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3762 テクマトリックス

東証P
1,678円
前日比
-16
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PTS
1,679.1円
14:36 05/09
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.0 3.27 1.67 101
時価総額 747億円
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テクマト Research Memo(10):PSPの連結化により医療分野の中期的な成長期待が一段と高まる


■テクマトリックス<3762>の今後の見通し

2. 中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」の進捗状況
(1) 基本方針と戦略テーマ
2022年3月期からスタートした中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」では、デジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会にとって必要不可欠な領域に向けた事業を加速し、社会課題を解決するためのサービス提供を通じて、持続可能な社会の創造に貢献していくことを基本方針に掲げた。

事業戦略としては前中期経営計画において推進した「クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進」「セキュリティ&セイフティ(安心と安全)の追求」を継続している。また、基本戦略としては「取扱製品の拡大・新規サービスの立ち上げ」「サービス化の加速(サービス比率拡大)」「データの利活用(AIの利用を含む)」「多様なアライアンス・M&A(既存事業の拡充と新規事業の創出)」「海外市場での事業の拡大」「グループ間連携の強化によるシナジーの創出」「人材育成/組織開発(ダイバーシティの推進を含む)」の7つのテーマに取り組んでおり、初年度の進捗状況についてはおおむね順調に進んだものと同社では評価しているようだ。

(2) 経営数値目標
経営数値目標については、旧PSPを連結化したこと、初年度の業績状況も踏まえて見直しを行っている。2024年3月期の連結業績目標としては売上収益で当初目標を6,000百万円上回る46,000百万円、営業利益で同100百万円上回る5,100百万円とした。

事業セグメント別で見ると、情報基盤事業は売上収益で同1,000百万円増加の29,000百万円、営業利益で同横ばいの3,600百万円とした。クラウド型セキュリティ対策製品の需要が想定以上に伸びていることが売上収益の増額要因となる。一方、営業利益については据え置いた格好だが、新たな費用増要因はなく保守的に見て据え置いたものと考えられる。

一方、アプリケーション・サービス事業は売上収益で同5,000百万円増加の17,000百万円、営業利益で同100百万円増加の1,500百万円とそれぞれ上方修正した。売上収益については旧PSPの寄与によるところが大きい。また、営業利益については前期比でも2倍増と急回復する見通しだが、PSPの増益や教育事業の収益改善効果を見込んでいる。

(3) PSPの今後の展開について
PSPとNOBORIを事業統合した目的は、既存のクラウド型PACS「NOBORI」の顧客基盤を拡大し収益力を一段と高めていくことに加えて、両社の開発部門を統合して技術リソースを最適配分することでPHRやAI、データ利活用分野等の新規サービスの開発スピードを加速し、医療分野での高成長を実現していくことにある。

旧PSPのPACS製品については今後クラウドサービスへシフトし、2026年4月を目途に完全統合することになっている。両社合わせて導入医療施設数は約2,200施設、市場シェアは22%超だが、今後も継続的な機能と品質向上を図ることで新規顧客を開拓し、市場シェア拡大を目指していく。

なお、2022年4月にはキヤノンメディカルシステムズ(株)と販売の協業に関して基本合意を締結したことを発表しており、こうした取り組みも「NOBORI」のシェア拡大につながると弊社では見ている。協業の目的は互いの製品・サービスを相互供給し、ソリューションとして顧客に販売していくというもの。具体的には、PSPのクラウドPACS「NOBORI」と読影用ビューアーソフトウェア「EV Insite R」の2品目をキヤノンメディカルシステムズで、キヤノンメディカルシステムズのAI解析技術や3D画像処理技術を用いた読影支援ソリューション「Abierto Reading Support Solution」をPSPで取り扱う。相互の製品を組み合わせることで画像診断における読影品質の向上と効率化を実現し、顧客開拓を推進していくことになる。

キヤノンメディカルシステムズはMRI装置やCT装置などの大手メーカーであり、PACSについてもオンプレミス型で大手の一角を占めていたが、クラウドサービスに市場が移行していることを受け「NOBORI」の取り扱いも開始することになったようだ。キヤノンメディカルシステムズの顧客基盤や販売ネットワークはPSPよりも大きいことから、「NOBORI」の新規顧客獲得につながる取り組みとして注目される。協業の効果が出てくるのは2024年3月期以降になりそうだ。

また開発力の強化という点では、旧PSP、旧NOBORIの開発テーマで重複するものがあり、これらを整理・統合し、余剰となった開発リソースを新規プロジェクトに配置していくことが可能となる。当面は旧PSPのPACS製品と「NOBORI」を連携するためのプロジェクトにリソースが充当されるため、統合効果が出始めるのは同プロジェクトが終わってからとなる。

新生PSPの業績については、クラウドシフトの影響で短期的には伸び悩むものの、クラウドシフトが完了するであろう2027年3月期には少なくとも統合前の2社合計の営業利益(14億円)の水準に戻っているはずだ。さらに言えば、クラウドサービスは顧客基盤が大きくなるほど利益率も上昇する収益構造であるから、PACS事業だけで見れば統合前の利益水準以上に拡大している可能性がある。これにPHRやAI、データ利活用サービスなど新規事業が育ってくれば、さらなる成長が期待できることになる。新規事業を育成していくうえでも、旧PSPを子会社化し顧客基盤(医療施設数)を2倍に拡大した意義は大きく、今後の展開が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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