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3878 巴川コーポレーション

東証S
948円
前日比
-7
-0.73%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
17.9 0.74 1.58 17.68
時価総額 98.5億円
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決算発表予定日

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巴川紙 Research Memo(7):商号変更を実施し事業ポートフォリオの転換で新たな成長を目指す


■中長期の成長戦略

巴川製紙所<3878>は2021年5月に新中期経営計画を策定し、2026年3月期の売上高36,000百万円以上、営業利益2,000百万円、新製品売上高比率を16%以上に高めることを目標として掲げた。この目標に対し、既に営業利益は前倒しで達成、改めて中計の見直しを行った。また同社は1955年、「誠実」「社会貢献」「開拓者精神」を創業精神として掲げ企業運営を行ってきたが、昨今の経営環境の変化を踏まえ、創業精神はバリュー(価値観)を表すものとして維持しつつ、ミッション(存在意義)を「感動こそが、持続可能な価値と考える。これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける」、ビジョン(ありたい姿)を「グローバル視点の提案型ソリューションパートナーへ。前例にとらわれず、組織の壁を超え、チームと個の力を掛け合わせ、新たな感動を創造する。」として経営理念を再定義した。そして2024年1月に「株式会社巴川コーポレーション」に商号変更するとともに2026年3月期を最終年度として、売上高400億円、営業利益35億円を定量目標として掲げた。

同社は「企業体質強化」を目指し、大型抄紙機の停機を行うなどエネルギー多消費型の製紙事業の縮小を進め、2023年3月期には製紙事業の連結売上高に占める割合が7.9%以下まで減少した。一方、プリンター用トナー事業の連結売上高に占める割合は39.6%、営業利益に占める割合は103.8%と100%を超え(新規開発事業及びその他の営業損益分を除くと86.1%)、最大の利益を生み出す事業となっている。加えて電子部品や半導体製造装置向け新製品開発を推進し事業ポートフォリオの転換が進みつつある。このようななかで2023年10月2日に東京証券取引所における所属業種が、従来の「紙・パルプ」から「化学」に変更となった。2024年に創業110周年を迎えるに当たって同社の実態を示し、持続的な企業グループの成長につなげていくことを目指すために商号変更を実施する。


トナー、セキュリティメディア、機能性シートの各事業を緩やかに成長させ、半導体・ディスプレイ関連事業で大きな成長を目指す
(1) セグメント別売上
セグメント別売上高計画では、トナー、セキュリティメディア、機能性シートの各事業を緩やかに成長させ半導体・ディスプレイ関連事業で大きな成長を目指すこととした。具体的には、2023年3月期に対し2026年3月期にはトナーが11.1%、機能性シートが10.0%の拡大、セキュリティメディアが5.0%の拡大に対し、半導体・ディスプレイ関連を50.0%増、2026年3月期には87億円を目指す。

(2) 事業ポートフォリオ別の売上計画
同社は今回、事業ポートフォリオ別の売上計画も開示しており、事業を4区分に分類、そのうえで特に新規成長事業(半導体関連部品、機能性不織布)と現在の主力事業(半導体実装用テープ、トナー、ガムテープ、セキュリティメディア)での成長を目指す。とりわけ新規成長分野については売上高を2023年3月期の27億円から2026年3月期には68億円まで拡大させ、成熟事業・低成長低収益事業に肉薄させる計画にある。

(3) 新製品売上高
ポートフォリオ別で新規成長事業の伸びを高く見ているが、これを支えるのが新製品売上高の拡大である。同社は、「新製品売上高(新製品の上市した月以降48ヶ月を経過するまでの製品ごとの売上高合計)」の売上目標を開示、2023年3月期の57億円を2026年3月期には98億円まで拡大する計画。具体的な製品別では半導体・ディスプレイ関連を16億円から40億円、機能性シートについては2024年3月期から量産化によって売上高が大きく拡大する予想となっている。また代表的な新製品の開発状況も示している。


事業セグメント別中計の売上見通し
(4) 成長を支える半導体・ディスプレイ関連事業
同事業は中計において最も成長が期待されている事業で、中計で2026年3月期に87億円を目指すとしているが、サブセグメント別では半導体関連部品が2023年3月期の7億円に対し33億円と、4.7倍規模を見込む。現在主力の半導体実装用テープについては2024年3月期に半導体の不振で減収を見込むも、その後は緩やかな拡大を見込む。一方、光学フィルムについては大型FPD市場が成熟、従来のような大面積を必要とする新規アイテムが出現する可能性が低いとして横ばいを見込んでいる。以下、各製品別の動向を見ていくが、全体として同社が7月に事業環境として示した世界半導体市場統計(WSTS)や(一社)日本半導体製造装置協会(SEAJ)の予測が大きく下方修正されており、半導体生産は2024年も回復が遅れる予想となっている。ただし、2025年には過去最高の生産額が見込まれ、これに合わせて同社製品群が売上拡大すると見られ、また光学フィルムも緩やかな拡大が期待され、全体として2026年3月期の売上高達成は十分可能と見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

《AS》

 提供:フィスコ

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