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3848 データアプリ

東証S
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データアプリ Research Memo(1):データ交換・連携用ミドルウェアを中心に展開


■要約

1. 会社概要
データ・アプリケーション<3848>は、経営理念に「未来情報社会創造はひとりひとりの喜びから」を掲げ、データ交換・連携用ミドルウェア※1を中心をとするソフトウェア製品の開発・販売・保守及び導入・運用支援サービスを展開し、社会の利便性向上や生産性向上などDX(Digital Transfomation)の実現を目指すソリューションカンパニーである。EDI※2やEAI※3といったデータ交換・連携用ミドルウェアを中心に展開し、EDIミドルウェア市場でのマーケットリーダーとなっている。

※1 ミドルウェア(middleware)はコンピュータを構成する要素の1つで、コンピュータの基本的な制御を行うOS(Operating System)と、具体的な処理を行うアプリケーション(application software)との中間(ミドル)に位置して、それぞれの機能を補完するソフトウェアのこと。代表的なミドルウェアとしてデータベース管理、データ交換・連携、Webサーバ、トランザクションモニターなどの分野に分類され、いずれも企業のシステム開発作業削減や業務コスト低減を実現するための重要なソフトウェア。
※2 EDIはElectronic Data Interchangeの略。受発注・見積・出荷・入荷・決済など商取引に関する情報を企業間で電子データ交換する仕組み。
※3 EAIはEnterprise Application Integrationの略。企業内の複数のコンピュータにあるデータや業務プロセスを効率的に統合する仕組み。


2. サブスクリプション型にシフトした、ストック型の安定成長ビジネスモデル
主力製品は「ACMS※(エーシーエムエス)」シリーズで、戦略製品として「ACMS」シリーズ最上位モデルのエンタープライズ向けデータ連携基盤「ACMS Apex」(エーシーエムエス エイペックス)、Web-EDIシステム基盤「ACMS WebFramer」(エーシーエムエス ウェブフレーマー)、データ交換・加工プラットフォームのデータ ハンドリング プラットフォーム「RACCOON」(ラクーン)、文書データ活用・EDI統合ソリューション「OCRtran」(オーシーアールトラン)の拡販を推進している。

※「ACMS(Advanced Communication Management System)」は同社の登録商標である。


同社は収益安定性向上のため、パッケージ(売り切り)からストック型ビジネスであるリカーリング(サブスクリプション・メンテナンス)へのシフトを戦略的に推進するとともに、戦略製品(特に「ACMS Apex」)に注力する方針を打ち出している。この結果、リカーリング売上は拡大基調であり、売上構成比も2019年3月期の58.1%から2023年3月期には74.8%まで上昇した。弊社では、リカーリングのさらなる拡大によって、全体としての売上拡大や利益率向上が期待できると考えている。

3. 2023年3月期は2ケタ営業・経常増益で着地
2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比8.5%増の2,496百万円、営業利益が同11.1%増の491百万円、経常利益が同10.6%増の507百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同33.2%減の215百万円だった。親会社株主に帰属する当期純利益は本社移転に係る特別損失の計上で減益となったが、安定収益源のリカーリングの拡大が牽引して増収、売上総利益率の上昇も寄与して期初計画を上回る2ケタ営業・経常増益で着地した。売上高の内訳は、リカーリングがサブスクリプション型の好調で同13.9%増の1,866百万円、パッケージがサブスクリプション型へのシフトで同4.4%減の614百万円、サービスその他が同21.1%減の15百万円だった。リカーリングの売上構成比は同3.6ポイント上昇して74.8%となった。

4. 2024年3月期は一時的費用や先行投資で営業・経常減益予想だが上振れの可能性
2024年3月期の業績(非連結決算に移行)予想は、2023年3月期個別業績との比較で売上高が4.2%増の2,600百万円、営業利益が同15.6%減の410百万円、経常利益が同13.9%減の428百万円、当期純利益が同62.8%増の338百万円としている。売上面はリカーリングの拡大が牽引して増収予想だが、営業利益と経常利益は本社移転に伴う一時的費用の発生に加えて、積極的な先行投資(研究開発投資、新規事業創出投資、人的資本投資、組織体制強化投資など)を継続するため減益予想としている。当期純利益については、(株)鹿児島データ・アプリケーションを吸収合併したことに伴う特別利益(抱き合わせ株式消滅差益55百万円)の計上により大幅増益予想としている。なお本社移転に伴いオフィススペースを約50%削減するため、2025年3月期以降はオフィス関連費用が年間約50百万円削減できる見込みとしている。弊社では全体として保守的な印象が強く、リカーリングが拡大基調であることを勘案すれば会社予想は上振れの可能性が高いだろうと考えている。

5. 中期経営計画の進捗は順調
同社は、ありたい姿を「データと一緒にワクワクする未来へ!」と定義し、中期ビジョンとして「変革への挑戦」を掲げている。具体的には、市場規模420億円(同社推定)のデータ・インテグレーション(データ連携)マーケットへ事業拡大することで、データ・インテグレーション領域でマーケットリーダーを目指すとともに、同社の戦略製品を活用することで顧客のDX促進を目指すとしている。そして中期経営計画3年目の2024年3月期は本社移転に係る一時的費用発生などで営業・経常減益予想としているものの、目標値である売上高2,500百万円(サブスクリプション売上高は2021年3月期比3倍)、営業利益350百万円を超過達成する見込みとしている。計画の進捗は順調であり、さらに2024年3月期は前期までの成果に積み上げる形で、「新規ビジネス:DX実現への挑戦」「既存ビジネス:収益の最大化」「人材の獲得と育成」「企業力強化の取り組み」の4つの重点施策を深化させ、実施する方針としている。

6. 新たな成長ステージに向けた次期・中期経営計画にも注目
同社はEDIミドルウェア市場におけるマーケットリーダーである。市場環境は良好であり、サブスクリプション型への戦略的シフトも寄与して、その中長期的な成長ポテンシャルが大きいと弊社では評価している。営業利益率は2018年3月期の28.0%、2019年の28.7%に比べてやや低下したものの、これはサブスクリプション型への戦略的シフトに伴う経過期間という一過性要因や先行投資が影響したためであり、2023年3月期でも19.7%という高い水準を維持している。さらに、次期・中期経営計画において、既存事業の拡大戦略に加え、データインテグレーションビジネスの推進やPlacul(プラカル)(商標登録出願中)による新規事業領域の開拓などを含めて、新たな成長ステージに向かうシナリオが示されれば、同社に対する投資家の関心度も一段と高まるだろうと弊社では考えている。

■Key Points
・EDIミドルウェア市場でのマーケットリーダー
・2023年3月期はリカーリングの拡大が牽引して2ケタ営業・経常増益
・2024年3月期は一時的費用や先行投資で営業・経常減益予想だが上振れの可能性
・中期経営計画の目標は達成見込み
・新たな成長ステージに向けた次期・中期経営計画にも注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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