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3800 ユニリタ

東証S
1,942円
前日比
+2
+0.10%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.4 1.28 3.50
時価総額 155億円
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決算発表予定日

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ユニリタ Research Memo(4):17/3期上期は微減収となるも大幅な営業増益で着地


■決算動向等

(1) 2017年3月期第2四半期決算の概要

ユニリタ<3800>の2017年3月期第2四半期累計の業績は、売上高が前年同期比0.8%減の3,410百万円、営業利益が同13.4%増の732百万円、経常利益が同10.3%増の813百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.8%減の565百万円とわずかに減収ながら大幅な営業増益となった。ただ、期初予想に対しては、売上高、利益ともに下回っている。

売上高では、「データ活用」及び「システム運用」の両事業において、注力する自社製品販売が好調であったものの、技術支援サービスが伸び悩んだことが業績の足を引っ張った。また、2016年3月期まで好調であった子会社による「その他」もやや足踏みとなった。一方、「メインフレーム」は縮小傾向が続いているが、減収率は想定よりも小幅に収まっている。

期初予想を下回った主な理由は、1)クラウド化に伴う販売形態のシフトが進んだこと(売切り型から利用料型への移行)※、2)「データ活用」及び「システム運用」における技術支援サービスの伸び悩み、3)新規事業領域のソリューションが当初想定していた業績貢献に至らなかったこと、の3つである。

※従来の売切り型(製品代金の一括支払い型)から利用料型(利用に応じた課金型)への移行により、契約時における案件ごとの売上高は5分の1程度に縮小することになる。ただし、利用料型は将来にわたって安定的な収入になるとともに、案件数の拡大に伴って徐々に積み上がる収益構造となることから収益基盤の強化につながる。

ただ、損益面では、収益性の高い自社製品販売の伸びが営業増益に寄与した。特に、「データ活用」における大幅な損益改善により営業利益率は21.5%(前年同期は18.8%)に上昇し、ビーコンITとの合併後では、過去最高(半期ベース)の水準となった。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益が減益となったのは、前年同期における一時的な税金負担の軽減効果(合併に伴う繰越欠損金の引継ぎによるもの)がはく落したことが要因である。

財務面では、総資産が前期末比4.1%増の13,023百万円に増加した一方、自己資本も内部留保により同3.4%増の10,358百万円に積み増したことから、自己資本比率は79.5%(前期末は80.1%)と高い水準を維持している。

事業別の業績は以下のとおりである。

a)「データ活用」は、売上高が前年同期比2.1%減の1,057百万円、セグメント利益が102百万円(前年同期は7百万円の損失)と減収ながら大幅な損益改善を実現した。顧客のデータ活用やデータ連携ニーズを捉えた自社製品の販売に注力したことや、パートナーによる販売強化策が奏功したことから製品販売が大きく伸びた。ただ、その半面、製品販売に付随する技術支援サービスは、パートナー経由が増加したことにより減少し、業績の足を引っ張った。また、クラウド化に伴う販売形態のシフト(利用料型は前年同期比2.2倍に拡大)も上期業績で見ると減収要因となっている。もっとも、損益面では、収益性の高い自社製品販売が増えたことにより大幅な損益改善を実現した。また、子会社のデータ総研についても、データマネジメントのコンサルティング需要(データ活用に進む前段階)の拡大を受けて好調であった。

b)「システム運用」は、売上高が前年同期比2.4%増の1,067百万円、セグメント損失が178百万円(前年同期は182百万円の損失)と増収、損失幅の縮小となった。運用自動化分野等において顧客のシステム運用基盤の再構築ニーズを捉え、自社製品の販売に注力したことが増収に寄与した。一方、「データ活用」と同様、技術支援サービスが減少したことや新規開拓が進まなかったところに課題を残した。また、クラウド化に伴う販売形態のシフト(利用料型は前年同期比1.6倍に拡大)も売上高の伸び悩みにつながった。

なお、「データ活用」及び「システム運用」の両事業に属する新規・成長事業分野の売上高は371百万円(前年同期比11.1%増)に伸びたものの、通期計画1,010百万円(前期比33.2%増)に対してはやや遅れが生じている。特に、新規事業分野(ビッグデータ活用、BPM※、セキュリティ等)については、これらITの先端領域に対する潜在的な需要は大きく、提案に対する反応は良いものの、一般情勢として活用事例がいまだ多くないことから、導入決定に向けて時間がかかっていることや、対応領域や金額を絞ったスモールスタートとなるケースが多くみられる。また、成長事業分野(ITSMやBe.Cloud等)については、製品開発スピードの遅れや、再編した営業体制の立ち上がりにもたつきがあったところが影響した。

※BPM(ビジネスプロセスマネジメント)とは、企業の全社的な業務の流れを把握・分析し、情報システムを用いて継続的に管理・改善・最適化していくこと。

一方、重要な位置付けとなっているパートナー政策については、86社(前期末は73社)に増やし、パートナー経由の売上高も前年同期比で2.4倍に拡大しており、自社製品販売の伸びに大きく貢献している。

c)「メインフレーム」は、売上高が前年同期比0.6%減の1,017百万円、セグメント利益が同0.8%増の784百万円となった。オープン化やダウンサイジング化が進展するなかで縮小傾向が続いているものの、想定の範囲内。むしろ、これらの外部環境の変化に対応するソリューションの重点提案や既存顧客のシステム更改案件への取り組みにより、減収率は想定よりも小幅に収まっている。

d)子会社による「その他」は、2016年3月期まで順調に拡大してきたが、売上高が前年同期比8.3%減の268百万円、セグメント利益が同56.7%減の25百万円とやや足踏みとなった。ただ、減益幅が大きいのは、新たに設立したユニ・トランドの先行費用(営業損失14百万円程度と推定)が影響している。企業の災害対策を提案するBCPサービスは、主力販売ルートであるパートナー販売が伸び悩んだ。また、SaaS型勤怠管理サービスでも人材派遣市場の需要拡大を受け、既存顧客の利用率向上と新規開拓につなげるためのサービス機能の強化等に取り組んだが、成果には課題を残した。一方、2016年5月にIoT型移動体向けソリューションを提供する子会社として設立したユニ・トランドは、まだ投資フェーズにあり、本格的な業績貢献には時間を要する見通しであるものの、バス事業者からの成約、引き合いも多く、順調に立ち上がっているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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