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3762 テクマトリックス

東証P
1,655円
前日比
+9
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.7 3.23 1.69 50.83
時価総額 737億円
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テクマト Research Memo(6):情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業とも2ケタ増収増益を達成


■テクマトリックス<3762>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上高は前期比12.1%増の19,006百万円、営業利益は同28.3%増の2,280百万円となり、過去最高を連続更新した。受注高についても同6.5%増の20,047百万円と堅調に推移し、期末受注残高も前年同期末比10.6%増の10,853百万円と過去最高水準となった。情報セキュリティ対策に対する企業や官公庁・自治体などからのニーズは引き続き旺盛で、全体的には西日本地域や中部地域での営業強化に取り組んだこと、クロスセル戦略により大型案件の受注獲得が進んだことなどが増収要因となっている。

なお、情報基盤事業(単体)におけるストック売上は前期比14.3%増の5,623百万円、非ストック売上は同16.9%増の8,947百万円といずれも2ケタ増収となり、バランスよく事業が拡大していることがうかがえる。ストック売上比率は38.6%と同社が適正水準と考える40%前後で数値を維持している。営業利益率の上昇要因は前述したとおり営業の生産性が向上したことに加え、沖縄クロス・ヘッドの事業構造改革を進め、採算が改善したことも一因だ。

分野別の売上動向を見ると、負荷分散装置は更新需要に加えて、期末にかけて在宅勤務関連の需要が増大したことにより、リモートアクセスに対するセキュリティ製品の受注が増加し、前期比2ケタ増収となった。また、サイバー攻撃からの防御対策ツールとなる次世代ファイアウォール製品も好調に推移した。特に、Palo Alto Networks社の「Prisma Access」は、従来製品の機能をクラウド上に持たせた製品であるため、ローカル拠点ごとにファイアウォールを設定する必要がなく、グローバル企業や事業拠点を多く持つ企業からの引き合いが好調に推移した。

McAfee社の不正侵入防御システムやWebセキュリティ製品なども官需・民需含めて好調に推移したほか、在宅勤務需要の広がりとともに、個人認証システムも期末にかけて引き合いが急増した。また、ネットワーク端末脅威対策プラットフォーム製品※1や次世代型メールセキュリティ製品※2、AIを活用した次世代アンチウイルス製品などの先進的なセキュリティ対策製品も好調に推移した。一方、ストレージ製品については大手放送局向けの需要が一巡したものの、地方局への横展開やセカンダリストレージ製品「Cohesity」の投入などが寄与し、前期並みの水準で推移した。

※1 業務パソコンやサーバ等のネットワーク端末(エンドポイント)がサイバー攻撃を受けた際に、その状況把握及び攻撃を受けた端末の特定・隔離等の対策を迅速に行うことができる製品。
※2 従来の攻撃を未然に防ぐ機能に加えて、潜在的な脅威を検出して無効化を実施する仕組みや、攻撃対象を特定し内容を可視化するなどの機能を備えた製品。


ストック型ビジネスとなるセキュリティ運用・監視サービスは、セキュリティ対策の高度化を背景に契約数が伸びており、前年同期比で2ケタ増収となった。2019年8月に提供開始した統合セキュリティ運用・監視サービス「TechMatrix Premium Support powered by TRINITY(TPS)」の売上も順調に推移している。同サービスはAI技術と、最先端の脅威シナリオに基づく独自開発の相関分析基盤を活用したインシデントハンドリングの提供等により、個々の端末の監視だけにとどまらず、ゲートウェイ製品や全ての端末、ネットワークフロー全体の相関分析を行うことで、「面」としてネットワーク状況を監視するサービスとなる。未知のマルウェアに対するセキュリティ対策を含めて、異常の早期検出と迅速な対応を可能としたサービスとなる。現在、ICT基盤の運用・監視サービスでは「∴TRINITY」があり、年間で数億円規模の売上となっているが、新サービスの導入により2ケタ億円以上の規模まで拡大していくことを目指しており、ストック売上の一部として同事業セグメントの安定収益基盤に育成していく考えだ。

また、連結子会社のクロス・ヘッドは、AWSヘの移行支援サービスの受注が拡大したほか、エンジニア派遣事業についても好採算案件へのシフトが進んだことで、業績は堅調に推移した。沖縄クロス・ヘッドについてもセキュリティ関連製品や独自の付加価値サービス(沖縄県のデータセンターへのバックアップ等)の販売が堅調に推移し、在宅勤務需要の広がりを背景にリモートデスクトップ・サービスの受注も期末にかけて伸長した。事業構造改革を実施したことで損益面でも改善している。

(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上高は前期比12.8%増の9,546百万円、営業利益は同16.6%増の747百万円と過去最高を更新した。CRM分野や医療分野が好調に推移したほか、ソフトウェア品質保証分野も堅調に推移した。とりわけ、CRM分野が大型案件の受注を獲得したこともあり増収増益に大きく貢献した。受注高についても同15.4%増の10,647百万円と好調で、期末受注残高は前年同期末比15.0%増の8,441百万円に積み上がった。また、売上高(単体のアプリケーション・サービス事業及びNOBORIの売上合計)のうち、非ストック売上は前期比16.9%増の3,995百万円、ストック売上は同9.8%増の4,636百万円といずれも伸長した。CRM分野においてカスタマイズ案件が増加したことで、ストック売上比率は、前期の55.3%から53.7%に低下したものの、金額ベースでは順調に増加している。同社は、ストック売上比率を近い将来60%超の水準まで引き上げていくことを目指している。

分野別の動向を見ると、医療分野は「NOBORI」の契約施設数が1,000施設を超えるなど拡大を続けており、1ケタ台の増収となった。コンシューマ(患者)をターゲットとしたPHRサービスの開発や、AIベンチャー・医師らと組んだ医用画像診断支援システムの共同開発等の新規事業への先行投資を継続したこともあり、利益率は前期とほぼ変わらなかった。

「医知悟」については遠隔読影需要の高まりにより、放射線分野での病院向けが順調に増加したほか、健診施設等の顧客開拓が進み、契約施設数、読影依頼件数、従量課金金額ともに堅調に推移した。また、資本・業務提携先であるA-Lineの「MINCADI」の受注も、下期以降大幅に増加した。

CRM分野では、2018年6月にリリースしたFAQナレッジ管理システム「FastAnswer2」の新バージョン※1や、同年12月にリリースしたコンタクトセンターCRMシステム「FastHelp5」の新バージョン※2の評価が高く、大手SIベンダーやテレマーケティング・ベンダーとの業務提携、クラウド需要の拡大、認知度の向上などによって、前期比30%弱の増収となった。既存顧客からのリプレイス需要に加えて、通信、金融、製薬企業などからの新規受注を獲得し、増収要因となった。

※1 社内で作成・利用するナレッジを「外部公開用FAQ」(お客様用FAQ)と「内部用FAQ」(顧客対応時に参照するFAQや製品情報・規約集等の文書情報からなるFAQナレッジ)の両用途に適用可能としたほか、ダッシュボード機能の追加や直観的な操作で運用できるようにUIの改良を行い、ナレッジ管理機能の強化を図った。
※2 「Fast API」を通じて複数のチャットボットシステムとの連携を可能とした。


ソフトウェア品質保証分野は、米中貿易摩擦の影響や新型コロナウイルス感染の拡大による製造業の投資減速懸念があったものの、自動車向けに関しては伸び率こそ鈍化したものの堅調に推移し、また、第4四半期にはOSSライセンス&セキュリティ管理ツールの最新製品の販売を開始したほか、期末に駆け込みで受注が入ったこともあり、増収を維持した。一方、利益面では人員体制を強化したことにより2019年3月期並みの水準にとどまった。

ビジネスソリューション分野については、事業構造転換中(アプリ開発等の受託開発事業からの脱皮)となっている。売上高は伸び悩んだものの損益面では改善した。また、子会社のカサレアルで提供する企業向け研修サービスは、新たな教育プログラムの開発やパートナーの発掘が奏功し、増収増益となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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