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J-REITの独歩高は続くか、佳境迎える「敵対的M&A」 <株探トップ特集>


―金利低下で投資妙味拡大、さくらリート巡り「委任状争奪戦」へ―

 全般相場が波乱展開を強めるなか、REIT(不動産投信)の異彩高がマーケットの関心を集めている。東証REIT指数の上昇が続く背景には、世界的な金利低下が続くとともに高配当利回り商品であるJ-REITが見直された要因が大きい。更に、足もとではJ-REITで初となる「敵対的M&A(合併・買収)」が佳境を迎えつつあることも話題となっている。果たして、REIT相場は今後も一段の上昇が見込めるのか。

●東証REIT指数は12年ぶり高値、「利回り追求」の波衰えず

 この日の東証REIT指数は前日比17.18ポイント高の2090.39で取引を終えた。終値ベースで20日につけた2087.39を抜き、2007年7月以来、12年1ヵ月ぶりの高値圏に上昇している。

 同指数は昨年末から約18%上昇した。その一方、多くの機関投資家がベンチマーク(投資基準)に採用するTOPIX(東証株価指数)は同期間1%弱下落していることとは、好対照を描いている。REIT人気の背景にあるのは、足もとの急激な金利の低下だ。この日、10年債利回りはマイナス0.285%まで低下。9月には米国など追加利下げも予想されるなか、世界的な金利低下基調が続く。そんな環境下で、J-REITの平均利回りは3.6%前後と高水準だ。REITに対する利回り狙いの買いが継続している。

●資金調達コスト低下の一方でオフィス賃料は上昇、絶好の収益環境が続く

 また、東京都心のオフィスビルの空室率は1.7%前後とバブル期並みの水準に低下し、賃料も上昇している。オフィスビルや住宅施設、流通施設などに投資するREITにとっては、金利低下で資金調達のコストが下がる一方で投資する不動産物件は好収益を稼ぎ出すという絶好の収益環境となっている。

 そんななか、資金の運用難に苦しむ機関投資家にとり、着実な分配金による収益が見込めるREITは格好の投資先となっている。特に「地銀や生損保など金融機関がこぞってREITに投資している」(市場関係者)という。REITの上昇には過熱感も指摘されているが、いちよしアセットマネジメントの秋野充成上席執行役員は、「株価が上がらないなか、機関投資家はREITを消去法的に買っている。株価が上がれば、REITは反落するだろうが、いまのところその兆しはない」とみている。

●さくらリート巡る投資主総会は30日開催、スターアジアとの争奪戦に

 更に、今週末にはREIT関係者が注視するイベントが行われる。日本のREITで初の敵対的M&Aとして関心を集める、さくら総合リート投資法人 <3473> [東証R]を巡る投資主総会(株主総会に相当)が30日に開催される見通しだ。

 今年5月にスターアジア不動産投資法人 <3468> [東証R]の運用会社がさくらリートに対して合併提案を行った。これに対して、さくらリートは反対の意思表示を行い、ホワイトナイト(白馬の騎士)として投資法人みらい <3476> [東証R]が登場している。こうしたなか、30日に開かれるさくらリートの投資主総会は、スターアジア側が招集した午前の総会とさくらリート側が招集した午後の総会という異例のスタイルとなる。これにより、両者が提出した議案が採択されることになり、さくらリート争奪戦の帰趨(きすう)を決める「委任状争奪戦(プロキシーファイト)」が繰り広げられる見通しだ。

 今回の敵対的M&Aに関しては、REITでは行使されなかった議決権は総会を招集した側に賛成した扱いになる「みなし賛成制度」が採用されていることなどが注目を集めているが、米国の議決権行使助言会社のISSはスターアジアとさくらリートが提出した議案の全てに反対を勧めており、結果がどう転ぶかは不透明だ。

●J-REITは資産価値に対して割安、伊藤忠アドや星野Rリートなど注目

 ただ、今回の敵対的M&Aの結果にかかわらず、危機感を持った中小REITを中心に業界再編機運は高まりそうだ。特に、J-REITには株価のPBR(株価純資産倍率)に相当する「NAV倍率」が1倍前後と割安な銘柄は少なくない。さくらリートも依然1.00倍程度と割安な水準にある。この低いNAV倍率もM&Aを誘発した要因ともみられる。

 NAV倍率が1倍前後で分配金利回りが4%以上の銘柄にはいちごホテルリート投資法人 <3463> [東証R]や大江戸温泉リート投資法人 <3472> [東証R]、スターツプロシード投資法人 <8979> [東証R]、伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人 <3493> [東証R]、星野リゾート・リート投資法人 <3287> [東証R]などがあり、これらの銘柄を中心にJ-REITは一段と見直される可能性がある。

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