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3656 KLab

東証P
245円
前日比
+1
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PTS
250円
15:19 04/26
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.87 5.56
時価総額 101億円
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決算発表予定日

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KLab Research Memo(2):人気IPによるヒットタイトルの創出を得意とする、モバイルオンラインゲーム会社


■会社概要

1. 事業内容
KLab <3656>は、「世界と自分をワクワクさせろ」をビジョンに掲げ、スマートフォン向けアプリを中心にモバイルオンラインゲームの企画、開発を手掛けている。主要タイトルは、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」(以下、スクフェス)、「BLEACH Brave Souls」(以下、ブレソル)のほか、前期にリリースした「キャプテン翼~ たたかえドリームチーム~」(以下、キャプテン翼)がグローバル版を中心に急拡大している。

日本の人気漫画やアニメーションをゲーム化し、運用するところに強みがあり、海外への展開にも積極的である。上位4 タイトル※で売上高の大部分をバランスよく構成しており、特定のヒットタイトルへの依存度が高い業界においては非常に安定的な収益構造と言える。

※「スクフェス」及び「ブレソル」のほか、前期にリリースした「キャプテン翼」及び「うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live」(以下、シャニライ)」の4タイトル。


事業セグメントは、主力の「ゲーム事業」のほか、創業来の大規模・高負荷対応インフラサービスの提供などによる「その他」に区分されるが、「ゲーム事業」が売上高のほとんどを占める。

主要タイトルの概要は以下のとおりである。

(1) 「 ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」
「ラブライブ!」とは、架空の女子高校生をスクールアイドルとして売り出していくメディアミックスプロジェクトであり、TVアニメを始め、アニメーションPV(DVD)付き音楽CDのリリースのほか、インターネットラジオやライブイベント、雑誌、トレーディングカードゲームなど、様々なメディアに展開する人気シリーズである。この「ラブライブ!」をゲーム化した「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」は、2013年4月に(株)ブシロードとの共同開発により提供を開始したリズムアクション&アドベンチャーゲームである。提供開始から1日で国内App Storeトップセールスランキング5位を獲得するなど順調に立ち上がり、その後もロングランのヒットタイトルとして業績貢献を続けている。2017年6月に国内ユーザー数2,100万人、2017年9月には全世界で4,000万人を達成した。

(2) 「BLEACH Brave Souls」
2015年7月に配信を開始した爽快3Dアクションゲームである。題材となる「BLEACH」とは、(株)集英社が発行する少年漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』で人気連載されていた剣戟バトルアクションコミックであり、TVアニメのほか、劇場版も公開されている。また、日本だけでなく海外での人気も非常に高い。2018年2月には全世界で3,000万ダウンロードを突破した。

(3) 「 キャプテン翼~たたかえドリームチーム~」
2017年6月13日に配信を開始した対戦型サッカーシミュレーションゲームである。事前登録の段階から注目を集めていたが、日本版のリリースから3週間で200万ダウンロードを突破するなど、想定を上回るペースで立ち上がった。世界的な人気を誇ってきたIPとしての認知度に加え、ゲームとしての作り込みの良さ(育成要素の強さ、対戦ゲームとしての醍醐味、世界中のプレイヤーによるドリームチームの編成、課金ポイントの充実など)や効果的なプロモーション展開などが高い評価や業績寄与につながっていると考えられる。2017年12月5日にはグローバル版をリリース。こちらも2週間で200万ダウンロードを記録すると、その後も順調に拡大し、2018年5月には全世界で1,000万ダウンロードを突破した※。

※国・地域別最高セールスランキング(App Store)では、香港、マカオ、バーレーン、オマーン、エジプト、クウェート、UAEでそれぞれ1 位を記録したほか、クロアチア、スペイン、イタリア、フランス、ベルギー、アルゼンチンなど、サッカーの盛んな欧州や南米でも上位にランキングされている。


(4) 「うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live」
2017年8月28日に配信を開始した「うたの☆プリンスさまっ♪」は2010年にゲーム第1作をリリース以来、メディアミックス展開を広げてきた人気IPである。これまでの実績に目を向けると、ゲームでは12種計100本のビッグセールスを記録、TVアニメでは第4期まで放送し、アニメDVD/BDの人気も高い。音楽メディアは著名ランキング会社が提供する音楽ランキングで1位を獲得するなど、アニメ系CDセールストップの常連となってきた。また、リアルイベントではライブチケットは即完売し、有名イベント会場をファンが埋め尽くすなど、女性を中心とする熱狂的なファンを有している。2018年1月24日には中国大陸版とグローバル版を同時リリースし、2018年3月には全世界300万ダウンロードを突破。コアファンを軸とするライフタイムバリュー重視の戦略により着実な業績貢献を目指しているようだ。

2. 企業特徴
(1) 成長モデル
同社の収益源はゲームユーザーからのアイテム課金収入によるものである。すなわち、ヒットタイトルの創出によるユーザーの獲得と課金率の向上が業績の伸びをけん引する成長モデルである。また、モバイルオンラインゲームのヒットタイトルは、運用次第で比較的ライフサイクルの長期化が見込めるものの、年々縮小していく傾向(自然減)は避けられない。したがって、ヒットタイトルの自然減を新作タイトルでいかにカバーしていくのかが最大のテーマであり、開発パイプラインの積み上げ(新作タイトルのリリース数)とヒット率の向上が成長のカギを握ると言える。

(2) 同社の優位性
a) 人気IPをヒットタイトルに結び付ける力
同社は日本の人気漫画やアニメーションなどをゲーム化し、運用するところに強みがある。主要タイトルの「スクフェス」や「キャプテン翼」を始め、数々の人気IPを手掛けてきた実績は、有力IPの獲得から、そのIPを生かす企画・開発、更にはリリース後の運営及びマーケティングにおけるノウハウを蓄積しており、それが同社の強みを支えている。特に、日本のポップカルチャー(オタク文化)は、アジアや欧米など世界でも人気を高めており、海外展開を進めるうえでも大きなアドバンテージとなっている。また、有力IPをゲームでヒットさせてきた実績と経験、ネットワークは、更なる有力IPの獲得に向けて有利に働くとともに、自社IPの育成にも生かされており、好循環が生み出されている。

b) 独自のマーケティング力
精密なKPI分析や効果測定による効率的な広告宣伝活動を展開するほか、同社ならではのオンライン動画配信※等により、コアとなるユーザー層を囲い込む(ファンコミュニティの醸成)、効果的なマーケティングを展開している。また、これらの草の根的なユーザー接点(ネットワーク)は、新作タイトルの企画・開発におけるヒントや、リリース後の運用においても大きな支えになるとともに、他社が簡単にはまねできない財産となっている。

※国内向けは「KLab Games放送局」(2017年12月に放送100回を突破)、海外向けは「KLab Games Station」(英語/フランス語で放送)を展開し、国内外でファンコミュニティ醸成に貢献している。


c) 運営力
前述のとおり、一般的なモバイルオンラインゲームには年々縮小していく傾向(自然減)がある上、ユーザーの移り変わりも激しいところに課題がある。一方、同社の場合、最近の業績推移を見ると、時間が経過しても増収となる事例が見られることから、その運営力の高さも強みになってきた。コアファンを有する人気IPの特徴をうまく生かし、ユーザーが離れないようなイベント及び商材をタイミングよく投入することで、継続率及び課金率の向上を図っているところに秘訣があると考えられる。

d) 海外展開力
海外展開力にも強みがある。2017年12月期の海外売上高は50億円弱となり過去3年間で4倍以上に拡大してきた。また、直近の海外売上比率(四半期ベース)は約37%に高まっており、国内スマートフォンゲーム市場が成熟化しつつあるなかで、拡大余地が大きい海外への展開力は、同社の最大の強みと言える。特に、「ブレソル」については、多言語化(フランス語版の投入)を図ったことも奏功し、グローバル版が日本版を上回る状況が続いている。また、2017年12月にグローバル版をリリースした「キャプテン翼」が想定以上に急拡大しており、足元の業績の伸びをけん引している。海外でも人気の高い日本のIPを展開する力に加えて、多言語化対応や広告運用スキル(地域別及び言語別に訴求軸を意識した制作やターゲット別の適切な配信)、ファンコミュニティの醸成(海外向けのオンライン動画配信を始め、欧米のリアルイベントにも出展・参加)、App Store/Google Playのフィーチャー※などが、同社の海外展開力の源泉となっていると考えられる。

※App Store/Google Playとは、アップル社やGoogle社が運営するダウンロードサービスであるが、その特設ページに掲載(推奨アプリとして紹介)されることにより絶大な広告宣伝効果を期待できる。足元で急拡大している「キャプテン翼」についてもApp Store/Google Playのフィーチャーが効果的(かつ効率的)なプロモーションを実現したと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《SF》

 提供:フィスコ

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