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3392 デリカフHD

東証S
583円
前日比
-2
-0.34%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.7 1.14 1.72
時価総額 95.5億円
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久世
決算発表予定日

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デリカフHD Research Memo(2):業務用の野菜卸しとカット野菜の業界最大手。事業ポートフォリオを変革


■会社概要

1. 事業内容
デリカフーズホールディングス<3392>は、業務用野菜に関する仕入販売及びカット野菜の製造販売で業界トップ企業となるデリカフーズ(株)を中心に、物流事業を担うエフエスロジスティックス(株)、食品の分析事業を行う(株)メディカル青果物研究所、コンサルティング事業を行うデザイナーフーズ(株)、ミールキット・調味液等の製造販売を行うデリカフーズ長崎(株)、ミールキット等を直接消費者へ販売する楽彩(株)の6社※をグループとする持株会社となる。デリカフーズは2022年11月時点で北海道から長崎まで11事業所、17拠点で事業を展開しており、エリア協力企業も含めて全国の約3万店舗に日々、新鮮な野菜を安全・安心に供給している。

※2022年9月にデリカフーズ北海道(株)をデリカフーズに吸収統合し、北海道事業所としたほか、同年10月に青果BOX等の販売事業を行っていた(株)青果日和研究所を楽彩に吸収統合した。


事業セグメントは、主力事業となる青果物事業(デリカフーズ、デリカフーズ長崎及び楽彩)のほか、物流事業(エフエスロジスティックス)、研究開発・分析事業(デザイナーフーズ、メディカル青果物研究所)の3つの事業セグメントで開示している(持株会社分除く)。2023年3月期第2四半期累計の売上構成比(外部顧客売上ベース)で見ると、青果物事業で98.8%、物流事業で1.0%、研究開発・分析事業で0.2%の構成となっており、ほとんどを青果物事業で占めている。

青果物事業における商品別売上構成比では、仕入れた野菜をそのまま配送するホール(丸)野菜が43.9%、顧客の要望に応じて形状を加工して販売するカット野菜が46.0%、2021年3月期下期から開始したミールキットが4.2%、加熱野菜※が0.9%、日配品・他(卵・豆腐等)が5.0%となっており、カット野菜の比率がもっとも高くなっている。これは人材不足に悩む外食・中食業界において、調理が簡便で時間も短縮できるカット野菜の需要が増加していることが背景にある。

※野菜のおいしさと鮮度を重視した加熱調理済みの野菜で、「焼く」「蒸す」「煮る」に次ぐ第4の調理方法として注目されている。食材と調味液をフィルム袋に入れて真空密封しており、湯煎や電子レンジなどで再加熱するだけで提供できるため、調理時間を短縮することができる。カット野菜よりもさらに付加価値を高めた製品となる。


業界別売上構成比は、コロナ禍を機に大きく変化している。コロナ禍前の2020年3月期の外食業界向け(コロナ禍に強い外食除く)売上構成比は78.3%を占めていたが、2022年3月期第2四半期累計では45.6%まで低下した。この間、外食業界向けの落ち込みをカバーすべく、コロナ禍に強い外食(テイクアウト、宅配・デリバリー、ドライブスルー業態等)だけでなく、中食、量販・小売、給食業界などで顧客開拓を進めてきたことが要因だ。この間で最も比率が上昇したのはコロナ禍に強い外食向けで4.9%から16.6%に上昇し、次いで量販・小売業界向けが8.1%から18.1%に上昇した。2023年3月期第2四半期累計では外食業界の回復により、外食業界向けが52.0%まで上昇し、その他業界向けはそれぞれ若干低下した格好となっている。同社が外食以外の業界で顧客開拓をスムーズに進めることができたのは、これまで業務用青果物卸しとして培ってきた安心・安全な物流サービスと、品質の高いカット野菜等が評価されたためと考えられる。


スーパーコールドチェーンの導入と衛生品質管理の国際標準規格取得。BCP対策等に先行して取り組み、業界随一の安全・安心なサービスを提供
2. 同社の強み
同社の強みは、卸売事業者として国内外で開拓してきた多くの契約産地(仕入高の60%超)から安定した仕入れを行うことができる調達力と、高品質で安全・安心に商品を顧客のもとに配送する物流網を全国に構築(委託業者を含む)していることが挙げられる。また、業界初となるスーパーコールドチェーン※1を東京第二FSセンター(2013年7月稼働)以降に開設した事業所(奈良、東京、西東京、中京、埼玉、仙台、九州、北海道)で導入しているほか、食品安全マネジメントシステムの国際標準規格となるISO22000や、その上位規格となるFSSC22000※2の認証も各事業拠点で取得している。BCP対策という観点でも、物流センターや貯蔵センター、カット野菜の製造拠点を複数構築するなど、万全を期している。こうした食の安全・安心を確保するうえでの取り組みを、業界内で先駆けて実施していることが顧客からの高い評価につながっている。

※1 スーパーコールドチェーン:野菜の入庫から出荷、配送までの全工程を1~4℃の低温度で管理するシステム。野菜の鮮度が保持できるため、カット野菜の賞味期限を従来比2倍に延長することが可能となった。
※2 「FSSC22000」:「ISO22000」に食品安全対策(フード・テロ対策、原材料やアレルギー物質の管理方法など)や、「食品安全に関連する要員の監視」「サービスに関する仕様」などを追加したもので、オランダの食品安全認証財団が認証機関となっている。


さらには、生産者と外食・中食企業をつなぐ情報流通機能を持つことも同社の強みとなっている。生産者に対しては、どのような野菜が求められているのか、どれだけの需要量があるのかという情報を提供し、販売先となる外食・中食企業に対しては野菜の市況やトレンド、高騰した野菜に対する代替メニューの提案などを行っている。特に、ここ数年は天候不順や自然災害に起因する野菜価格の高騰が外食・中食企業にとっても悩みのタネとなっており、同社のメニュー提案力等が高く評価されている。また、同社は10年以上にわたって野菜の機能性を研究しており、日本中から取り寄せた野菜に関する栄養価などの分析データに関しては、国内随一のデータベースを保有している。この分析データに基づいて健康増進につながるメニュー提案を行っているほか、新規事業となるミールキット事業の商品開発にも生かしており、同業他社にはない強みと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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