対応方法のアドバイスを行い、危険投稿がなければ日報等で報告する。「リスクコンサルティング」は、ソーシャルリスクが検出された場合に、顧客が適切な対応を取れるようにアドバイスを行うサービスであり、リスクが沈静化した企業や組織に対して、事後のレピュテーション回復(及びブランド再構築)支援も行っている。最近ではインターネット上の情報量の増加や影響力の高まりを背景として、IPO検討企業などから「Webリスクモニタリングサービス」への引き合いが強いほか、米国におけるSNS発の預金流出リスクの顕在化により、国内の金融機関でもSNSリスクへの対応検討が進んでいるようだ。

b) インターナルリスク領域
企業内のログデータや管理情報を統合的に分析し、情報漏えいや社内不正リスクを検知する「内部脅威検知サービス」を主力とする。複数のログ分析から、「ユーザーの振る舞い」を解析し、デジタルリスクの予兆を捉えるところに特徴があり、膨大な組織内部のシステムログや管理データから、同社独自のアルゴリズムによりリスクの高い行動パターンを認識し、アナリストの再分析を経て、危険度や緊急度の高いものは即時通知することで未然防止につながる。メールやチャットデータを用いたリスク予兆分析の精度を高めるため、自然言語処理機能も追加している。「働き方改革」やテレワークの普及に加え、政府が進める経済安全保障対策や、営業秘密等の機密情報の持ち出し対策を背景として、国内大手企業から中小企業まで幅広くニーズが増大しており、足元で大きく成長してきた。

(2) AIセキュリティ事業
「警備DXサービス」と「警備サービス」の両輪により、リアルな警備事業を運営しつつ、運営の中で生じる課題解決のためにAIやIoTを組み合わせた「警備業界」のDXを推進している。「警備DXサービス」では、連結子会社の(株)AIKが、警備の受発注を効率化するプラットフォーム「AIK order(オーダー)」や、工事不要・リーズナブルなセキュリティサービスを実現する「AIK sense(センス)」などを展開するほか、さらなる課題解決に向けたプロダクトの創出にも取り組んでいる。一方、「警備サービス」については、2020年12月に警備事業で実績のある(株)And Security(及びその子会社)の連結化により参入し、「警備DXサービス」とのシナジー創出(実践的なプロダクトの開発)を可能とする体制を構築した。また、2022年3月には、北海道札幌市を地盤とする警備会社ISA(株)(及びその関連会社SSS(株))を連結化し規模の拡大を図っている。

(3) DX推進事業
地方自治体等の行政や企業のDXを推進し、DX人材の育成、自治体と企業のマッチングなども手掛けている。2017年3月に提携したサイバネティカ(エストニア)※との連携により、分散型データベース技術や本人認証技術導入支援に取り組み、2020年12月に(株)JAPANDXを設立すると、岩手県紫波町と「地域のデジタル化推進に関する包括連携協定」を締結し、デジタルガバメント領域に本格的に進出した。現在は、住民サービスのデジタル化を推進する住民総合ポータルアプリ(スーパーアプリ)の導入推進を強化している。また、2022年3月にシステム開発支援を手掛ける(株)GloLingを連結化し、デジタル人材の強化を図ると、同年9月にはプロパティ・マネジメント事業などで実績のある(株)メタウンを連結化し、政府の掲げる「デジタル田園都市国家構想」を背景とした、独自の「メタシティ構想」の実現に向けて体制を整えた。

※デジタルガバメント先進国であるエストニアにおいて、デジタルガバメントの基盤となるシステム「X-Road」でのデータベース連携のセキュリティシステムの構築、電子投票ソフトウェアの開発を行うなど、デジタルガバメントプロジェクトにおいて優れた実績を保有する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《SI》

 提供:フィスコ

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